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yuuri0412
バッハ 「シャコンヌ」
ギドン・クレーメル
夕闇がせまる、オーストリアの古びた教会
ひんやりとした石壁のなかに
ぽつんと一人、彼はヴァイオリンを構える
窓から射し込むのは、傾きかけた細い一筋の光
最初の和音が、埃の舞う高い天井へと昇ってゆく
その音は、古びた木肌のようにざらつき
つや消しの影を帯びて、祈りのように空間を沈めていく
華やかな舞台ではなく、ただ静かな祈祷室の情景
ニ短調の歩みは、冷たい石の床を一段ずつ降りる足音
弓が弦を擦るかすかな摩擦の音が
まるで冬枯れの並木道を吹き抜ける風のように
誰もいない室内に、寂しく響き渡る
長い影が床に伸びる頃、音楽に柔らかな陽だまりが生まれる
窓のステンドグラスを透かして
オレンジ色の淡い光が、祈る彼の手元をそっと照らす
それは、遠い記憶の中のぬくもりのようなニ長調
テクニックという名の装飾は、すべて夜の闇に溶けて消え
残されたのは、ただ一人の男が奏でる呼吸と、沈黙と、剥き出しの木の響きだけ
最後の音が消え去った時
西の窓の光も消え、教会は完全な夜に包まれる
しかし私たちの目には、まだ 夕暮れの光の中で弓を止めた、彼の静かな姿が焼き付いている
いすみん
