獣医さんの気持ちが、痛いほどわかった話し。
最近、ずっと考えていることがあります。
全然関係ないようで、実はものすごく似ている仕事があるんです。
それは獣医さんです。
え、急に犬猫ですか?って話なんですが、ちょっとだけ聞いてください(笑)。
人間のお医者さんって、もちろん現実はいろいろあるでしょうけど、「なんとか助けたい」という気持ちが仕事の真ん中にありますよね。
じゃあ獣医さんはどうなんでしょう。
きっと同じだと思うんです。
「助けたい。」
でも、その先には飼い主さんの判断があります。
「そこまでは治療しません。」
「今回は様子を見ます。」
「予算が…。」
そうなると、本当はもっとできることがあっても、そこで止まるしかない。
きっと獣医さんって、心の中では何度も「いや、もう一歩だけ…!」って思っているんじゃないでしょうか。
もちろん現実には病院も経営です。
魔法少女でもなければ、愛だけでCTは動きません。
いや、動いたら逆に怖いです。
でも、その葛藤って、実はうちの仕事にもあるなぁって思うんです。
私は平塚市で写真館「スタジオサミット」をやっています。
最近はデータだけをご注文される方も本当に増えました。
もちろん、それが悪いなんて一ミリも思っていません。
データ、大事です。
スマホにも送れるし、年賀状にも使えるし、SNSにも載せられる。
便利です。
便利オブ便利です。
でもですね。
そのデータ…。
一年後、どこにいます?
スマホの中ですか?
パソコンですか?
クラウドですか?
いや、多分もっと奥です。
「写真」という名前のフォルダの中の、
「写真まとめ」の中の、
「整理前」の中の、
「これ消していいの?」の中です。
完全に秘境です。
もはや本人ですら遭難しています。
せっかく撮った写真なのに。
その写真、本当は毎日見てほしいんです。
私は写真って、「撮る」ことがゴールじゃないと思っています。
「飾る」ところから始まるものだと思っています。
例えば夫婦げんか。
もう今日は口もききたくない。
そんな日に、壁に飾ってある家族写真がふと目に入る。
「あー、この頃こんな顔で笑ってたな。」
それだけで少し空気が変わるかもしれない。
子どもだってそうです。
毎日自分の写真を見ながら育つ子は、「自分は大切にされている」という感覚を自然と持ちやすいと言われています。
難しい心理学の話は置いておいても、
毎日笑顔の自分を見て育つって、悪いことある?って思うんです。
たぶん無いです。
少なくとも毎日テストの点数だけ見せられるよりは、だいぶ平和です(笑)。
だから私は、小さくてもいいから飾ってほしい。
高級な額じゃなくてもいい。
立派なアルバムじゃなくてもいい。
家族が毎日見る場所に一枚あるだけでいい。
それが何年も何十年も、その家の空気を少しずつ優しくしてくれると、本気で思っています。
でも。
注文していただけなければ作れません。
ここなんです。
獣医さんが「治療したい」と思っても、依頼されなければできないように。
私も「この写真を飾ってほしい」と思っても、注文していただけなければ形にできないんです。
じゃあ、すすめればいいじゃない。
そう思いますよね。
私も思います(笑)。
でも、これが難しい。
だって世の中には、
「その服めちゃくちゃ似合いますよ!」
と言いながら、
心の中では
「いや、正直サイズ違うけど…。」
なんて販売もあるじゃないですか。
そういうのを見ると、「すすめる」という行為そのものが少し怖くなるんです。
押し売りにはなりたくない。
でも、本当に良いと思っているものは伝えたい。
このジレンマ。
たぶん私だけじゃないですよね。
きっと先生も、保育士さんも、美容師さんも、設計士さんも。
「本当はこっちのほうが幸せになれるのになぁ。」
そんなことを思いながら仕事をしている人って、意外と多い気がします。
だから最近思うんです。
売るんじゃない。
伝えるんだって。
「この商品がおすすめです。」
じゃなくて、
「私はこういう未来を見てきました。」
そう話せばいいんじゃないかって。
それでも選ぶのはお客様です。
そこは尊重したい。
でも、伝えないまま終わるのは、少し違う気がするんです。
写真って、撮影した日に完成するものじゃありません。
家に飾られた日から、本当の仕事が始まるんです。
毎日家族を見守って。
何気ない会話を増やして。
時々、けんかを止めて。
落ち込んだ日に「まあ、悪くないか。」って思わせてくれる。
そんな力が、一枚の写真にはあると私は信じています。
だから今日も私は、カメラを持っています。
写真を撮るためじゃありません。
その家族の未来に、そっと飾られる一枚を届けるためです。
……なんてカッコよく締めましたが、現実は「はい、次はこちら向いてくださーい!」と全力で変顔をしているおじさんです。
でも、それも含めて写真館の仕事。
笑顔は、意外とカメラマンが一番必死なのかもしれません(笑)。
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