「維新の議員定数削減案」考

大多数の国民から金を搾り取り、自分の懐を肥やそうとする新自由主義的富裕層は、公務員と政治家を減らすのが大好き。
公務員を減らせば、公務員に支払う給料を減らせる分、税金を減らせるし、公務員が少なくなればなるほど、国民全体の福利厚生を充実させることが難しくなるので、富裕層から貧困層への「再分配」が機能不全に陥る。その結果、再分配も行われなくなり、税金を支払う必要がなくなる。公務員が減れば、富裕層から税金を取ろうと取り締まることも難しくなる。その分、税金を支払う必要が薄れる。というわけで、新自由主義的富裕層は、公務員を減らすのが大好き。

で、公務員を減らすためにどうするかというと、あたかも庶民の味方のふりして「公務員は無駄に税金を浪費している」「社会福祉を減らせば税金が少なくなり、私たちの生活はそれだけ豊かになる」という言説を広告会社などに広めさせ、国民自らが公務員を憎み、攻撃し、公務員を減らす方向に動くように仕向ける。

しかし実は、公務員とは、富裕層から多めにとった税金を貧しい人に再分配するために働く人たちということができる。この人たちが減れば再分配機能が損なわれ、貧富の格差が大きくなる。しかし、広告会社にお金を支払えるのは富裕層のため、新自由主義的富裕層にいいように世論をコントロールされてしまう。90年代後半から公務員バッシングが始まり、2000年代に入ってから猛威を振るったが、今思えば、新自由主義的富裕層の思惑通りに事が進み、貧富の格差が拡大してしまった感がある。

さて、新自由主義的富裕層は、政治家を減らすのも大好き。政治家が減れば、金の力、権力の力で政治家を丸め込むのがラクになる。弱みを握るのも簡単になる。特に野党の数を減らせば、与党だけ篭絡すればいいだけだから、政治を掌握してしまうことが簡単になる。

維新が、国会議員を減らす「定数削減」を言い出したのは、おそらく新自由主義的富裕層の意向を受けたものだろう。この策を授けたのはおそらく、竹中平蔵氏のように思われる。もしそうだとすれば、この策を誰よりも願っているのは日本国内の新自由主義的富裕層というより、アメリカの新自由主義的富裕層である可能性がある。

維新が提案した案では、地域ごとに選ばれた議員は減らさず、(ざっくり言えば)全国的に人気の高い人・党が当選する「比例代表」だけを減らすものになっている。
維新はこの案を提案する際、「身を切る改革」と言っていたが、維新は全国的には人気がないため比例代表ではあまり当選しておらず、地域選出の議員が大半。このため、比例代表の議員が減っても、維新は痛みを感じずに済む。

しかも、比例代表で多くの議員が当選しているのは、全国的に人気の高い議員を擁している野党。比例代表は全国投票の結果であるだけに、新自由主義的富裕層がどうにかコントロールしたくてもやりにくい。むしろ、新自由主義的富裕層が嫌う貧困層の意向が反映されやすい傾向がある。

他方、維新が強みとする地方選出議員なら、地方ごとに利益誘導すればいいから、新自由主義的富裕層がそれらの議員を篭絡しやすい。地方選出議員を減らさず、比例代表を減らす提案をしているのは、竹中平蔵氏が狙う「新自由主義的富裕層が支配する社会」を実現するための布石である可能性が高いように思う。

自民党も小泉純一郎氏、安倍晋三氏以来、新自由主義的富裕層を優遇する政策が強化されており、現在もその傾向があるといえる。しかし自民党自らが野党の議員を減らすことになる比例代表だけを減らす案を提案することは、大バッシングを受けかけない。

その点、維新が提案するというのはなかなか巧妙。もともと維新は、橋下徹氏が党首だった時代から「自民党を野党の立場から支える党」(野党でも与党でもない「ゆ」党)として活動しており、今回与党入りしたものの、自民党が提案しづらい案を代わりに提案することで、自民党が憎まれ役にならずに済む、という役回りを果たしている。実に巧妙。狡猾だといいたくなるくらい。

維新は小さな党ながら大改革を提案しているフリができる。自民党は維新との約束を果たそうとしている義理堅さを演出できる。そうしたポーズをとることで、「新自由主義的富裕層に国のかじ取りをゆだねてしまう」ということの本質が見えにくくなっている。実に巧妙。実に実に巧妙。

こうした政策を考えられるのは、日本広しといえど、竹中平蔵氏以外に私は思い当たらない。竹中氏は維新の顧問らしいから、かなり可能性は高いと思う。

この定数削減案、いや、比例代表削減案が実現すれば、新自由主義的富裕層、いや、アメリカの新自由主義的富裕層が好きなように政治家を買収し、あるいは弱みを握り、日本の政治を自在に操作できる国へと変わるだろう。そうした国柄に変化してしまうことを、さも「身を切る改革」のふりをして提案するのだから、維新の厚顔ぶりは実に見事といえる。心から感服する。

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