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今宵は、ナンとカレー二品

とっておきのルイナールと、カレーの夜

今日は、とっておきのルイナールを開けることになりました。予定外です。

フレッシュ野菜のサラダ、グリーンとチーズのサラダ、チーズの盛り合わせ、ベーコンリエットでアペリティーボ。

大切にとってあるチーズを少しずつ
ルイナールはよく冷やしていただきます。
チーズは食後にも。

メインは二種のカレー。ヨーグルト入りのキーマカレーと、エビのココナッツカレー。そして手作りのナンです。ナンは市販のナンミックスを使用したので、半分手作り。
ルイナールには少しカジュアルすぎるかしら、とも思いましたが、今夜はどうしてもカレー気分なのです。

ルイナールのために、シャンパンクーラー出陣

最近の出来事を話しながら、彼とゆっくりとアペリティーボを楽しむ時間は至福のひととき。旅行よりも、外食よりも、ずっとゆったりと過ごせます。費用も三分の一くらい。お家ご飯だと、外食では手が出せないお酒も飲めるのです。

私たちの会話は、現在の話題から過去15年ほどを自在に行き来し、共通の思い出を探りながら再び「今」に戻ってくる――振れ幅の大きいスタイルです。
仕事の壁、共通の知人の近況、ちょっとした愚痴、平成の思い出、令和の人間関係の悩み。そして新しいトピック。彼との会話からは、競合の動向の“空気”も感じ取れて、意外と参考になるのです。

ナンで食べるカレーは、誰のもの?

ナンでカレーを食べるのは久しぶり。わが家では彼のリクエストでグリーンカレーを作ることはありますが、ナンを合わせるのは今回が初めてです。
ナンはフライパンで焼きました。十分おいしい。

けれど以前、一緒に働いたインド人のIT担当者に聞いたところ、デリー周辺出身の彼でも「家庭でナンを食べることはほとんどない」とのこと。
そういえば私も、日本でもインドでもイギリスでもナンを食べた記憶はあるけれど、北インドではチャパティあるいは、ロティを食べました。北インドしか訪れていない旅なので、ライスを食べた記憶はありません。
一方、東南アジアではカレーはライスが基本。タイカレーも、シンガポールで食べたフィッシュカレーも、やはりライスでした。

インド、あるいは東南アジアのバックパッカー旅では、ナンを食べている描写はない。パサパサのご飯を右手でつまんで食べているイメージ。

では、ナンは誰のもの?
日本のインド料理店は、なぜどこもナンを出すのでしょう。

私の原点は、銀座のナイルレストラン。小学生の頃に連れて行ってもらって以来、40年の顧客です。名物のムルギーランチはターメリックライスです。
京橋でよく通った南インド料理のダバ・インディアでも、ナンよりチャパティやバスマティライスで食べた記憶があります。

日本における「ナン」の物語

調べてみると、日本にインド料理店が誕生したのは戦後まもなく。銀座のナイルレストランが1949年創業とされ、1960〜70年代に徐々に広がりました。
そして1980年代後半、バブル期にインド料理店が急増。「カレー&ナン」という現在のスタイルが定着していきます。

実際には、インド全土で日常的にナンを食べる地域は北部の一部に限られ、家庭ではチャパティや、一部の地域ではライスが主流。
それでも日本でナンがここまで普及した理由は、いくつか考えられます。

① 非日常感とインパクト
巨大なタンドール窯で焼く、外はカリッと中はもっちりのナン。日本の家庭的なカレーライスとの差別化として、また特別な日のご馳走として、圧倒的な存在感がありました。

② 日本人好みの食感
もっちりとした食感は、日本人の嗜好に合います。全粒粉の素朴なチャパティより、精製小麦粉を使ったリッチなナンが支持されたのでしょう。

③ タンドール窯の国産化
1960年代、日本製タンドール窯が開発され、量産が始まります。これにより街の小さなインド・ネパール料理店でもナンを焼ける環境が整いました。

④ネパール人オーナーの多さ
この背景も影響していると言われています。彼らが日本で店を開く際、成功モデルだった「タンドールとナン」のスタイルを継承したことで、今の風景が作られたという説もあります。ちなみに、ネパールでは、ナンは食べられていません。

なるほど。
「インド人はナンでカレーを食べる」というイメージは、インド料理が日本に定着する歴史であり、“日本でウケる”ための長年のマーケティング成果でもあるのですね。

無国籍という、自由

ルイナールの特別感に背中を押され、今夜はナンを焼きました。本来はタンドール窯で焼くものを、フライパンで気軽に。

インドから遠く離れた日本で、マーケティングが育てたナンの文化とともに、日本風にアレンジしたカレーを食べるアラフィフ二人。
もはやインド料理というより、グローバルな無国籍料理です。
合わせるカレーは、ヨーグルト入りのキーマカレーと、エビのココナツミルクのカレー。ナンと合わせるのが正解なのか、日本的なTokyoっぽいラインナップです。

私は、こうしたローカライズを自然に受け入れている。
だから海外で和食が現地仕様に変化しても、あまり抵抗がありません。文化は、根付いてこそ生きるもの。

「郷に入りては郷に従え」と言うように、本場では本場の流儀に従い、本場への敬意を忘れてはなりません。敬意があれば、ローカライズはあってよいのではないでしょうか。

ルイナールから始まる、カレーとナンの食卓。
食文化の“いいとこ取り”。そう思うのは、私だけではないはずです。

ごちそうさまでした。


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シェヘ|アラフィフ視点 応援ありがとうございます。とっても励みになります:)

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