帰ろう ね 家(うち)に帰ろう
築35年の歯科医院
「……古い…」
外観も院内も以前働いていたとことはかなり違う。
昔からある家具、よく分からない絵画、鉢植え、謎の横幅250㎝の水槽。壁紙の剥がれや床、トイレ、それなりに年季が入っている。
話はそれるが学生時代に巣鴨の喫茶店「伯爵」で数年バイトしていた。どこかの小説でも使われていたレトロな喫茶店で随分と世話になったもんだ。

「古い」と「洗練されている」は同居しなければならない。そして医院と院長室の机は院長の脳内と同じである。徹底的に断捨離をしなければならない。
「これは何のために置いてるんだ?」
そんなものが次々に目に入ってくる。
良くも悪くも、昔ながらの歯科医院。
父の哲学がしっかり染み込んでいる。
当然、自分が経験してきた環境とはかなり違う。
父のやり方を否定するつもりはない。なぜならここは父の作った城だからである。それにわたしは異邦人だ。
これで何十年も医院を続けてきたわけだから、いきなり全部ひっくり返すのも違う。
建物も古い。
院内も古い。
無駄に見えるものも多い。
「こりゃあかんw」
四国boy、凱旋。
