言葉は最初からあった訳ではない。人の営みの中で生まれていく。
源平合戦、戦国、幕末。
— 乱世にこそ英雄たちは生まれ、
時代を駆け巡り、やがて伝説となる。
英雄・源義経の悲劇的な最期は、多くの日本人の心を打ちました。以来、弱い立場の方に肩入れすることを指す「判官贔屓」という言葉が生まれました。
今日は、様々な偉人たちが残した「言葉」と「語源」の世界を覗いてみようと思います。
私が1番好きな辞世の句は、戦国時代の武将・佐々成政のこの一句です。
この頃の 厄妄想を入れ置きし
てっぱちぶくろ 今破るなり
出世街道まっしぐらのエリート武将でしたが、主君・信長の死をキッカケに時代に翻弄されていきます。
誇り高い武将としての「心」と下剋上の「世」の狭間に苦しみ、その果てに辿り着いた静かなる境地。その句を詠むたびに、佐々成政という武将の心に触れているような感覚になり、魂が震えます。
個人的に好きな句をもう一句。
こちらは、幕末・会津藩の婦女隊の女性・中野竹子の歌です。
もののふの たけき心にくらぶれば
数にも入らぬ 我が身なれども
故郷を守りたいという想いは強いのに、最前列に立てない女性としての歯痒さを感じる歌です。それでも気高い心は男性たちとなんら変わりありません。会津戦争の際にはこの歌を短冊にしたため、自らの薙刀に結びつけ戦ったそうです。
女も子どもも一丸となって戦った会津戦争。地位も名誉も失った果てに賊軍と蔑まれますが、第二の人生で教育界に身を投じ、近代国家の礎となった方々が多いです。会津魂の誠を感じます。
中国の乱世からは、当時のエピソードが語源となった故事成語が沢山生まれました。
漫画キングダムでおなじみの春秋戦国時代の法家・韓非子は、【矛盾】という言葉を生み出しました。
同時代にはほかにも
四面楚歌
左遷
右に出る者がいない
背水の陣
完璧
傍若無人
疑心暗鬼
漁夫の利
など、現代で日常的に使用される言葉が沢山ありました。左遷って言葉も故事成語から生まれていたんですね。誕生にまつわるエピソードはどれも興味深いです。
三国志からは
苦肉の策
破竹の勢い
三顧の礼
登竜門
などが誕生。苦肉の策は、有名な赤壁の戦いの最中に生まれた言葉です。
国と時代は変わりますが、ギリシャ神話からは
レア
ミュージック
マラソン
ヨーロッパ
ジューンブライド
へべれけ
ナイキ
アポロ計画
パニック
ハーモニー
アキレス腱
エコー
など、神々の名やエピソードが語源となった単語が沢山生まれました。世界的に有名なスポーツメーカー「ナイキ」も、ギリシャ神話が由来だったとは。
言葉は、最初からあった訳ではありません。
人の営みや歴史の中で言葉が生まれた「瞬間」や「エピソード」を振り返ってみると、現代では忘れ去られている「物事の本質」が見えてくるような気がします。
普段何気なく話している自分の口癖の中に、意外な事実や面白いエピソードが隠されているかもしれません。
ほかのエピソードはこちら
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