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映画評 黒牢城🇯🇵

(C)米澤穂信/KADOKAWA (C)2026映画「黒牢城」製作委員会

米澤穂信による同名ミステリー小説を『スパイの妻』『クリーピー 偽りの隣人』の黒沢清監督によって実写映画化。第79回カンヌ国際映画祭カンヌ・プレミア部門出品。

荒木村重(本木雅弘)は織田信長の暴虐なやり方に反発して謀反を起こし、有岡城に立てこもる。妻・千代保(吉高由里子)を心の支えに、城と人々を守ろうと苦心していた。そんな中、城内で少年が殺害され、その後も怪事件が続発する。誰もが疑心暗鬼に陥っていく。追い詰められた村重は、牢に囚われた天才軍師・黒田官兵衛(菅田将暉)に協力を仰ぎ、事件の解決に挑む。

本作は間違いなく、映画向きの物語では無い。謎解きは黒田官兵衛に頼りっきりとなり、密室物としても中途半端。荒木村重が抱える葛藤や織田軍に包囲された城内に住む人々の本音を吐露するまでに至るシークエンスも台詞によって演出される。役者陣のスター力や怪事件によって炙り出される人の性と武士としての誇りの美辞麗句など見応えがないわけでは無いが、勿体無い出来だ。

城内で次々と起こる怪事件を黒田官兵衛の知恵を借りて解決するミステリーなのだが、官兵衛に頼れば、難関な事件が意図も簡単に解決する展開となっているため、謎を解く便利屋感は否めない。逆に村重を利用する展開や村重が腹を割って本音で語り合う導き手としての役所を設けたのは評価に値するが、肝心なミステリーとしての役どころは簡単に片付けられてる。

城内に立て篭もることで事件が発生する密室物ではあるのだが、舞台が城壁に囲まれた城内という中途半端に広く狭い。原作小説では読者の頭の中で空間を補完することで密室を作り上げられるが、映像として空間を構築した本作には、密室としての説得力は弱く映る。立てこもり続けたことで発酵する人の性や裏切り者の正体という心理サスペンスは描いているものの、息苦しさや閉鎖感には欠けている。

籠城し続けることでの息苦しさや閉鎖感、さらに武士が創り上げる世界の負の側面を集約させたのが村重の妻・千代保だ。長尺の台詞かつ長回しのショットで、暗い城内の中、想いを吐露するのだが、映画向きのカタルシスの解放というよりかは、演劇向きのように思えてならない。台詞に依存した構成の限界すらも集約されたように見えてしまう。

総じて悪い出来という訳ではない。時代劇初挑戦ながらも『CURE』や『蛇の道』のように所々黒沢清監督の作家性が垣間見えたのは事実。また、荒木村重の人物像も武士道を美化することなく鋭い視線を用いて描いているのは確か。しかし、題材が題材なだけに、映画では最大公約数を導くことはできていない。

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