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ヒンメル

ネットフリックスで、葬送のフリーレンを見ました。
物語は勇者ヒンメル一行の魔法使い「フリーレン」が主役のアニメです。
ヒンメルが魔王を討伐してからの後日譚を描いていて、
少し前にとても話題になっていました。 

ちょうど最近アニメの第2期が始まり、見てみる事にしました。
私の知識としては、アニメの第2期の第2話まで。
コミックスも3巻までしか読んでいません。
とても面白かったので、またあらためて続きを読もうと思っています。

なので今日は、あくまでアニメ版「葬送のフリーレン」の、
私が触れた範囲での話です。

なかでも印象に残ったのがフリーレンに大きな影響を与えた
勇者ヒンメルという人物でした。

ヒンメルは、魔王を倒すという明確な目的を持ちながらも、
花を眺め、誰かの話を聞き、 寄り道をすることをやめません。
それは一見、時間を無駄にしているようにも見えるし、 効率だけを考えれば、遠回りにも見えます。
それでもヒンメルは、迷いなくその選択をします。

彼にとって人生は、 目的地に一番早く辿り着く競争ではなく、 その道中をどう歩いたかが、そのまま価値になるものだったのだと思います。
このあたりの設定が、とてもいいなと感じました。

ヒンメルの言葉や行動を見ていると、 「急がない」という選択が、
こんなにも意志的で、勇気のいるものなのだと気づかされます。

なんというか、そんな感じを受けるのです。

まだ若いヒンメルが、含蓄のあるセリフをさらりと口にする。その言葉が不覚にも刺さってしまう。
普通なら若者の言葉にそれほどの重みは感じないはずなのに、
それが成立してしまうのは、彼が「勇者」だからでしょうか。
それとも、魔王を倒す天才だからなのでしょうか。

あ、やばい。すこし脱線してしまいそう、、、この話。
というか、この文章自体が寄り道のようなものなので、
そのまま続きを書いてみることにします。。。

そういえば、こんな話を聞いた

少し話は変わりますが、 先日、仕事で安全講話を聞く機会がありました。
テーマは、 人間の習性について。

人は、 焦る。 楽をしたくなる。 急いでしまう。
という生き物だというのです。
それは怠けでも欠陥でもなく、 ごく自然な人間らしい反応なのだそうです。

少し専門的な話になりますが、
ヒューマンエラーには大きく二つの捉え方がある、という説明がありました。

ひとつは工学的な視点で、
「人は機械とともにシステムを動かしている中で人間側がミスを犯してシステムの機能を阻害するもの」という考え方。

もうひとつは心理学的な視点で、
「意図した行動が、意図しない結果を生じる人間の行為」
という捉え方です。うっかりミスみたいなやつのことです。

このふたつの視点を併せ持ち、人間の特性を理解する事が大切だ。
といった主旨の講和でした。

事故の多くは、 危険を知らなかったから起こるのではありません。
分かっていても、 「今は急ぎたい」「今回は省きたい」という感情が、 安全より前に出てしまった結果として起きる。そんな話でした。

その話を聞きながら、 私は丁度、
ヒンメルの「急がなさ」を思い出していました。

私は、真逆の行為を楽しむようになっていた

考えてみると、 私自身も、この歳になっていつの間にか
「焦る・楽をしたい・急ぐ」とは真逆の行為を、 楽しむようになっていました。
日常のさまざまな場面でそれは顕著になってきましたが、
分かり易い例が登山です。

20代、30代の頃は、 とにかくがむしゃらに動いていました。
速く、多くの成果を出すことが正義で、 立ち止まることに、どこか罪悪感すらありました。残業も同じ社内の人の3倍くらいはしていたと思います。
今の自分から当時を振り返ると、 正直、信じられないほどです。

ずっと毎日追われているような感覚に囚われながら働いていました。
そんな中で始まった働き方改革は、私の行動パターンが、時代に合っていないものだと否定してきたようにも感じられました。

登山の話に戻ると、急げば危ないし、
そもそも急ぐ必要性自体に疑問を感じたりします。

だから頻繁に立ち止まります。
呼吸を整えて、顔を上げて 景色を見て、 自分の足元をまた確かめてから、また歩き出す。

その時間が、 いつの間にか「楽しい」と感じるようになっていました。
これは、あまり人には伝わらない楽しみかもしれませんが、
私にとっては、確かにそうなのです。

それでも、人生はまた動き出す

このまま、きっと ゆっくりと、平穏に過ごしていくのだろう。
どこかで、そんなふうに思っていました。

けれど、つい先日、本社へ行ったことをきっかけに、
仕事の質が少しまた変わりました。
誰もやっていなかった仕事を、 新しく任されることになったのです。

これまでの経験から、想像するだけで、
また以前のような、 大変な日常が始まってしまう気がします。
正直、不安も沢山あります。

そんなタイミングのなかで、 『葬送のフリーレン』を観たからこそ、
ヒンメルの生き方に、 強く惹かれたのかもしれません。

「そうだよな。落ち着いてても人生は放っておいてくれないよな。」

無駄を楽しみ、遠回りを愛するという選択

ヒンメルのように、 無駄を楽しみ、 遠回りを愛する。

効率や正解から少し距離を取りながら、 それでも気づけば、
誰も到達できなかった場所に立っている。

そんな生き方が、 これからの自分の人生の方向性になるのかもしれません。

不思議なことに、 その想像をすると、
わくわくが続いています。なぜでしょうか。

今日、私は45歳になりました。

落ち着いていく年齢だと思っていたのに、 なぜか今、
新しい物語の入り口に立っているような気がしています。

急がずに。 寄り道を恐れずに。

良い中年のおっさんがヒンメルの背中を、
少しだけ意識しながら歩いていく(笑)
悪くないんじゃないかなぁと思います。

まだこの先を歩いてみようと思います。

誕生日おめでとう。自分。


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