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愛犬の名前がどんどん原型を失っていく

大阪に出張に来ています。

当然ながら、ジロウは東京でお留守番です。

離れてまだそんなに経っていないのに、もう会いたくてたまりません。
暇さえあればスマホの写真フォルダを開き、ジロウの写真を眺める日々です。

かわいい。

次の写真もかわいい。

これもかわいい。

知ってたけど、やっぱりかわいい。

そんなことを繰り返しながらジロウに思いを馳せていたら、ふと気がつきました。

そういえば私は、ジロウのことを「ジロウ」と呼んでいないことが、結構多いのです。

犬には、一貫して同じ呼び方をしたほうがわかりやすい、と聞いたことがあります。
それは知っています。

知っているのですが、無理なのです。

かわいいから。

ジロウ。

ジロリ。

ジジ。

ジジチ。

ここまでは、まあわかります。

「ジロウ」から少しずつ形を変えていっただけでしょう。

問題は、この先です。

ベイブ。

どこから来たんでしょうか🤔

私はいつからか、ジロウのことを「ベイブ」と呼ぶようになりました。

といっても、いつでもベイブと呼んでいるわけではありません。
だいたい、寝ているジロウを撫でているときです。

「ベ〜イブ〜」(超小声)

と呼びながら、背中やお腹を撫でる。

なぜそのときだけベイブになるのか、自分でもよくわかりません。

「ジロウ、散歩行くよ」が「ベイブ、散歩行くよ」になるわけではないのです。

寝ているジロウを見て、かわいいなあと思って撫でていると、なぜかベイブが出てくる。

もはや名前というより、愛情が漏れたときに出る音なのかもしれません。


でも、ふと考えてみると不思議です。

なぜベイブなのだろう。

誰かに教えてもらった記憶もないし、「今日からジロウのことをベイブと呼ぼう」と決めた日があったわけでもありません。

気がついたら、ベイブになっていました。

気になって調べてみると、「babe」は英語圏で恋人や親しい人に使われる愛称なのだそうです。

愛しい相手への呼びかけ。

なるほど。
使い方としては、どうやらそんなに間違っていなかったようです。

そこで、もうひとつ思い当たることがありました。

私の母はフィリピンの人です。

子どもの頃から英語そのものを話す家庭だったわけではないけれど、もしかしたら私はどこかで「ベイブ」という呼び方を耳にしていたのかもしれません。

母からだったのか。
母のまわりの誰かからだったのか。
まったく関係なく、大人になってからどこかで覚えたのか。

今となってはわかりません。

でも、もしずっと昔に耳にした「愛しい人を呼ぶ言葉」が、自分でも覚えていないところに残っていて。

何十年も経ってから、いちばん愛しい犬を撫でているときに、ぽろっと出てきたのだとしたら。

なんだかちょっと、いいなと思うのです。


ジロウという名前は、ジロウがうちに来たときにつけたものです。

でも、ジロリも、ジジも、ジジチも、ベイブも。

一緒に暮らして、毎日何度も名前を呼んで、かわいいかわいいと言い続けているうちに、いつの間にか生まれていました。

たぶん、好きなものの名前は増えていくのでしょう。
何度も呼びたくなるから。

呼びすぎて、ちょっとずつ形が変わって。
最後には原型すらなくなっていく。

ちなみに、そんな我が家のベイブは今、東京にいます。
私は大阪で、今日も写真フォルダを遡る。

ベイブ、何してるかなあ。

会いたいなあ。

まあ、たぶんお腹を出して寝ている。

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Hiroka Nomura/SunflowerPhotography 読んでくださってありがとうございます。