大事なのは、「伝え方」だった
なるほどそうかーと思うことがあったので、忘れないうちにnoteに書きます。
何かというとAIについてです。
AI、わたしもそれなりに使っております。
で、よくAIにプログラムを作ってもらうとか、そういう話をSNSなんかで見るんだけど、いまいち自分ではどうしていいものかわかってなかった。
だいたいプログラムって「何を作ればいいか」ですよね。
ただ、先日ふと、前々から仕事で「欲しい」と思ってたものを思い出したんです。
それは本の装丁を作るのに、自動的にトンボを打ってくれるプログラムです。
プログラムというよりは、ソフト上で作業を行うスクリプトというものなんだけど、わたしはそれを作る知識がまったくないので、だいたい何をどうしていいのかもわからない。
どういうものか簡単に説明すると、ふだんAdobeのIllustratorというソフトでデザインを作成していますが、本の装丁を入稿するときに、必ず作るのがカバーや表紙や帯を広げたデザインの展開図です。
こういうものです。

ようは寸法通りに線を入れてレイヤーを分けたものです。
本のサイズって本ごとにちがっていて単行本にしても四六版にB6にA5サイズの本もある。さらに文庫もあるし新書もあるし、そして四六や新書や文庫のサイズは出版社によってサイズがバラバラで、さらには本の厚さによって背の高さが変わるので、基本的に毎回これを作成します。
20年以上これを毎日のように作ってるので、作業はやれば早いです。5分とか10分くらいの作業。でもこれを毎回作るのが、そこそこ手間で…これ、自動化できないかな?とずっと思っていました。
数字を入れたら勝手にこれができるスクリプトあったら5分は作業が短縮できると思ってました。
たぶん、調べればこれを自動にするプログラムはあるとは思うんだけど、けっこう作り方のクセがあって、自分がいつも作ってるフォーマットで、自分が作りやすいように設計されていないと使いようがない。
ようは人が作ったフォーマットじゃ、逆に時間がかかるんです。
だから、自分がいつも作ってる形を自動で作りたい。
「あったらいいな」と思ってたんですが、作る手間暇考えるとね…割に合うのか。
ただ、この間、ちょっと試しに作ってみようかなと思ったんです。
去年の春から毎朝グラフィックソフトの機能を勉強する時間を作っているんですが、その時間を使ってAIの「Claude」に聞いてみたんです。
──「Adobe Illustrator」の「書籍の表紙のトンボを自動で作るスクリプトを作りたいです。数字を入れるとカバーと帯と表紙をレイヤー分けして折り目にトンボを入れるものなんですが、作ってもらえますか?
で、向こうからいくつか質問がきたので、それに答えていきながら、ざっくりしたものを作ってもらったんです。
そしたら、最初のができたんですが…
思ったのと全然違うものだったんですね。
最初のスクリプトが消えちゃったので画像がないですが、点みたいな短い線が、画面の外に引かれた変なものが出てきた。
全然違うじゃん!
ただ「数字のボックスに数字を入れると、近いけど全然違うものが出てくる」。
これはできてる。
つまり概念は理解していて、まったくダメではなくて、ちょっとだけ可能性がありそうな気がしたんです。
それで、うーん、ちがうなーと思いながら、そうじゃなくて、ここをこうしてみたいな指示を出してみたら、直ってくる…けど、でもやっぱりどこか見当外れなのがまた出てきた。これを何度か繰り返しました。
ここで時間の無駄だからやめようかと思ったんですが、少しずつよくなってるし、可能性がゼロじゃなさそうなので、おかしなところを一個ずつ直していくことにしたんです。
まとめていろいろオーダーすると、何が不具合で修正できてないかわからないので、ひとつずつ直してもらうことにしました。
まずトンボの形が違う。
打ってもらってる線の形状が、わたしがふだん使ってるものと違っていて、まずはそこから直すことにした。
言葉で「Illustrator」でトリムマークを作成するとデフォルトで作成されるもので…と説明しても、向こうが把握してるものと違うのか、また違うのが出てくる。
なので画像で、「これ」ですというのを送った。

線の太さと長さが微妙に違うけど同じ形でてきた。
太さは0.3ptで、線の長さは9mmで、と細かく修正していく。
これはわたしの間違った認識かもしれないけど、訂正するなら1回ずつやっていくのが確実な気がしました。
線の太さなら線の太さだけ直して、スクリプトを出し直してもらう。
それを試して直ってたら、次に長さを修正する。
このくらいはまとめてやってもいいのかもしれないけど、作業をこまかくわけて1個1個やるほうが、ミスを確認しやすいというか、細かなもれがない気がしました。
ようは、急がば回れというか、ていねいに1個1個やったほうが確実にもれなく進むので早い気がした。
訂正は1回、1個。直ったら次。
これを細かく繰り返していく。
それから修正の指示はできるだけていねいに、「これくらいはわかるだろう」を考えないようにしました。
たとえば、上の寸法がこれなので他も「左右と下も同じように」と書くのではなく、訂正したところにはすべて数字を書き込む。図を貼ると同時に言葉でも伝わるように親切に指示も書く。
曖昧さをどれだけなくすようにしました。


こうやって、1個1個改善。
徹底的にていねいに修正していきました。
仕事の合間に少しずつ修正して試してをひたすら繰り返していって、たとえばなぜかスクリプトを動かすとイラレの基本設定がおかしくなる不具合や、トンボの色指定がどうやっても「黒」になってしまうのを「レジストレーション」という色にしてもらうことだったり、レイヤーごとにガイドをどういれるかの設定だったり、本当に細かいことをいろいろ修正していきました。
初日に「これで完成でいいかも」ってところまでできたんだけど、「最後にここまでやってあるとありがたい」という、かゆいところに手が届く改良まで加えて…
1日半かけて、完成させました。
もうね、やったーー!!!って感じでした。
見てもピンとこないかもですが、これに数字入れたら冒頭のような展開図が自動で作成されます。

いやできるものなんですね!!
「これが作りたい」という明確なビジョンがあったからというのもあるかもですが、本当に「自分がずっと欲しい」と思ってたものが、自分で作れちゃいました。
そして今回はこれが自作できたことも嬉しいことでしたが、それ以上に収穫だったのは、AIとどうやって一緒に作っていけばいいかの手がかりが、自分でつかめたことですね。
・まず、完璧を求めずざっくりやってもらう
・修正はまとめてやらずに、小さく少しずつ改善する
・改善点は徹底的に分かりやすく正確に伝える
大きな学びは「伝え方」を学習できたことだと思います。
単なるイラレのスクリプトですが、プログラムの知識はなしでも、伝え方さえきちんとすれば、現実的に可能なものは作成できるということなんですね。
それでいうと「これ欲しいな」ってものけっこうあるんですよね。
今回これができたので「もしかしたら作れるかも」って思えました。
こんなことみんな当たり前にやってるのかもしれないけど、わたし的にはちょっと革命的というか、今週いちばん「やった!」と思えたことでした!!
同じようなことと本の事を話してる続いてるラジオです
