暑い体がひんやりする南インドの発酵「水ごはん」 京都の名店「タルカ1」で食べる
「水ごはん」って聞いたことありますか?
私は京都の南インド料理店「タルカ1」さんのInstagramで初めて知った料理でした。なんでも、ごはんを水に浸けて一晩置いて発酵させた、柔らかいおかゆのような「カンジ(kanji)」と言う料理なのだそう。
見た目が涼しそうなことと、インドでも夏の暑い日に体を冷やすために食べられる料理とのことで、食べに行ってみました。
京都一洗練された南インド料理店「タルカ」

タルカは、京都の南インド料理店として最も有名なお店です。現在はモーニングのティファンとランチのミールスやカーピ(南インドのコーヒー)を提供する「タルカ1」と、幅広い南インドを体験できるディナーを提供する「タルカ2」の2店があります。同じ押小路通に面していて、歩いて5分くらいの距離。どちらも南インドらしさのある凝った内装で、京都にいることを忘れてしまいそうになります。
今回はランチのためタルカ1さんへ。開店すると並んでいる順番に入店し、入口すぐのところにあるレジで注文と支払いを済ませて着席し、しばらく待ちます。
この日はカンジが告知されていたので、カンジセットを注文されている方も多かったよう。
一生食べていたい、ひんやり冷たくて優しい塩味と酸味の「カンジ」

わくわくしながら待っていたらやってきたのが「カンジセット」です。
プレートには大きな器にたっぷり入ったカンジと、6種類のおかず・アチャール、そしてパパドが。おかずのカトリをプレートから外に出しつつ、まずはカンジを一口いただきます。

カンジの味は塩味とヨーグルトの酸味が中心。お粥のようにお米と水分が混在していて、ひんやり冷たい食感やほどよい塩味と酸味が夏にとても嬉しい味わいです。これ単体でも延々と口に運んでいたい……。そんな心地のいい感じ。ミールスを食べられる方なら経験があるかもしれない「ヨーグルトご飯(カードライス)」を水分多めにしたイメージです。
これだけだと飽きそうにも思いますが、トッピングされている紫玉ねぎとパクチーの香りや食感がアクセントになっていて、飽きがありません。
余談ですが、タルカ1はインドらしさを意識して(?)なのか、店内のクーラーやお水の温度はそれほど冷たくされていません。(ぬるいというほどではありません)ただこのカンジは、個人的に想像していたタルカで提供されるであろう冷たさよりも冷たく準備されていて、暑い日に涼める温度感だったので嬉しかったです。
ちなみにカンジは、ごはんと水、塩に自家製のヨーグルトを使って、南インドの家庭で作られることが多い発酵食品のようです。こちら記事の後半でも少し触れられていました。
カンジと食べる贅沢な6種類のおかずたち

さて、カンジだけでも飽きがありません……と書いておきながら、先述のとおりカンジセットは6種類のおかずがついています。なんという贅沢。まるで出汁の効いたお茶漬けに、このご飯の量では処理しきれないたくさんのおかずが付いている、京都にありそうな「お茶漬け御膳」的なものを想起しました。

この日のおかずのメニューはこんな感じでした。
さて、まずはおかずを1つずつ味見していきます。
おかずにも、お酒にもベストな「フィッシュ65」

今回のメインのおかずは「フィッシュ65」。インドのスパイシーな唐揚げといえるメニューとして「チキン65」がありますが、こちらはそのカジキマグロバージョンです。65という名前にはいろいろな言われがあるようですがここでは省略。
日本食として想像する唐揚げよりも相当小さくカットされており、その分スパイスやレモン(?)の効いた衣やカレーリーフがよく馴染んでいて、ご飯にもお酒にも合う味。これは美味しいです。ビールが欲しくなる。
出汁感がすごい「煮干しのマサラ」、トマトとベストマッチな「うずら卵のドライカレー」

続いて2種類のマサラをいただきます。1つは煮干しのマサラ、もう1つはうずら卵のドライカレーです。
煮干しのマサラ、要は煮干しのカレーなのですが、想像以上に煮干しです。(語彙力)
インドカレーだと出汁は意識されませんが、煮干しのマサラは特に煮干しから出汁を取ろうとしなくても煮干しの旨みが溢れ出ていて、スパイスに負けないくらい出汁が主張してくるので、今何料理を食べているのかちょっと混乱します。
うずら卵のドライカレーも間違いのない味。たまごも地味に旨みがある食材なので、ねっとりしたマサラと相乗効果で味わいのあるおかずに仕上がっています。煮干しが味の中心になっている煮干しのマサラと比較して、たまごの方が地味な味であるためか、うずら卵のドライカレーの方がトマトがしっかり効いた味でした。
未知の食べ物、塩とヨーグルトに漬けて干して揚げた「ワッタル」

このカンジセットには珍しい食べ物がついています。それが2種類の「ワッタル」です。ワッタルとは干し野菜のことで、塩とヨーグルトに漬けて天日で干したものを揚げて食べるという南インドではポピュラーなものだそう。今回は青唐辛子と、南アジアや東南アジアで一般的なスズメナスという野菜です。
味はなんとも独特で、どちらもかなり塩辛くて苦くて、やはりご飯やお酒に合う味。食感は揚げてあるので表面はカリッ、ホワッとしているのですが、カラカラに干してあるためか、内部はあまり食感がありません。強いていえば炭化しているような感じ。日本には同じような食べ物はないと思うし、苦手な方もいるかと思いますが、個人的にはハマる味でした。また食べたい。
そのほかにじゃがいもと豆のポリヤルと、ゴーヤのアチャールがついていました。カンジのおかずとして合わないわけがありません。
このおかず類はタイミングによって変わるようですので、タルカのInstagram(ストーリーズ)をチェックしてみてください。
カンジはおかわり可能! 心ゆくまで「ひんやり」を楽しめる

さて、単体でも十分においしいカンジ。
カンジだけを食べ、カンジとそれぞれのおかずを一緒に食べ……としていくのですが、これだけ贅沢におかずがあるとカンジが先になくなってしまいました。
しかし心配ご無用、カンジはおかわり可能なのです!
お店の方に声をかけていただき、カンジをもう1杯いただきました。初めと同じ量ですが、量の調整もお願いできるようです。
というわけで、カンジとおかずを順番に、そして一緒に、するするぱくぱくといただきながら完食。
カンジは発酵食品だし、体に優しいのでまったくお腹に残りません……と言いたいところですが、さすがにカンジをしっかり2杯食べて、さらにお酒のお供にもなりそうな塩分の多いおかずもたくさん食べたので、満腹でした。笑
全体的に塩分は多い印象ですが、油分はそこまでではないためか、フルミールスをお腹いっぱい食べるよりは食後感がスッキリしている気がします。
カンジセット、8月中はタルカ1で提供されるようですので、気になった方は一風変わった納涼の手段として試してみてはいかがでしょうか。特に、ミールスの最後に食べるカードライスが好きなんだよなーという向きにはおすすめです!
タルカ1のミールスや、タルカ2のディナーメニューも洗練されていてとてもおいしいので、いずれご紹介したいと思います。
ちなみに以前ご紹介した、「水ごはん」ならぬ「お茶漬けカレー」はこちらをご覧ください。カンジとベクトルは近いので、食べ比べてみると面白そうです。
また、南インド料理の「タルカ」さんは、ネパール料理の「ダルバート食堂(当時)」さん、スリランカ料理の「カラピンチャ」さんとともにレシピ本『南インド、ネパール、スリランカ 3つの地域の美味しいカレー ミールス ダルバート ライス&カリー』が出ています。他のレシピ本に載っていない本格的なレシピがのぞき見れるのでおすすめです。(Amazonにあるが絶版……?)
