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#118 海外在住でも「日本人嫌い」に陥らないための処方箋2冊

気づけば1か月以上、更新が途絶えてしまった。
年末に出る新著の原稿執筆がいよいよ極まってきていて、ちょっとそれ以外で文章を書く気にならないというのが正直なところ。

とはいえ、「今年はSNSやnoteを頑張る」と位置づけているため、さすがに1本書いてみたい。というより、正確には「書いた方が良いな」と感じる話題があった。数日前から、(少なくとも僕のXのおすすめ上では)以下のような投稿が表示され続けている。たぶん、これが発端なのかな。

その他、関連のつぶやきをいくつか。

他にもたくさんあるので、色々と漁ってみてほしい。一連の投稿を見ていて僕が感じたことは、「どうして誰も、山岸俊男さんや橘玲さんの本や知見に言及しないんだろう」というものだった。未読のままなら、ぜひ今回をきっかけに読んでみてほしい。海外在住日本人なら基本図書だと思う。

山岸さんの本なら、おそらくこれが一番読みやすいだろう。

橘玲さんだったら、こちら。


海外在住時、この辺りの知見に触れてさえいれば、

日本「社会」は「集団主義」社会だが、
日本「人」自体は「個人主義」で「功利主義」

という前提認識で、生きていけるようになる。海外移住者にとって、この認識があるかないかは決定的だ。だからこそ、この機会に簡単ではあるが、改めて言語化しておきたいと思う。

日本人の美徳といえば「助け合い」であり、「気配り」であり、「おもてなし」などとも言われる。いずれも、「自己完結を超えた」概念であり、他者や周囲、社会への献身や貢献が前提にある。

ところが、山岸さんや橘さんの本によれば、それは単に「日本社会が集団主義社会だから」なのであって、日本人個人にそんな美徳はないという話になってくる。ただ「日本という環境に適応しているだけ」ということだ。

実際、世間の目や同調圧力が薄れる海外にでると、多くの日本人は利己的で、損得・打算メインで立ち振る舞うようになってしまう。「旅の恥は搔き捨て」などと言い出し、倫理的に許容できない非常識な言動を、なぜか海外だと平気でやるようになる。ここ数日、Xを賑わす傍若無人な海外在住日本人の振る舞いは、こうした仕組みの実例ということだ。

ただ、ここで話を終えてしまうと著しく誤解されそうなので・・・。もう少しだけケアをしておきたい。上記の話は、「日本人は一見すると集団主義に見えるが、それは日本社会が集団主義だから最適化しているだけなのであって、実際は日本人も個人主義だ」ということを書いている。

何が言いたいのかというと、日本人も欧米人もアジア人も、人間の根っこはみんな個人主義だということだ。特筆して日本人の個人主義が酷いということを言っているわけではない(普段は抑圧されている分、海外に来るとタガが外れてタチが悪くなるといった言い方はできるかもしれないが・・・)。

僕自身、マレーシアで暮らしてみて、ますます日本が好きになり、日本人であることに誇りを抱けるようになっている。そこはどうか誤解しないでほしい。

ともかく日本人かどうかに関係なく、人間なんて、基本的には人種を問わず「自分のことしか考えていない」がデフォルトだ。一方で、人は一人では決して生きてはいけない。そこで社会化する必要があるのだが、ここで、社会化する社会が「個人主義」ベースなのか、それとも「集団主義」ベースの社会なのかによって、立ち振る舞いが変わってくる。前者なら「主張」、後者なら「同調」が基本的な生存戦略だ。

あるいは、「短期」的にしか過ごさない社会なのか、それとも「中長期」的に生きていく社会なのかによっても、どの程度がっつり適応するかの濃淡が決まる。たとえば、僕はマレーシアに海外教育移住で来て3年目になる。あと5年位はいるつもりだ。10年近くいる前提なら、自然と協調的に、助け合いの精神でも過ごせるだろう。一方、短期やお試しという認識で来ている人たちは、確かに軽率で、失礼で、配慮を欠いた言動もしてしまいがちだ。実際に言われたり、やられたりしたこともある。結構ある。

ただ、それは致し方ない面も多々あって、日本ではなく海外、しかも短期滞在の日本人に(あるいは日本人に限らずそうした前提の外国人に)、互助・共助・公助的な振る舞いを期待するなんて、そもそも難しい。こうした諦念は、あらかじめ持っていた方が良いと思う。

そうしないと、精神衛生上しんどいなと感じる人間関係が増えてくるし、心労で潰れてしまいかねない。僕は20代の頃に仕事で米国赴任した際に、休職するまで精神的にまいってしまった体験がある。当時の実体験があるからこそ、山岸さんや橘さんの本がとても響いたし、まずはこの3年間、マレーシアで総じて楽しく過ごせているのは、間違いなくこうした認識があるからだ。

改めて言語化すれば、僕は海外で出会う日本人にたいして、良い意味でそもそも何も期待していない。色々とケアをしたりもするが、いちいち見返りも期待していない。結果、「テイカーに搾取された」と感じることも確かにあるが(結構あるが)、それは海外という環境がその人をそうさせてしまったのであって、その人自身が100%悪人ということを意味するわけではない。そう捉えるようにしている。

もちろん、実際に良い人は数多くいるし、気持ちよくお付き合いできている人が大半ではあるのだが、常に今回書いたような認識も一方では抱き続けている。

少なくとも、X上で今回、多くの人が呟いていた「日本人に同朋意識なんてない」は全くその通りなので(論点がズレてしまうので結論のみ記すが、日本人はそもそもそんな教育を学校で受けていないので)、くれぐれも「こんなに貢献したのに、その反応は何!?」「どうしてそんなに無関心なの!?なぜ手を差し伸べてくれないの!?」などとは捉えない方が良い。

以上、今回の話が、海外で暮らす日本人の皆様に、少しでも役立てば幸いです。


※8月27日追記: 
今回のテーマについてvoicyでも話しました。上記の最後に書いた「日本人に同朋意識なんてない」話についても、それがなぜなのか説明していますのでぜひ。

響くところありましたら、いいねやフォローもぜひよろしくお願いいたします。



それでは、また次回。


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