【写真】ルーシー・リー展 庭園美術館の魅力もどうぞ(3回シリーズ)
ほとんどの作品が写真撮影可能なのを知り、庭園美術館と作品の写真を撮りたと「ルーシー・リー展―東西をつなぐ優美のうつわ―」(東京都庭園美術館)へミラーレスカメラを持って出かけました。
(近頃行く、展覧会は人が多過ぎて写真が撮れなくて、そろそろ「撮りたい欲」が出てきたので)

朝香宮家の自邸だったアール・デコ建築の本館
建築や調度そのものも展示作品とともに見れる美術館なのでそれらも紹介しながらつらつらと書き進めていきます。

観光以外で器だけの展覧会は、初めてで決まりごとや見方も知らない初心者だからとりあえず、『やきものの見方・楽しみ方(全国窯場別)』(仁木正裕 主婦の友社)を図書館で借りてさらっと見てから行きました。(あまり、関係なかったような)

この春、国立西洋美術館で葛飾北斎の「井内コレクション」を見て興味を持ち色々調べていくうちに、コレクションの中にルーシー・リーの作品もあると知り興味を持ちました。(ルーシー・リーもここで初めて知りました)
今展のメインビュジュアルである最初の展示が、その井内コレクション(国立工芸館寄託)です。

大広間の中央の木製のアーチの向こうの円柱のケースの中にポツンと一点だけ展示されているのが、「青釉鉢」
特別感のある展示台の上の青い釉薬の器が美しく、まるで、部屋全体の空気を支配し仕切っているようでした。
実は、この器は晩年のものでここから先の展示は、テーマ別でありながらほぼ年代順になっていて、リーの足跡をたどりながら見れるので初心者の私でも見やすかったです。

同じ井内コレクションの西洋美術館で見た葛飾北斎の『富嶽三十六景』の美しいベロ藍とこの器の半貴石のようなターコイズブルーは、時代もジャンルも超えた青の傑作であり、それを見出した井内氏の審美眼は素晴らしいなあと思いました。



ウィーン工房のこのグラスをこうやって後から見返すと無駄を削ぎ落とした洗練されたシルエットは、リーの極限まで薄いシャープな器のフォルムと通じるものがあります。
ここからの作品を見るとウィーン工房の家具や日用品が身近にあった幼少期や恩師のヨーゼフ・ホフマンから受けた影響が、後年まで三つ子の魂のように宿っていると思いました。

ウィーン工芸美術学校を卒業したばかりの作品です。
(後から見返すと)同じような色の後年の作品と比べてマルチカラーの釉薬のコントロールができていないように見えます。



口縁下から高台脇までの茶色い細い線は、手作業で針を使い一本一本削り落としていくルーシー・リーの代名詞とも言える技法「掻き落とし(線文)」

掻き落とし…息を殺して精神を統一して1本1本線を作っていくのかと思ったら映像では案外、すらすら躊躇なく手を動かしていたので簡単そうに見えたが、ミリ単位のコントロールには違いないはず
よく見ると手作業ならではの微細な揺らぎもあり、彼女の息遣いが感じられいい味になっています。


作品によっては、展示台の何本かの小さなライトの光が直接、器に当たり、それ以外にも天井から光が降りてきて、それら複数の光の副産物である影の重なりがおもしろかったりします。



優しくくすんだ桃色とグレーのマーブルの色合いが、好みです。

熔岩釉特有のフツフツとしたクレーター
ままならないが、白いグローブを外して、素手でその感触を試してみたいです。
(手触りは、萩焼のように柔らかいのであろうか)

斬新!
日本の明治時代に作られたものでしょ!今の北欧デザインのアラビアやマリメッコに通じるものがあります。
(ロンドンに渡ってもイギリスの田舎風の器には染まらなかったのは、こんな都会的でシャープな器を見ていたからかもしれません)





ルーシー・リーの器は、「陶器」なのか「磁器」なのか?
ここで、図書館で借りた焼きものの本を見ると焼く温度によって違うそうで、このティーセットは、1300度以上で焼いた陶器であろう(分からないときは、「焼きもの」で誤魔化します)










作品によっては、人工的な均一な光とは違うカーテン越しの柔らかな日差しが届き優しい影を作るのも邸宅ならではの演出です。
に続きます。
