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香港編7. 「祈り」と「初・国境越え」|3日目 前編

今日の目的は、昨日閉まっていた黄大仙廟(ウォン・タイ・シン廟)と、深圳(シンセン)への国境越え。

人生で初めての「国境」が、すぐそこにあった。


日記:2002年9月 北京賓館にて


朝7時半、起床。

旅も折り返しだ。 どうやら7時半に起きるクセがついているらしい。
日本時間で8時半。

シャワーを浴び、外に出て歩く。寝ているY さんを残して。 コンビニでメロンジュースを買い、一人で通りを歩いていると、どこか異国を感じる。

歩く人々を見て、店をまじまじと見つめ、漢字を理解しようとする。

部屋にもどると、工事の音がしてうるさく、お互いの声がとどかない。

日記を書いていると、Y さんが騒音で起きた。

「さあ今日は黄大仙廟と深圳だ」

まず黄大仙廟を目指す前に、花園街をすすむ。

そこで軽食をするつもりで、食堂にたちより、朝のセットメニュー的なのを頼んだ。何が出るかわからなかったけど、とりあえず待っていると、サンドイッチとオムレツ、インスタントラーメンのようなパスタとTea が出てきた。

なるほどモーニングセットだ。

味は悪くなく、むしろおいしかった。日本で食べたことのある味で食べやすい。 けどコーヒーもTea も濃すぎてあまりおいしくなかった。

そこでY さんはこの旅初のおトイレ大をしたらしい。 僕もそのトイレに入ったんだけど「よくできたなー」って位の汚さ。水浸し…。

食後、黄大仙廟の地下鉄の駅をめざし、花園街を歩く。

安いTシャツがならんでいて、「とっとこ ムハハ太郎」と書いてあった。
何でもありだ。花園街はけっこう好きな場所のひとつになった。

軽く雨が降ってきた。漢方のお茶を試飲したり、そこで3個入りの「亀ゼリー」というものをノリで買った。多いし多分マズいだろう。完食できない気満々だったが、思い出として。 その話は後程……。

黄大仙廟まで地下鉄乗車。もう慣れたもんだ(笑)。 昨日閉まっていた廟は開いていた。

門の前には線香を売っている商人が何人もいる。 1つ買い、中に入ってみた。 ここはどこか不思議な感じがする場所だった。

見よう見まねでお祈りをする。3礼して3本をさす。

本堂の他にも線香をさす場所がたくさんあって、いろんな意味があるらしい。 一つずつ回り、最後に本堂でひざまずき祈る。 そしておみくじ的なものをシャカシャカとふり、竹の棒を1本だけ落とす。

18番。

そしてその番号をおばちゃんに言うと紙をくれる。内容が理解できないが、どうやら解説は金がかかるらしい。解説効いてもそもそも言葉もよくわからないし聞かなかった。自分で調べるのもまたそれはそれが楽しいと思ったから。ただ出費節約したかっただけだが(笑)

黄大仙廟を後にし、地下鉄→電車を乗りつなぎ九龍塘、さらに乗りつぎ、深圳にむかう。

ところで、こっちのカップルは割とみんな欧米スタイルで地下鉄や街中でもベタベタしている。 しかも日本より暑くベタベタしているのに、おかまい無しだ。キスこそしないものの、手や体をさわっていないとダメらしい。 顔は日本人とあまり変わらないのに、こうも違うとどうも調子がくるう(笑)。

約40分素朴な風景のなか電車は進み、深せんの一歩手前に着いた。

ここが一応終点で、ここでビザを申請する。 国を越えるのと似たような手続きをとる。

やはり香港は中国であって中国ではないのだと痛感する。

ビザの申請する場所に行くには手間取ったけど、何とか完了した。

境界は川でこの橋をわたると中国らしい。

「初!国境越え!(国境じゃないけど…)」

初めて飛行機で日本の国境を越えてタイに旅行に行ったときの感覚。
今回飛行機で国境を越え香港に来た時にはもう感じなかった、あの特別な感覚。

海に囲まれている平和な国では感じないが、この橋を渡るだけで、国が変わりルールが変わるのかと思うとなんだかとても不思議だった。


44歳の今、振り返って。

「初・国境越え!」と日記に大きく書いている20歳の自分。

国境じゃないけど、と但し書きをつけているところがかわいい。

それでもあの瞬間、確かに「越えた」と感じていた。 パスポートに何かしらの記録がついて、地図の上の線を実際に渡る。 その儀式が、20歳の自分には大きな意味を持っていた。

【パスカル:『パンセ』より】
「人間は葦に過ぎない。しかし、考える葦である」

国境の橋を渡る前、僕は確かに小さな葦だった。 でも「考える」ことができた。 怖さを感じながらも、その先に何があるのか知りたかった。

【ヘルマン・ヘッセ:『シッダールタ』より】
「川は同じように見えて、常に新しい水が流れている。旅人もまた、渡るたびに違う自分になっている」

橋の下を流れる川を見ながら、それと同じことを感じていたはずだ。 橋を渡る前の自分と、渡った後の自分は——少しだけ違う。


次回は「香港3日目 中編」。

深圳で青島ビールを飲んだ夜。

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note香港編の1話目はこちら

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ブログでは主に帰国後のこと(旅のつづき)を発信しています。
いつの日か子供達や誰かの参考になれば嬉しいです。

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