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「海のうた」 同時代の歌人100人

「海に来れば
海の向こうに
恋人がいるように
みな海を見ている」



「海のうた」 同時代の歌人100人



同時代の歌人がうたった、海のうた。


真っ青な海色の装丁。
その帯には、このうたがありました。


きっと海に来ると、みんなこんな心境になるのでしょうね。


海に来れば
海の向こうに
恋人がいるように
みな海を見ている


ー 五島論


 「BOKEETTO(ぼけっと)」という神戸・須磨海岸で行われたビーチマルシェが春にありました。「ぼけ〜っと」海を眺めながら、食、雑貨、本を楽しむ。そんなコンセプトのイベントでした。


その中のブース「自由港書店」さんで購入した海をテーマにした短歌アンソロジー「海のうた」。


海を背景に並べられた本を見ていると、この装丁を思わず手に取ってしまいました。


余白のある言葉は、まるで一瞬を切り取った写真のように脳裏に流れます。


言葉で説明していないのに、その一瞬が永遠の風景のように胸の裡へ焼き付くのです。


そこには、海の情景や匂い、光、波の音、海風、遠い過去から受け継がれてきた記憶さえも、一瞬のうちに懐かしい気持ちへと変わっていきます。


そして、いつまでもそんな海のように、心を潤してくれるのです。


釣り船のあかりと星とを分かちゐし
水平線が闇にほどける


ー 光森裕樹

すれ違う電車が窓へ投げ入れた
鱗散る海からきた光


ー 立花開

空調の音さざ波に変わりゆく
寝不足の午後の図書館は海


ー 戸田響子

つないだ手やわらかかった春の海
まぶしいままで終わりにしたい


ー 上澄眠

寄せ返す波のしぐさの優しさに
いつ言われてもいいさようなら


ー 俵万智


         ◇


日々、忙しい毎日に心は疲れていませんか?


そんなときは何も考えずに、ぼけ〜っと海を眺めに行くこともいいかもしれませんよね。


波の音を聞きながら、潮風を浴び、雄大な水平線を見ていると心が潤されるでしょう。


でも、海に行けない人も多いと思います。


そんなとき、この短歌集を読んでいると、海が思い出されます。夜眠る前に読むと、気持ちが軽くなるのではないでしょうか。


砂浜に埋めた涙を余白に変えて、
言えなかった気持ちをうたに込めて
波につれて帰ってもらえたら。


明日もまた、自分の歩幅で、
ときどき海を思い出しながら…



【出典】

「海のうた」 同時代の歌人100人 左右社


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