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第18話 イエス、荷物を全部持つ|もしも聖書の舞台が軍隊だったら♡

 行軍前。

 隊舎は地獄だった。

「重っ!!」

 ペテロが叫ぶ。

「なんでこんな荷物あるんだよ!!」

「軍隊だからだ。」

 トマスが淡々と答える。

「その答え便利だな!!」

 水筒。

 携行食。

 毛布。

 予備装備。

 弾薬袋。

 新兵たちは、
大量の荷物に苦しんでいた。

     ◆

「準備急げ!!」

 ポンティウス教官の怒声。

「五分後出発だ!!」

「はい!!」

 その時だった。

「……あ。」

 後方で、
小さな声。

 見ると。

 一人の若い隊員が、
装備袋を落としていた。

 中身が散乱する。

「うわっ……。」

 しかも。

 かなり細身だ。

 装備重量に、
完全に負けていた。

「大丈夫か?」

 ペテロが聞く。

「す、すみません……。」

 隊員は焦っていた。

「持てるか?」

「はい……。」

 だが、
どう見ても無理そうだった。

     ◆

 その時。

 イエスが近づく。

「持ちましょうか。」

 全員が嫌な予感をした。

「やめろ。」

 ユダが即答する。

「まだ何もしてません。」

「その顔が危ない。」

 イエスは普通に装備袋を持ち上げた。

 しかも。

「これも。」

「え。」

「それも。」

「いや待て。」

 次々、
他人の荷物まで持ち始める。

「イエスゥゥゥ!!」

 ペテロが叫ぶ。

「何してんだお前!!」

「重そうでしたので。」

「限度があるだろ!!」

 トマスが真顔になる。

「総重量がおかしい。」

 イエスは:

- 自分の装備
- 若い隊員の装備
- なぜか予備水タンク

まで持っていた。

「なんでそんな持てるんだよ……。」

「筋トレは大切です。」

「絶対それだけじゃない。」

     ◆

 行軍開始後。

 新兵たちは、
普通にバテ始めた。

「無理……。」

「肩死ぬ……。」

 だが。

 イエスだけ普通に歩いている。

「……。」

「……。」

「……怖ぇ。」

 ペテロが呟く。

 その時。

 後方で、
さっきの若い隊員が小さく頭を下げた。

「……ありがとうございます。」

 イエスは少し笑う。

「皆で運ぶと、
少し楽になりますので。」

 ユダが横で呟く。

「全部一人で持ってる奴が言うな。」

     ◆

 その夜。

 宿営地。

 ポンティウス教官は、
報告書を見ていた。

『装備補助行動』

「……。」

『イエス新兵、
荷物を過剰保持』

「過剰保持ってなんだ……。」

 教官は深くため息を吐く。

 一方。

 イエスは普通に肩を揉まれていた。

「硬っ!!」

 ペテロが驚く。

「岩かよ!!」

 トマスが冷静に分析する。

「荷重耐性が異常。」

「分析すんな!!」

 ユダは少し笑いながら、
缶コーヒーを投げた。

「ほら。」

「ありがとうございます。」

 イエスは受け取り。

 そして静かに言った。

「重い時は、
一人で持たない方が良いです。」

 一瞬。

 空気が少し静かになる。

 ペテロが笑った。

「……それ、
お前が言うと説得力バグるんだよな。」

 ユダは小さく肩をすくめた。

「……なんなんだ、
あの人。」



イエス  
「過去のお話は、
マガジンにまとめてあります。」

ペテロ  
「急に宣伝すんなよ!!」

👉過去作はこちら

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