香港編9.「痛=病」マッサージ師に笑われた夜と、亀ゼリー撃沈。|3日目 後編
「痛!痛!」
僕とY さんは、力みすぎていたらしい。メモ帳に書かれた言葉は
「痛=病」
そして、Y さんがもう一つ、忘れられない一言を残すことになる。
日記:2002年9月 深圳、夜
美味い餃子と青島ビールの後、また街をぶらついてみる。
すると、ついにゲストハウスで言っていた「床屋(下ネタ)」の客引きも増えてきた。
「マッサージ、マッサージ」と(あからさまな)ジェスチャーをしながら「安い、すぐそこ」と、日本語で声をかけてくる。
僕たちは正直少し惹かれながらも、ぼったくられそうだし、なんとなく身の危険を感じて通りすぎた。
それにしても、深圳は地図は買ったが、ガイドブックのようなものを持っていないし事前に調べてもないので見どころがわからない。
歩き回って足や体は疲つかれていく一方。
ふと、深圳に来たときに「(ちゃんとしてそうな)マッサージの客引きが多かったこと」を思いだし、そこに向かうことにした。
数あるマッサージ店の客引きの中からYさんが一目ぼれしたチャイナドレスのかわいい子が客引きしている店に決めた。
値は他よりも少しはるが、きれいな感じのところだ。
前払い、後払いなど話を事をきいてYさんと二人で部屋に入る。
わけもわからず2人してオドオドしているとマッサージ師が来て横になといわれる。よかった、希望通り普通のマッサージ屋だ。
英語(というかカンタンな単語すら)つうじないし、筆談も横になっている為、不可。
初めのうち気まずいふんいきだったが、マッサージ師が可愛いい事もあり、Yさんも僕も「痛い!痛い!」とすぐに言ってた事もあり、笑われて徐々に打ち解けていった。
いったん休憩で筆談すると、マッサージ師が「痛=病」と書いてきた。
もう痛すぎるから病だらけじゃん。
最後にはツーショット写真をとって、その店を出たのだった。
商店でジュースとビールと珍珍(読み方は?笑)とかいてある珍味を買ってホテルにもどる。
ホテルに帰るとぐったりで、 もうカメゼリーの事なんかは忘れたかったけど、テーブルをベットの間に置きやけくそで食べたのだった。
そしてその味……。
中途半端。 本当に中途半端。
美味くない。 けど盛り上がる程までマズくはない。
罰ゲームなら完食できるくらいの味。
期待が期待だった為に、ある意味残念だった。
Yさんが言った一言は面白かった。
「味が不愉快。」
不愉快な亀ゼリーはテーブルに置き去りで、もうそのままいつの間にか寝てしまった。
44歳の今、振り返って。
【老子:『道徳経』より】
「信言美ならず、美言信ならず——真実の言葉は美しくなく、美しい言葉は真実ではない」
「味が不愉快」。
文学的でも、洒落てもいない。 でも、これほど亀ゼリーの本質を捉えた言葉はなかった。
美しい言葉より、ど真ん中を突いた一言の方が、人の記憶に残る。
【ゲーテ:『ファウスト』より】
「言葉は人の最も恐ろしい武器であり、最も優しい贈り物でもある」
「痛=病」というマッサージ師の筆談。
「味が不愉快」というY さんの感想。
言葉が通じなくても、たった一言で、その夜の全部が伝わった。
次回は「香港4日目 前編」。
スターフェリー。
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(amazonアソシエイトの広告です。僕が読んだことのある書籍です。亀ゼリー…あの時の味を思い出すのに買いました。健康には良いようです。)
noteタイ編の1話目はこちら
note香港編の1話目はこちら
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