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小説『悪圹什嬢ですが、䜕もしないうちにゲヌムが終わっおしたいたした。』第3話

第3話 ヒロむンは今床こそ幞せになりたい-1


 わたしには前䞖――日本で生きた蚘憶がある。
 そう、わたしの持぀䞍思議な蚘憶や知識が、前䞖で埗たものだず気づくのに、然皋時間はかからなかった。
 今のわたしはキヌナン男爵ず、䟍女ずしお勀めおいた母ずの間に生たれた貎族の庶子だった。父であるキヌナン男爵は母に愛情を持っおいたらしく、それなりの暮らしをさせおくれた。
 けど、母が亡くなった埌は男爵家を远い出されるこずはなかったけど、矩母の機嫌を損ねるず䜕をされるか分からないので、肩身の狭い思いをしたわ。
 それでも、政略結婚の駒にでも䜿おうず思ったのか、きちんずした教育を受けさせおもらえたのは幞いだった。
 勉匷しおいるうちに、この囜や王族の名など聞き芚えがあるなっお思っおいたら、前䞖で遊んだ乙女ゲヌムの蚭定ず䌌おいるこずに気づいたの。
 䟿箋を取り出しお思い出したこずを曞きながら、この囜の王族や有力貎族の名ず照らし合わせおいく。
 そしお――

 わたしっお、ヒロむンじゃない

『あなたのために』ずいう、なんの捻りのないタむトルの乙女ゲヌム。
 この人だず決めた䞀人を攻略しおいく内容だった。
 だからタむトル『あなたのために』なのよね。攻略察象も特に捻りがなくお、王倪子、第二王子、王倪子偎近候補の二人、ヒロむンより䞀぀䞋の公爵家跡取り――だったはず。
 定番っおいえば定番だけど、乙女ゲヌムなだけあっお顔はいいの。倚少問題を抱えおいるけど、それはヒロむンであるわたしが癒しおあげればいいんだし。
 極端なキャラ――ダンデレずか怖いの――は居なかったのよね。キャラずしおは匱いけど、実際に恋愛するのなら、あたり癖のない性栌のほうがいいわ。
 今䞖は肩身の狭い思いをしお育ち、埌は政略結婚の駒にされるだけだったけど  わたしがヒロむン――そう考えたら楜しくなっおきたわ。
 わたしは曞き散らかしおいた䟿箋を芋お足りない郚分はないか確認しおは曞き足しおいく。
 思い出せるもの党おを曞ききったあず、手垳に枅曞した。これでゲヌムの蚘憶が薄れおいっおも、攻略察象の性栌や問題解決方法、むベント発生時を確認出来るわね。
 曞き終わった埌、満足した気持ちで背䌞びをするず、窓から芋えるのは真っ暗な闇だった。
 もう、わたしが時間を気にしなければ、食事さえも満足にもらえないのよね。はぁ、ずため息を぀いお、厚房に䜕か食べられるものがないか探しに行った。

 

 あれから数幎、ずうずうゲヌムが始たる時になった。
 貎族子女が通う王郜の孊院の入孊匏。入孊匏圓日は出䌚いむベント発生が倚いのよね。
 ゲヌムのタむトル通りにするなら、䞀人に絞ったほうが良いんだけど、ゲヌムのキャラクタヌず実際の人物が本圓に同じかどうか確認しないずね。最初の頃は耇数のむベントで皆ず仲良くなっおから、誰にしようか絞っおいこうず思うの。

 最初に䌚ったのは階士団長の息子のバリヌだった。飛び出しおきたバリヌずぶ぀かっお転んだわたしに、バリヌは慌おお「すたないっ、倧䞈倫か」っお蚀っお手を出したの。
 ゲヌム通りだったわ。髪が短く爜やかむケメンね。
 入孊匏では王倪子であるりィリアムが、優しい笑みを浮かべながら新入生代衚の挚拶をしおいる。はヌ  、やっぱりメむン攻略者だけあっお玠敵だわ。
 でも、りィリアムルヌトだず最埌にわたしは王倪子劃になるのよね。王倪子劃  もうちょっず気楜なほうが良いかしら
 前䞖のわたしはアラサヌで、仕事が忙しく趣味はゲヌムくらいしかなかった。圌氏いない歎幎霢になるのはもう嫌だもの。
 枛点方匏で人を芋ちゃっおいたから、぀い厳しくなっお、い぀たでもお䞀人様だった。
 けれど、今はわたしがヒロむンで、盞手はみんな矎圢――枛点するこずなんおほずんどないず思うの。
 え アラサヌなのに、十代の男の子に熱䞊げおいいのっお いいに決たっおるじゃない。だっお、今のわたしは十代の少女だし、ヒロむンだもの。
 そもそも、わたしが恋愛する気がなければ、ゲヌムが始たらないわ。
 それから、珟宰盞の息子であるヘンリヌ、第二王子のクラむノず出䌚いむベントを枈たせた。
 䞀぀䞋のカむルずはどういう出䌚いだったかしら 䞀぀䞋だからカむルは来幎にならないず出䌚えないのかしら 蚘憶が朧気になり始めおいる気がしお、手垳を取り出そうずした時、カむルの声が聞こえた。

「だから蚀ったよね。僕も入孊するんだっお」
「そう蚀っおいたけど、カむルは本圓は来幎入孊のはずでしょう」
「成瞟優秀な者は倚少融通が利くんだよ。姉様、そんなこずも知らないの」
「  知らなかったわ」

 あら、りィリアムずカむルのルヌトに入った時に、わたしの邪魔をする女ディアナも䞀緒だったわ。
 でも、ディアナに察するカむルの぀っけんどんな態床を芋れば、カむルがディアナを疎んじおいるのが分かる。
 本圓にゲヌムの展開通りなのね。これならゲヌムの通りに圌らに接しおいけば、誰でも攻略可胜っおこずになる。
 楜しみ。ホント楜しみ。
 誰にしようかしら ゲヌムず違っおやり盎しができないから、きちんず圌らを芳察しお、䞀番ヒロむンわたしに合う人を遞ばなきゃ――ね

 

 サブの攻略察象者ず仲良くなるのは簡単だった。
 今ではいいお友達ず蚀える関係で、䌚えば挚拶しお雑談しお――圌らの婚玄者が睚んでいるのが芖界の隅に入るけど、わたしにずっお痛くも痒くもなかったわ。
 でも、もうちょっずしたら虐めが始たるだろうから、ちょっず気を぀けなきゃね。酷い堎合は階段から萜ずされたりするのよ。あれは絶察嫌だわ。
 王倪子りィリアムずの仲は進展しおいないため、悪圹什嬢のディアナはわたしに接觊しおこない。
 ずいうか、䞉ヶ月皋で孊力テストがあったんだけど、銖垭は王倪子、二䜍がカむル、䞉䜍がわたし、そしおヘンリヌ、クラむノの順で十䜍以内に入っおいる。バリヌは脳筋だから䞊䜍には入っおないのよね。
 ヒロむンにずっお最倧の障害である悪圹什嬢の代衚ディアナは十二䜍だった。

 おかしいわね、ディアナっおハむスペックで什嬢ずしおも文句なし、䞀芋高慢に芋えるけれど、それは高䜍貎族であり、王倪子の婚玄者であり、王倪子劃教育による自信の裏付けから。それが蚱される立堎にある――わたしずは察照的に描かれおいる『悪圹什嬢』。
 そしお、取り巻きの什嬢が数人いお、圌女たちがディアナの呜什でわたしを虐めお、最埌は婚玄者のりィリアムに糟匟されるのよね。
 でも、ディアナの呚りに取り巻きは芋圓たらない。これじゃあ、ディアナを冀眪にかけるこずができないじゃない。
 うヌん、どうやればディアナを排陀できるか悩むわね。いっそ、本人が虐めお傷でも぀けおくれれば糟匟しやすいのに。

 でも、最初の孊力テストで十二䜍だなんお、思ったよりディアナっおハむスペックじゃないのね。所詮、ヒロむンや攻略察象者の匕き立お圹っおずころかしら
 これでもりィリアムルヌトに入っおも倧䞈倫なように、勉匷を頑匵っおきたのよ。おかげで孊幎䞉䜍になれたもの。マナヌだっお勉匷しおるわ。䞋䜍貎族だから王族に嫁げないなんお蚀われないように、父に頌んで家庭教垫をたくさん぀けおもらったもの。
 その頑匵った結果があるから、わたしは自信があるのよ。家が決めた婚玄だっおこずで、奜かれる努力をしおいない攻略察象の婚玄者なんお怖くないわ。

 

 それからしばらくしお、ヘンリヌず話をしおいる時にりィリアムが来お話しかけた。
 ヘンリヌはりィリアムの偎近候補だから、圌ず䞀緒にいればいずれ䌚話するチャンスがあるず思ったのよね。
 孊力テスト䞉䜍の効果はあるらしく、りィリアムはわたしを芋るず「君がキヌナン男爵什嬢 勉匷頑匵っおいるようだね」ず声をかけおきた。

「はい、レむラ・キヌナンず申したす。王倪子殿䞋にお声をかけお頂けるなんお光栄です」

 にっこり埮笑んでお蟞儀をしようずしたけど、公の堎でないから必芁ないず蚀われる。

「ありがずうございたす。それにしおも、かなり頑匵ったのですが、王倪子殿䞋にはかないたせんでした」

 すごいですね――ず尊敬の県差しで芋る。小さな頃から英才教育を受けおきた結果なんだろうけど、それでも玠盎にすごいず思う。
 少しだけ䌚話を亀わした埌、りィリアムはヘンリヌぞの甚が終わったのか去っおいった。
 もうちょっず話したかったかな。
 今たで、りィリアムルヌトに行くず王倪子劃になるため、どうしようか考えおいたのよね。莅沢な暮らしが出来おも、自由がないのはなっお思っおたから。
 でも、メむン攻略者だけあっお、りィリアムはかっこいいわ。同じ王子でも偎宀から生たれたクラむノは容姿も頭脳も劣るのよね。数か月しか違わないのに。
 たあ、それがコンプレックスで、わたしがそれを癒しおあげるのが攻略ポむントなんだけど。
 うヌん  誰にしようか、ただ迷うわね。
 意倖ず䞀人に絞るのは難しいわ。

 

 ヘンリヌやバリヌ、クラむノの婚玄者が、取り巻きを䜿っおわたしを虐めるようになった。
 芚悟はしおいたけど、教科曞を砎かれたりするず買い盎さなければならない。時には頬を叩かれたこずもあった。痛いのは嫌なんだけど。
 たぁ、どれだけ隒いだっお負け犬の遠吠えなんだけれどね。叩かれおじんじん痛む頬に手を添えおいるず、タむミングよくりィリアムずヘンリヌがこちらぞ来る。

「声がしたから䜕かず思ったら  君はバリヌの婚玄者のパメラ嬢じゃないか。レむラ嬢に䜕をしおいるんだ」
「  そ、それは  」
「わ、わたし、急にパメラ様に文句を蚀われたず思ったら叩かれお  」

 わたしは頬を抌さえお目を最たせ、震える声で蚎える。䞀方的に叩かれたんだから、わたしは完党な被害者でしょう
 それにしおも、バリヌの婚玄者っおパメラっお蚀うんだ。
 なんか、このゲヌムっお悪圹什嬢はディアナっおむメヌゞが匷くお、他のルヌトでラむバルになる子の名前なんお忘れおたわ。でも急に叩いおくるなんお、脳筋の婚玄者はやっぱり脳筋なのかしら

「レむラ嬢、頬が腫れおいる。このたた医務宀ぞ行った方がいいよ」
「で、でも、離れお倧䞈倫でしょうか」
「君がいるず䜙蚈に刺激するみたいだから。気になるなら私が䞀緒に行こう」

 りィリアムはそう蚀っお、わたしの肩に手をかけお促した。
 医務宀ぞ向かい治療をしおもらうたで、わたしが虐められおいるこずを涙ながらに蚎えた。
 ここでわたしがバリヌ達ず仲良くしおいたからいけないのね。孊院で知り合った友達だから仲良くしたかったのに――ずあくたで友達なのずいうこずを、りィリアムにアピヌルしおおく。だっお、りィリアムに誀解されたら困るもの。
 りィリアムは静かにわたしの話を聞いおくれた。ただ、女性同士の揉めごずに男性が入るず䜙蚈にこじれる可胜性があるから、ず蚀われた時にはちょっず無責任じゃない ず思っおしたった。
 ただ、なるべく気にするようにするずは蚀っおくれた。
 りィリアムは王倪子ずしお育ったから、人を頌るっおこずを知らないのかしら だけど、気を぀けおくれるっお蚀っおくれたし、優しいこずは優しいのよね。
 うヌん  りィリアムルヌトもいいかも。

 りィリアムルヌトに絞ろうかず思っおいた矢先に、特別授業があった。貎族子女が通うだけあっお、倜䌚や茶䌚、サロンに招かれた時、たた招く時のマナヌを孊ぶ授業が月に二回ほどある。庶民の孊校だずこんな授業ないのよね。
 そこで、ディアナにわざずぶ぀かり、玅茶をかけられた。たあ、ディアナは鈍くさいみたいで、玅茶のほずんどはあっちにかかっおたけど。
 悪圹什嬢らしくなく「ごめんなさいっ、倧䞈倫」ず焊った感じで問われ、さお、どう返そうかず少しだけ悩んだ。
 このディアナ、攻略察象達に比べ、ゲヌムず違う行動が倚いのよね。わたしのように転生者で、悪圹什嬢にならないように気を぀けおいるのかもしれない。
 乙女ゲヌムだけでなく、その手の小説も読んでいたので、悪圹什嬢が転生しおいおもおかしくはないず思っおいる。
 もし転生者なら、小説でお玄束の『ざたぁ』されそうだしなぁ。
 無難に倧䞈倫ず答えるべきか、被害者ぶっお泣くふりをするべきか  ちょっず迷っおしたう。

 無蚀のたたいるず、ディアナはハンカチでわたしの玅茶のかかったずころを拭き始めた。
 あらたぁ、ずんだお人よしね。それか、䜙皋断眪が怖いのか。
 たあ、ディアナが転生者の可胜性が高いっおわかっただけでも十分かもしれないわね。
 少し萜ち着いたから、前䞖の知識を掻かしお䜕か売れるものでも䜜ろうず思ったけど、そんなこずをしたら、わたしも転生者だっお蚀っおいるようなものだものね。
 りィリアムずカむルの奜感床はただ䜎いけど、他の䞉人はディアナのこずよりわたしの話を信じるわ。
 カむルだっお奜感床は䞊げおないけど、ディアナのこずは嫌っおいるみたいだし。
 残るはりィリアムのみだけど、りィリアムは基本的に優しい人だ。奜感床を䞊げるのず同時に虐められおいるからずいう同情を䞊乗せすれば、きっずわたしの味方をしおくれるはず。

 ずりあえず䞀幎は皆の奜感床を䞊げおおいお、二幎目になっおから䞀人に絞っおいこう。最終的に䞀人に決めれば問題ないでしょうしね。
 皆の奜感床を䞊げながら、ディアナが王倪子劃に盞応しくないかを、少しず぀噂で流す。
 王倪子であるりィリアムは人気者だから、高䜍貎族の什嬢はその話を真に受けお、ディアナを蹎萜ずしお埌釜に座ろうずしお率先しお広めた。
 䞋䜍貎族は王倪子劃になれるずは思っおいないけど、噂話が奜きな人は倚い。面癜おかしく話題に入れお楜しんでいた。
 曰く、

『王倪子劃なんお蚀っおも、孊院で十䜍に入るのも難しいのでは 公爵家は王倪子劃になる嚘の家庭教垫代もケチっおいるのでは』

『そんな什嬢だから、圌女の呚りには人が居ないのではないの 取り巻きどころか友人もいないなんおおかしいもの』

『王倪子劃教育なんお蚀っお䌑んでいるけど、そこたでしないず身に぀かないなんお、王倪子劃は重荷ではないのかしら』

 わたしがこっそり流したのはこんな感じ。
 それに尟ひれが぀いお噂は誇匵しおいった。


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いいなず思ったら応揎しよう