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ニンニク臭という、広告|マーケティングではなく、ブランディングの話

こんにちは、Steveです。

先日、あるクライアントとのMTGで、こんな話が出ました。「次の販売は、前回より割引額を大きくしたい」と。

反対する空気ではなかったので、その場ではあまり発言しませんでした。でも、頭の中は結構動いていて。(笑)いつも通り、そういう時はここで言語化させてください。

その値引きで、何を得たいんだろう。数字は動くかもしれない。でも、失うものは何だろう。そんなことを考えていました。

安くして来てくれたお客さんは、安さに忠誠心を持ってくれているだけな気がしています。ブランドに、じゃない。もっと安い選択肢が現れたら、そっちに行く。

それに、繰り返すほど、定価の意味そのものが変わっていきます。最初の約束は「これは○○円の価値がある商品です」だったはず。でも、いつの間にか「タイミングを待てば安くなる商品です」に、中身がすり替わっていく。

以前、こんな話を聞いたことがあります。あるイベントを4000円で開催したけれど、集客に苦戦した。次回は3000円にしよう、と。でも、最初に4000円で来てくれた人には、どう説明しよう。悩んだ結果、感謝のお礼状を送った、という話でした。

もらった側の気持ちになったら、どうでしょう。「自分は損をした客だった」と、後から知らされたようなものです。その人は、次に誰かを誘おうと思うでしょうか。

じゃあ、この値引きはやっていいのか悪いのか。

僕はこれ、Marketingの効果測定で決める話じゃないと思っています。決めるのは、Brandingなんじゃないかと。自分たちのビジョンやミッションに、この判断は沿っているのか。沿っていないなら、たとえ数字が一瞬動いても、それはブランドを削って作った数字です。

とはいえ、割引が魅力的に見えるのも分かります。安くすれば、最低限の数字は動く。下限が保証されている。

一方で「話したくなる仕組み」を作るのは、賭けです。自分たちの商品に本当にそれだけの力があるのか、試されます。何もなければ、閑古鳥が鳴くだけで下限すらない。怖いですよね。

ただ、ここに一つ、見落としがある気がしています。

割引というのは、拡散をお金で買う方法です。安くした分だけ、口コミの可能性を先払いしている。じゃあ、お金を使わずに拡散してもらう方法はないんだろうか。

そこで思い出したのが、Seth Godinが話していた、ニューヨークのCarmine'sというイタリアンの話でした。

Seth Godin
マーケティングやブランディングについて発信する世界的な著者・起業家で、「Purple Cow(紫の牛)」などの著書で知られています。

Sethによると、この店がやったことは三つ。食べきれないほどのニンニクを使う。他店の倍の量を、シェア前提で出す。そして、6人以上のグループでないと予約を受けない。

三つ目が面白いところです。普通は「6人以上で来たら何割引」とやりますよね。でもこの店は、割引ではなく条件にした。6人集めないと、席が押さえられない。

表面だけ見ると、ニンニクも量も「足し算」です。過剰なサービス、みたいに見える。でも構造としてやっているのは、客の「絞り込み」なんですよね。

しかも、その絞り込みが働きかける先は、店ではなく客です。予約したい人は、自分で5人を誘わなければならない。誘われた側は、行く前から「変わった店らしいよ」と聞かされている。まだ一口も食べていないのに、もう話題になっている。

面白いのは、帰ったあとにもう一度、仕掛けが動くことです。

想像してみてください。翌朝、会社に着くと、隣の席の人が顔をしかめる。「なんかニンニク臭くない?」と。

こうなると、説明しないわけにいきません。昨日どこに行ったのか。なぜ6人もいたのか。出てきた皿がどれだけの量だったのか。全部話すことになる。

匂いが、話すきっかけを勝手に作ってくれるわけです。しかも本人は、宣伝しているつもりがない。ただ、言い訳をしているだけなんですよね。

行く前に誘わせて、帰ったあとに説明させる。店が出しているのは料理だけで、拡散のほうは、全部客がやっている。

これ、今で言うUGCと呼ばれるものに近いと思います。ただ、安く見せる工夫ではなく、話したくなるものを本気で作る工夫です。値段は一度も動いていません。

じゃあ、自分たちの商品やサービスはどうだろう。

値引きの言葉を使わずに、その価値を語れているでしょうか。早割や団体割で埋めているのは、もしかしたら「話したくなる形で渡す設計」を、まだ見つけられていないだけなのかもしれません。

これは規模の大きい会社だけの話じゃないと思っています。むしろ、小さな会社やお店のほうが向いている気がしていて。

大きな会社で6人ルールのようなことをやろうとすると、「機会損失では」と誰かが必ず止めます。小さければ、決めた人がそのまま実行できる。そして、狭い地域ほど口コミは速く回ります。誰が誰を連れてきたかまで見える距離なら、仕掛けが効いたかどうかもすぐ分かる。

ただ、それを選べるかどうかは、結局Brandingが決めることだと思うんです。自分たちが何屋で、何を約束している会社なのか。そこがはっきりしていれば、迷わず選べる。曖昧なままだと、目先の数字欲しさに、いつも安くするほうへ逃げてしまう。

あなたの会社のBranding、この判断ができるくらい、しっかりしていますか。

この記事が誰かのヒントになれば嬉しいです。

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