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問題6〜8|50代の資格挑戦・学習記録 #92

賃金は、支払った金額と消費した金額が同じとは限らない──

前回までは、第2章「材料費」の問題演習に取り組んできた。

今回からは、第3章「労務費」に進む。

今回は、

* 賃金の当月消費額
* 賃金支給時と消費時の仕訳
* 直接労務費と間接労務費
* 予定賃率による賃金消費額
* 賃率差異

について、問題6〜8を解いていく。

材料費と同じように、労務費でも、

「実際に支払った金額」



「当月の製造に使われた金額」

を区別して考えることがポイントになる。



😸問題6 当月の賃金消費額

次の資料にもとづいて、当月の賃金消費額を計算する。

[資料]

(1)前月賃金未払額
50,000円

(2)当月賃金支給総額
200,000円

うち、源泉所得税と社会保険料の合計額
25,000円

(3)当月賃金未払額
40,000円



😸賃金消費額の考え方

賃金についても、支給した金額がそのまま当月の消費額になるとは限らない。

当月の支給額には、前月にすでに消費していたものの、まだ支払っていなかった賃金が含まれている。

一方で、当月に働いてもらったものの、まだ支払っていない賃金もある。

そこで、

当月支給総額 − 前月未払額 + 当月未払額

によって、当月の賃金消費額を求める。

今回の場合は、

200,000円 − 50,000円 + 40,000円
=190,000円

したがって、

当月の賃金消費額:190,000円

となる。

源泉所得税や社会保険料25,000円は、従業員に直接渡さず会社が一時的に預かっているだけなので、賃金消費額そのものを計算するときには差し引かない。

ここは、

手取り額ではなく、支給総額で考える

という点に注意したい。



😸問題7 賃金に関する一連の仕訳

次の取引について仕訳する。

使用する勘定科目は、

仕掛品
製造間接費
賃金
未払賃金
現金
預り金

である。



(1)前月の未払賃金を振り替える

前月の賃金未払額20,000円を、未払賃金勘定から賃金勘定に振り替える。

仕訳は、

(未払賃金)20,000 / (賃金)20,000

となる。

前月末には、

(賃金)/(未払賃金)

として未払額を計上している。

当月になって賃金を支給する前に、それをいったん賃金勘定へ戻していると考える。



(2)当月の賃金を支給する

当月支給総額は300,000円。

このうち、

源泉所得税:30,000円
社会保険料:10,000円

を差し引き、残額を現金で支払った。

預り金は、

30,000円+10,000円
=40,000円

実際に支払う現金は、

300,000円−40,000円
=260,000円

したがって仕訳は、

(賃金)300,000 / (預り金)40,000
         / (現金)260,000

となる。

ここでも、賃金として処理するのは手取り額260,000円ではなく、支給総額300,000円である。

源泉所得税や社会保険料は会社が一時的に預かっているため、「預り金」として処理する。



(3)当月の賃金消費額を振り替える

当月の賃金消費額は330,000円。

内訳は、

直接労務費:200,000円
間接労務費:130,000円

である。

直接労務費は、どの製品のために発生した費用なのかを直接把握できるので、

仕掛品

へ振り替える。

一方、間接労務費は特定の製品に直接結びつけられないため、

製造間接費

へ振り替える。

したがって、

(仕掛品)200,000  /(賃金)330,000
(製造間接費)130,000

となる。

これは以前学んだ、

直接費 → 仕掛品
間接費 → 製造間接費

という基本ルールと同じである。



(4)当月末の未払賃金を計上する

当月末の賃金未払額は50,000円。

したがって、

(賃金)50,000 / (未払賃金)50,000

となる。

当月にすでに労働というサービスを受けているため、当月の賃金として計上する。

ただし、まだ支払っていないので貸方には「未払賃金」を計上する。

問題6の、

支給総額 − 前月未払額 + 当月未払額

という計算も、この一連の仕訳を理解すると意味が分かりやすくなる。



😸問題8 予定賃率と賃率差異

次は、予定賃率を使って賃金の消費額を計算する問題である。

当社では、

予定賃率:@1,100円

を使用している。

当月の実際作業時間は400時間で、その内訳は、

直接作業時間:300時間
間接作業時間:100時間

であった。



(1)予定賃率で賃金消費額を計算する

まず直接作業分。

@1,100円×300時間
=330,000円

直接作業によって発生した賃金なので、直接労務費として「仕掛品」に振り替える。

次に間接作業分。

@1,100円×100時間
=110,000円

こちらは間接労務費なので「製造間接費」に振り替える。

合計すると、

330,000円+110,000円
=440,000円

したがって仕訳は、

(仕掛品)330,000   /(賃金)440,000
(製造間接費)110,000

となる。



(2)実際賃金との差額を計算する

当月の実際賃金額は460,000円だった。

予定賃率による賃金消費額は440,000円なので、

440,000円−460,000円
=△20,000円

となる。

予定よりも実際の賃金の方が20,000円多く発生している。

したがって、

20,000円の不利差異

である。

不利差異は借方差異なので、

(賃率差異)20,000 / (賃金)20,000

と仕訳する。



😸なぜ貸方が「賃金」になるのか

最初の仕訳では、予定賃率を使って、

440,000円

を賃金勘定から仕掛品・製造間接費へ振り替えた。

しかし実際には、

460,000円

の賃金が発生している。

つまり賃金勘定には、

460,000円−440,000円
=20,000円

が残ることになる。

この差額を賃率差異へ振り替えるため、

(賃率差異)20,000 / (賃金)20,000

となる。

単に公式を覚えるだけでなく、

賃金勘定に残った差額を賃率差異へ振り替えている

と考えると理解しやすい。



😸今回のポイント

今回の3問では、労務費の基本的な流れを確認した。

まず賃金消費額は、

当月支給総額 − 前月未払額 + 当月未払額

で計算する。

源泉所得税や社会保険料が差し引かれていても、賃金として考えるのは手取り額ではなく支給総額である。

そして賃金を消費したときには、

直接労務費 → 仕掛品

間接労務費 → 製造間接費

へ振り替える。

さらに予定賃率を使っている場合には、

予定賃率×実際作業時間

によって予定額を計算し、実際額との差を「賃率差異」として処理する。

材料費で学んだ予定消費単価や材料消費価格差異と、かなり似た考え方である。

材料費でも労務費でも、

いったん予定額で計算し、あとから実際額との差を差異として処理する

という流れは共通している。

こうして似ている部分を結びつけて覚えていけば、工業簿記の仕組みも少しずつ整理されてきそうだ。

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