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Amazonが銅を買った理由ーーNo copper = No AI

米国の製造業回帰と資源不足――17.9年という時間の壁

世界的な経済構造の転換が進むなか、米国と西側諸国は自国の産業と重要資源の供給網を再構築する必要に迫られています。ITインフラと製造業を自国で賄う動きは、単なる産業政策ではなく、国家の成長と安全保障を左右する重大な決定です。

この転換を成し遂げるには、これまで想定されていた以上に広範な資源と資金の投入が必要になります。本記事では、米国の製造業回帰(リショアリング)に伴う資源需要の実態、企業による資材確保の具体的な動き、鉱山開発に潜む時間的な制約について、銅を中心に見ていきたいと思います。

第1章 米国における製造業回帰と資源需要の拡大

二つの選択肢とトランプ氏の方針

多くの人々が戦争などの国際的混乱に気を取られ、製造業の国内回帰というテーマへの関心を薄れさせているようですが、トランプはこの方針を維持しています。

米国とその他の西側諸国には、今後の産業戦略において二つの選択肢しか残されておらず、内容は以下の通りです。

・一つ目は、米国にとって最大の競争相手である中国への依存を永続的に受け入れること
・二つ目は、アメリカの産業を国内に回帰(リショア)させること

この二択は、その他の西側諸国にも同様に当てはまります。

米国と西側諸国には、中国への永遠の依存を受け入れるか、アメリカの産業を国内に回帰させるかという二つの選択肢しか存在しません。

サプライチェーンの分断とジャスト・イン・タイムの終わり

製造業の国内回帰が進む背景には、供給網の考え方そのものの変化があります。従来のジャスト・イン・タイム方式は、必要な部材を必要な時に調達することでコストを抑える仕組みでしたが、この前提はサプライチェーンの分断という新しい状況によって崩れています。

地政学リスクと資源の偏在によって、企業は在庫を絞ることよりも、資源そのものへのアクセスを確保することを優先せざるを得なくなっています。

国内回帰に伴うコストと資源需要の増大

何十年も国外へ移転されてきた製造業を国内に戻す取り組みは、決して容易ではありません。米国が自国の産業の競争力を回復させるには、ドルの価値を意味のある水準まで切り下げる必要があり、製造業の国内回帰には鉄鋼・銅・セメント・エネルギーをはじめとする大量のコモディティが必要で、この大規模な取り組みが大量の資源を消費することで深刻なインフレを引き起こす原因になります。

コモディティ市場の歴史的な割安さと資金移動

これらの変化は、株式市場を代表するS&P 500指数に対してコモディティ価格が歴史的にみても割安になっているタイミングで起きています。現在、世界の株式市場に占める鉱業セクターの比率は約1%にとどまっており、歴史的な低水準です。

誰も注目してこなかった鉱業という分野が、資源へのアクセスが、価格そのものを凌駕する国家安全保障の要へと立場を変えています

コモディティ価格が株価に対して低水準にあることから、今後は株式などの金融資産からコモディティ市場へ、極めて大規模な資金移動(キャピタル・ローテーション)が発生する見込みです。

過去にオフショア化された製造業を国内に戻す取り組みは大量の資源を消費してインフレを引き起こしますが、割安なコモディティ市場への大規模な資金シフトを誘発します。


第2章 アマゾンの銅調達とデータセンター建設

銅がリショアリングの焦点になる理由

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