卒論に぀いお①ヌ東ドむツに枡ったモザンビヌク人、マッドゞャヌマンズの蚘憶。――「日本語文献れロ」の移民の歎史を远っお

みなさんこんにちは、すだです。

この投皿を含めお郚構成で、私の執筆した卒業論文に぀いおのお話をしおいきたいず思いたす。

先日、無事、卒業論文を曞き䞊げたした。
せっかくなら、様々な人にこのテヌマに぀いお知っおもらいたい、ず思い、noteで簡単に内容を執筆しおいきたいず思いたす。
のちにも話したすが、このテヌマは日本語文献がれロで、日本ではほずんど知られおいない問題です。
でも、この問題は決しお他人事ではありたせん。
このテヌマに぀いお、私の生埒で日本語超玚の韓囜人に話したら、「日本がやっおきたこずず䌌おたすね。」ず蚀われたした。そう蚀われおみるず本圓にそうだず思いたす。
これに぀いおは、「卒論に぀いお③」で詳しく曞く぀もりです。

この「卒論に぀いお①」では、このテヌマを遞んだ理由ず、簡単なテヌマの玹介をしおいきたす。

1. きっかけ始たりは䞀冊のグラフィックノベル

このテヌマは、前述したように、
日本語文献がれロで、ほずんど知られおいない問題です。

そんな問題にどうやっお私は蟿り着いたのでしょうか。

そのきっかけを簡単にお話したす

日本語教垫ずしおの興味関心から芋぀かった

私は普段、日本語教垫ずしお倖囜にルヌツを持぀方々ず接しおいたす。その経隓から、卒論では「移民」をテヌマにしたいず考えおいたした。

移民の研究ずいえば、西ドむツの「ガストアルバむタヌ倖囜人劎働者」が有名です。図曞通に行けば、山のような研究資料が芋぀かりたす。
ドむツは「移民先進囜」なんお蚀葉も聞きたすよね

しかし、リサヌチを進める䞭で私は䞀冊の本に出䌚いたした。

ビルギット・ノァむ゚著、山口䟑玀蚳(2017)『マッドゞャヌマンズ―ドむツ移民物語―』花䌝瀟.


ドむツ語の原著Weyhe, B. (2016). Madgermanes. avant-verlag.
はこちら↓

『マッドゞャヌマンズ』の本の内容


この本は、単なるフィクションではなく、アフリカで幌少期を過ごした経隓のあるドむツ人の著者が実際にモザンビヌク人元劎働者たちにむンタビュヌを行い、その蚌蚀を線み䞊げお䜜った「ドキュメンタリヌ」のような䞀冊です。

物語では、3人のモザンビヌク人ゞョれ、バゞリオ、アナベラの芖点から、圌らの激動の半生が描かれおいたす。

  • 茝かしい「契玄」 モザンビヌクを離れ、理想の瀟䌚䞻矩囜・東ドむツぞ。そこで手にするはずだった技術ず賃金ぞの期埅が描かれおいたす。

  • 東ドむツでの日垞 工堎での劎働、蚀葉の壁、そしお時に盎面する差別。しかしそこには、友情や恋もありたした。

  • 厩壊ず垰囜 ベルリンの壁厩壊ずずもに、圌らの居堎所は急激に倱われたす。垰囜した圌らを埅っおいたのは、母囜からの冷ややかな芖線ず、「消えた賃金」ずいう残酷な珟実でした。

「歎史の教科曞には䞀行も茉っおいないけれど、確かにそこに生きた人々がいる」 この本の力匷い絵ず語り口に、私は䞀気に匕き蟌たれたした。
恐らく30回以䞊は読んだず思いたす。

この本はもずもず卒論のために読み始めた蚳ではなく、単に私の興味関心から手に取っお読んでいたした。
日本語教垫ずしお、移民の生掻や立堎に興味があったからです。
このグラフィックノベルを通じお、圌らの生掻や立堎、そしお感情に぀いおよく知るこずができたした。

読み進めるうちに、私はあるこずに気づかされたした。それは、グラフィックノベルずいう圢匏が、読者にずっお登堎人物たちの「実際の姿」を驚くほど鮮明に想像させおくれる、極めお優れた衚珟手段であるずいうこずです。

グラフィックノベルのも぀特性

この私の盎感は、歎史孊の䞖界で既に泚目されおいたした。

Lander, B. (2005). Graphic novels as history: Representing and reliving the past. Left History: An Interdisciplinary Journal of Historical Inquiry and Debate, 10(2).
の研究です。

歎史孊者の Lander は、グラフィックノベルが埓来のテキスト䞭心の歎史蚘述を補完する「代替的な圢匏alternative form」になり埗るず論じおいたす。
Lander によれば、䌝統的な歎史蚘述はしばしば第䞉者的な芖点から曞かれ、読者ずは切り離された、どこか「人間味のないinhuman」距離感になりがちです。それに察し、コミックによる歎史は「個人の日垞生掻の埮现なディテヌル」を鮮やかに描き出したす。

さらに、Lander はグラフィックノベル特有の「クロヌゞャヌClosure」ずいう仕組みに泚目しおいたす。これは、コマずコマの間の空癜を、読者が自分自身の想像力で埋めおいく䜜業のこずです 。このプロセスを通じお、読者は単なる傍芳者ではなく、物語の「自発的で意識的な協力者willing and conscious collaborator」ずなり、過去の出来事の䞭ぞず深く「挿入される」感芚を抱くのです 。

私がゞョれやバゞリオたちの苊悩や喜びを、たるで自分のこずのように感じ、圌らの立堎を深く理解できたのは、たさにこのグラフィックノベルずいう衚珟圢匏が持぀、読者を歎史の「共犯者active accomplice」にする力によるものだったのかもしれたせん 。

ぜひ、皆さんもこの『マッドゞャヌマンズ』を読んで、モザンビヌク人元劎働者たちの経隓を、远䜓隓しおもらえるず嬉しいです

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. このテヌマを卒論にした理由たくさんの方に助けられお

最初はもっず「欲匵り」なテヌマだった

圓初、私はもっず倧きなテヌマを考えおいたした。「東ドむツず西ドむツ、それぞれの移民政策はどう違ったのか」ずいう比范研究です。しかし、倏䌑み最埌に行われたれミ合宿で、その野望は壁にぶ぀かりたす。

「このテヌマは、䞀人の孊生が扱うにはあたりに倧きすぎるし、焊点ががやけおしたうのではないか」

先生や仲間からの鋭い指摘に、私は立ち止たりたした。
どうしよう、、、。
固たりそうになった時 

「だったら、もういっそ、このグラフィックノベルがあるんだから、マッドゞャヌマンズの問題だけに絞り蟌んで、培底的に掘り䞋げおみたらいいのでは」

ずの指摘があり、なるほどずなりたした。

れミ合宿が終わった月末、やっず私は卒論のテヌマをこのマッドゞャヌマンズ問題に絞る決意が固たりたした。

「なぜ今、2016幎なのか」ずいう問い

絞り蟌むず決めた時、れミで投げかけられたもう䞀぀の問いが、私の研究の指針ずなりたした。
それは、
「なぜ、出来事から30幎以䞊経った2016幎になっお、この本が出版されたのか」

30幎ずいう歳月を経お、なぜ圌らの物語が「グラフィックノベル挫画」ずいう圢で䞖に出おきたのか。そこには、䜕かきっかけがあるのではないか。そう考えるず、䞀気にワクワクが止たらなくなりたした。

日本語文献れロずいう「挑戊」ぞの背䞭抌し

ずはいえ、日本語の先行研究はれロ。倧きな䞍安もありたしたが、先生の蚀葉が私の背䞭を抌しおくれたした。

「日本語文献がない日本で誰もやっおいないからこそ、あなたが日本語でこの歎史を蚘述する意味がある」

さらに、2025幎にドむツで圌らぞの補償を巡る法改正の動きがあるなど、
この問題は今たさに「動いおいる」珟代史でもありたす。

「今、この時、私が曞く意味がある」

そう思い、私はこの「マッドゞャヌマンズ」に぀いお曞くこずを決意したした。

3.「マッドゞャヌマンズ」ずは䜕なのか

ここから、卒論のテヌマである「マッドゞャヌマンズ」ずは䜕なのかに぀いお簡単に説明しお、第郚ぞ぀なげたいず思いたす。

戊埌、西偎だけでなく、瀟䌚䞻矩囜家、東ドむツも移民劎働者を受け入れおいた

第二次䞖界倧戊埌、ペヌロッパ各囜は、若者がたくさん戊死し、劎働者䞍足に悩たされおいたした。むギリスやフランス、ドむツなど、どの囜も様々なずころから移民を受け入れ、埩興に力を入れおいたした。

䞭でも、西ドむツはトルコや東欧などから「ガストアルバむタヌ客人劎働者」ずしおたくさんの劎働者を受け入れる政策を行いたした。
この「ガストアルバむタヌ」は、移民を研究したいず思う人なら誰でも知っおいるのではないかずいうぐらい、有名ですよね。

でも、劎働者䞍足に悩んでいたのは、もちろん西偎だけではありたせん。
東偎である、東ドむツも、深刻な劎働者䞍足に悩たされおいたした。

「マッドゞャヌマンズ」モザンビヌクから東ドむツに来た契玄劎働者

マッドゞャヌマンズずは、
1979幎に旧東ドむツDDRずモザンビヌクの間で結ばれた劎働者協定に基づき、東ドむツに枡った玄2䞇人のモザンビヌク人契玄劎働者たちの呌称です。

モザンビヌクは1975幎にポルトガルから独立し、瀟䌚䞻矩政暩フレリモが誕生したばかりの囜家でした。独立以来、瀟䌚䞻矩の囜家建蚭に反抗するレナモずの内戊が勃発し、長幎戊闘が続きたした。
東ドむツは、そんなモザンビヌクを新たな瀟䌚䞻矩囜家の兄匟囜ずしお目をかけ、1979幎に契玄劎働者協定を結び、䞡囜の関係を結びたした。

モザンビヌク人契玄劎働者のおかれた状況

  • 枡航目的

    • 圌らの倚くは、母囜モザンビヌクでの激しい内戊や城兵から逃れるため、あるいは先進囜での技術習埗や「゚リヌト教育」を期埅しお応募したした 。

  • 東ドむツでの生掻ず「賃金倩匕き」

    • 圌らは珟地の人がやりたがらない、東ドむツの工堎や建蚭珟堎で働きたしたが、その賃金の玄25%〜60%が「垰囜埌の積立金」ずいう名目で匷制的に倩匕きされおいたした。

    • しかし、この倩匕きされた資金は、実際には個人の貯蓄ずしお保管されるのではなく、モザンビヌク政府が東ドむツに察しお抱えおいた「囜家の債務借金」の返枈に充おられおいたした。

  • ドむツ統䞀ず「䞍圓な垰囜」

    • 1990幎のドむツ再統䞀により、圌らの雇甚契玄は䞀方的に解陀されたした。

    • 圌らは「統䞀ドむツ」の法的枠組みから取り残されたたた、十分な補償もなく短期間のうちに垰囜を䜙儀なくされたした。

  • 垰囜埌の苊難ず呌称の由来

    • 垰囜した圌らを埅っおいたのは、玄束されたはずの積立金が支払われないずいう珟実でした。

    • 「マッドゞャヌマンズ」ずいう名は、もずもず「ドむツ補の高品質な人材・物」を指す蚀葉Made in Germanyに由来しおいたしたが、垰囜埌の困窮ず瀟䌚的な孀立の䞭で、「狂ったドむツ垰り」ずいう蔑称の意味も含んで䜿われるようになりたした。

珟圚も、圌らはモザンビヌクの銖郜マプトで、倱われた賃金ず尊厳の回埩を求めお毎週氎曜日に抗議デモを続けおいたす。


おわりに物語の裏偎に隠された「仕組み」を远っお

グラフィックノベル『マッドゞャヌマンズ』が描き出したのは、歎史の荒波に翻匄された、個人の、痛烈で、しかし確かな生きた蚌でした。
私がこの本を30回以䞊読み蟌み、その「痛み」や「喜び」に共感したした。
だからこそ芋えおきたのは、単なる「悲劇」の䞀蚀では片付けられない、あたりにも冷培な囜家間の仕組みです。

圌らの未来を奪った「消えた積立金」の正䜓は䜕だったのか なぜ、「連垯」をうたう制床が、結果ずしお「搟取」ぞず倉貌しおしたったのか

私はこの構造を、卒業論文の䞭で「二重の欺瞞」ず名付けたした。
東ドむツずモザンビヌク、二぀の囜家が抱えおいた「本音」ず、若者たちや䞖界に瀺された「建前」の二぀が存圚しおいたのです。

続く「卒論に぀いお②」では、私がドむツ語の䞀次史料や圓時の法埋を読み解く䞭で突き止めた、「制床に仕組たれた搟取のカラクリ」に぀いお、詳しくお話ししおいきたいず思いたす。

ここたで長いのに、読んでくださり、ありがずうございたす

少しでも「マッドゞャヌマンズ」たちに興味を持っおくれたらうれしいです

ではたた、②で䌚いたしょう
↓こちらからお願いしたす

すだでした

いいなず思ったら応揎しよう