3000万で会社を辞めた ― 月10万で生きる設計
数字は足りている。それでも怖い
資産は約3000万円。生活費は月10万円。
年間120万円あれば生きていける計算になる。3000万に対して年4%。いわゆる4%ルールの水準そのままだ。理論上は、資産を減らさずに暮らしていける。
計算はもう何度もした。何度やっても答えは同じで、大丈夫だという結論が出る。
それでも怖い。
給料が振り込まれなくなるという事実は、エクセルの上の数字とは別の重さがある。
なぜ辞めたのか
正直に書くと、資産が目標額に届いたから辞めたわけではない。
組織で働くこと自体が、続かなかった。
仕事が嫌いだったわけでも、特定の誰かと揉めたわけでもない。ただ、8年やってみて、自分は集団の中で長期間過ごすことに向いていないと分かった。
これは能力の問題ではないと思っている。向き不向きの話だ。ただ、向いていないことを30年続けるのは無理だ、と判断した。
たまたま、そのときに資産が3000万あった。それだけの話だ。
月10万という数字について
FIREに関する記事を読むと、必要額として5000万、7000万、1億という数字をよく見る。
それらの数字は、たいてい月30万前後の生活費を前提にしている。
私の場合は月10万だ。だから必要額も3分の1で済む。
資産の額より、支出の低さの方が効く。
これは当たり前のようでいて、あまり語られない。多くの人は「いくら貯めるか」を考えるが、実際に自由度を決めているのは「いくらで生きられるか」の方だ。
月10万で暮らせる人にとって、3000万は25年分になる。月30万必要な人にとっては、8年分でしかない。同じ3000万でも、意味がまったく違う。
辞める前にやったこと
実務的な話も書いておく。これから辞める人には役に立つはずだ。
健康保険:任意継続を選んだ
退職後は、任意継続・国民健康保険・扶養の3択になる。私は任意継続を選んだ。
注意点は2つある。ひとつは、資格喪失日から20日以内に申請しないと権利を失うこと。もうひとつは、会社が半分負担していた分がなくなるので、保険料はおおむね倍になること。
納付が1日でも遅れると資格を失うので、口座振替にしておいた方がいい。
国民年金への切り替え
退職後14日以内に市区町村で手続きする。所得が下がれば免除や猶予の申請もできるが、資産がある場合は納付した方が合理的なケースが多い。
住民税
これが一番の落とし穴だと思う。
住民税は前年の所得に対して課税される。つまり退職した翌年も、働いていた年の所得に対する請求が来る。無収入なのに、それなりの金額を払うことになる。
この分は現金で確保しておく必要がある。
減っていく数字に、たぶん慣れない
ここからが本題かもしれない。
私は「資産を取り崩したくない」と強く思っている。運用で増えた分にも、できれば手をつけたくない。
合理的ではないと分かっている。使うために貯めたはずで、25年持つ計算も出ている。それでも、口座の数字が前月より減っているのを見るのが、どうしても嫌だ。
これは論理ではなく感覚の問題で、たぶん計算では解決しない。
だから決めた。
2年間だけは、取り崩すことを許可する。
月10万×24ヶ月で240万円。資産の8%だ。3000万が2760万になる。
一生取り崩し続けると思うから怖いのであって、期限を区切れば耐えられる。これは生活費ではなく、2年分の自己投資だと考えることにした。
その2年で何をするか
まだ決まっていない。
将棋はウォーズ六段まで指したし、投資は8年続けている。ゲームも長くやっている。何かにはなりそうだが、どれが形になるかは正直わからない。
わからないので、とりあえず書くことにした。
このnoteがそれだ。収益化の予定はない。有料記事も、いまのところ出すつもりはない。自分が有料noteを買う気にならないのに、人に売るのは筋が通らないと思っている。
2年間、書き続ける。それで何も起きなければ、そのときはまた考える。
同じことを考えている人へ
もし今、辞めるかどうか迷っているなら、ひとつだけ勧めたいことがある。
自分が月いくらで生きられるかを、正確に出してみてほしい。
必要額は「いくら貯めるか」ではなく「いくらで生きられるか」で決まる。そして後者は、たいていの人が思っているより低い。
その数字が出ると、漠然とした不安が具体的な条件に変わる。私の場合は、それで判断ができた。
※本記事は個人の経験を記録したものであり、退職や資産運用を推奨するものではありません。制度に関する内容は執筆時点のものです。手続きの詳細は必ずご自身でご確認ください。
