見出し画像

私は1人で走れない

世間では「自分軸を持とう」「主体的に動こう」「自走できる人こそが優秀だ」という風潮がまかり通っています。内なる情熱だけで、誰に言われるでもなく暗闇を突き進む。確かにそれは一つの「理想像」に見えます。しかし、私にはそんな大層な自走力はありません。

私は、他人という明確な競争相手がいて、初めて能力を発揮するタイプです。

自走できない私は、出来損ないなのでしょうか?

軸のない、流されるだけの存在なのでしょうか?

私が思うに、それは単にエンジンの仕組みが違うだけ。

「外側にある環境やライバルを、自分を駆動させる最高のガソリンに変換している」のではないかと。

自走を強く求められる時代だからこそ、今日はそんな私の泥臭い生存戦略を内省と共に綴ってみます。


巷にあふれるビジネス書や自己啓発のメッセージ。その多くは「自分軸を持て」「自走せよ」と語りかけてきます。

しかし、誰もが皆、内に消えない太陽を持っているわけではありません。一人で黙々と作業していると、どうしても「これくらいでいいか」と無意識にブレーキをかけてしまう。私にとってのエンジンは、常に「外側」にあります。「あいつには負けたくない」「あの人の領域に追いつきたい」という、明確な競争相手の存在があって初めて、私の打率は跳ね上がるのです。

これを世間は「他人に依存している」とか「自分軸がない」と呼ぶのかもしれません。

ですが、私はこう捉えています。自分軸がガチガチに固まっていないからこそ、周囲をよく観察し、水のように柔軟にその形を変えて適応できるのだと。内に情熱がないなら、外の熱を借りて燃え上がればいいだけです。


とはいえ、いつも都合よく目の前にバチバチと火花を散らせるライバルがいるとは限りません。特に、圧倒的に優秀な上司や先輩が相手だと、今の実力や経験値の差がありすぎて、まともな勝負にすらならないこともあります。

そこで私が実践しているのが、「時間軸をズラした仮想ライバルの設計」です。

今の上司とそのまま競っても勝てない。ならば、「今の上司が、自分と同い年だった頃」を脳内に作り出すのです。

「あの人が今の私と同じ年齢だったとき、一体どこまで仕事ができていたのだろう?」

「どんな壁にぶつかり、どうやって乗り越えていたのだろう?」

そうやって、条件を極限まで揃えた「過去の幻影」をライバルに据えます。「あの人が当時の年齢でここまでやっていたなら、今の自分はもっとやれるはずだ」と、脳内でデッドヒートを繰り広げるのです。これなら言い訳の利かない、究極にフェアな闘いが成立します。

――とはいえ、この脳内ゲームには少しだけコツが必要です。
これはあくまで、自分のポテンシャルを引き出すための「知的な遊び」。過去の先輩と自分を比べて過度に焦ったり、自己否定に陥ったりしては本末転倒です。もしその比較が苦しくなったときは、すぐに脳内の仮想空間をパタンと閉じてしまう。それくらいドライに使いこなすのが、この戦略を健全に続けるコツです。


一人で走れないなら、走らざるを得ない環境をロジカルに作ればいい。

私にとって、優秀な人の存在や世間のベンチマークは、自分を縛る鎖ではなく、自らを加速させるためのブースターです。自分の中に頑固な軸がなくても、外からの刺激をエネルギーに変換して、誰も到達できないレベルまで一気に駆け上がっていく。

それは、単に他人に流されている人の姿ではありません。環境を自分の味方につける、立派な「環境適応の才能」です。

綺麗に自走する大樹になれなくても、周囲の風をエネルギーに変えてしなやかに伸びる竹になればいい。それもまた、一人の人間(n=1)の、泥臭くも極めて合理的なストーリーなのだと思います。


ここまで書いてみて、ふと気づくことがあります。

「自分の性質を分析して、脳内に仮想ライバルを設計し、仕組みで自分を走らせている。それって十分、自走できているのではないか?」と。

確かに、客観的に見ればそうかもしれません。しかし、私の主観はどこまでも「一人では走れない」のです。私のエンジンは、外から燃料を補給し続けなければ、いつでも簡単にガス欠を起こして止まってしまう。そんな依存への脆さや恐怖が、常に根底にあります。

周囲から見れば「自走している優秀な人」に見えるかもしれないけれど、本人の内側は「必死に外の熱をハックしているだけ」。

この客観と主観のズレこそが、私の人間らしさであり、この泥臭い戦略の愛おしい部分なのだと思います。内側にピュアな炎がなくても、仕組みで走れるなら、それはもう立派な私の足跡です。


「自走できない」という性質に悩む必要はありません。その性質を「最高に面白い武器」に書き換えていくのは、他の誰でもない、あなた自身だからです。

一人で走れないのなら、とことん「自分を熱くさせてくれる環境」を探し、ハックしてみてください。過去の傑物たちの背中を追いかけ、期待を超え、自分だけの打率を上げていく。そのプロセス自体が、あなたという人間を最も輝かせてくれるはずです。

もし今、あなたが「一人では頑張れない」と立ち止まっているのなら。その視線を少し外に向けて、脳内に最高のライバルを招待してみませんか。

あなたの人生を生きるあなたへ。どんなエンジンで走るにせよ、それはあなた自身が正解にする物語なのです。

ではでは👋


◆以下の記事が先週特にスキを集めました!


◆メンバーシップをはじめました!

いいなと思ったら応援しよう!