水菜が、南イタリアになる日 —— ベーコンとレモンの塩梅
チャオ!
七月の台所は、火を使うのがちょっとした修行になる。こう暑いと、こってりした料理は見ているだけでお腹がいっぱいになってしまう。だから今日は、フライパンを握るのは数分だけ。あとはボウルの中で仕上げる、そんな夏の一皿の話をさせてください。
ミラノに住んでいたころ、僕がずっと不思議に思っていたことがあります。イタリアのサラダって、びっくりするほどシンプルなんです。葉っぱに、オリーブオイルと、レモンか酢、そして塩。ドレッシングらしいドレッシングが、テーブルにボトルのまま「はい、あとは自分でどうぞ」と出てくることさえある。最初は「え、これだけ?」と拍子抜けしました。でも食べると、これがちゃんと決まる。塩と、酸と、油。イタリアの"塩梅(あんばい)"って、突き詰めるとこの三つのバランスなんだな、とだんだん分かってきたんです。
——で、ある日の冷蔵庫。水菜が一わ、余っていた。
シャキシャキした食感に、ほんのりピリッとする青さ。これ、イタリアで生のまま食べるルッコラ(あちらではルーコラと呼びます)に、どこか似ているぞ、と。だったら、と思ったんです。日本の食材で、あのイタリアの塩梅を再現できるんじゃないか、と。
主役はベーコン、水菜、エリンギ、そしてレモン。ベーコンの塩気が"塩"、レモンが"酸"、オリーブ油が"油"。ほら、三つちゃんと揃ってる。しかもポイントは、カリカリに焼いたベーコンを"油ごと"熱いまま水菜にかけること。生の水菜が余熱でほんの少しだけしんなりして、シャキッと感は残したまま、香りだけがふわっと立ち上がる。これはもう、温かいサラダの領域です。
作り方

はこちら。
材料(4人分)
エリンギ … 1パック
ベーコン … 3枚(贅沢にいくならパンチェッタで!)
水菜 … 1わ(200g)
オリーブ油 … 大さじ2
レモン汁 … 大さじ1(量はお好みで)
塩・こしょう … お好みで
作り方
ベーコンは縦1cm幅に切る。水菜は洗って水けをきり、4cmくらいに切る。エリンギは縦にお好みの薄さで、長いものは半分に切る。
フライパンにオリーブ油を入れて中火で熱し、ベーコンを炒める。
脂が出てきたらエリンギを投入。ベーコンがカリカリに、エリンギに軽く焼き目がついたらOK。
ボウルに水菜を入れ、レモン汁と、炒めたものを"油ごと"投入。塩・こしょうをして、さっと混ぜ合わせたら完成!
火にかけるのは、ほんの数分。なのに、ベーコンとレモンが入っているだけで、気分はもう南イタリアだ(笑)。
飛行機に乗らなくたっていい。イタリアの塩梅は、日本の食材の中にもちゃんと住んでいる。そう気づけた、夏の夜でした。
キリッと冷やした白ワインがあれば、言うことなし。……あ、そういえばミラノの夏の夜といえば、アペリティーボ。でも私は今ワインを含むアルコールは断酒4年目に突入。もう少しがんばればイタリア的ライフスタイルが
待っている。
それではまた。チャオ!
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