[毎SS]ピースサイン(約440文字)
砂浜の終わりにある崖下の、ゴツゴツした岩肌にその奇岩はある。
岩肌から生えた奇岩は、手首から上が生えたような形で、クッキリとピースサインをしていた。芸術家の突飛な作品と言われても信じられるほど。
誰が呼んだか合格奇岩。
その岩を前に同じようにピースサインをすると、合否のあるものは必ず合格するのだという。
あっと言う間に観光地化。
合格奇岩に上った外国人のために、周囲には鎖のバリケードが作られた。
「誰が作ったんだろうね」
写真を撮り終えた男の子が、共に来た父親に言った。
「さあな」
真剣に写真写りを確かめる父親に飽いて、男の子は合格奇岩の方を向く。
奇岩は、ブルブルと震えていた。
「地震かな?」
「なに?」
確かに、地面が振動している。
現場はにわかに騒然となり、避難が開始された。
抱っこされる男の子は、人々の背にする合格奇岩を見ていた。
「パパ、形が変わった」
震える奇岩は、徐々に形を変え、ピースサインからサムズアップになっていた。
「そっかあ。そっちの方が、グローバルだもんね」
田原にかさんの毎週ショートショート、16回目の参加です。
今回のお題は、頭の中に風景が浮かぶのは早かったのですが、オチをどうするかでとても悩みました。結果、オチと呼ぶにはどうにも薄いオチになってしまったように思います。
生成AIに画像生成を頼むプロンプトを書いたところ、全く異なるピースサインが出てきて、日本人の思い浮かべるピースサインと、グローバルな意味でのピースサインは異なるんだなあ、と思ったのがキッカケでしょうか。
私の中でピースサインと言えば、真っ先に米津玄師が思い浮かびます。
小説を書いている間、頭の中にずっと曲が流れていました。
面白いと感じた方は、スキやコメント等、よろしくお願いします。
作者の励みになります。
それでは、また来週のショートショートで。
