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第19話 イエス、見張りに向いてない|もしも聖書の舞台が軍隊だったら♡

 深夜二時。

 駐屯地外周。

 見張り任務。

「眠っ……。」

 ペテロが小さく呟いた。

「夜の見張りって、
なんでこんなに眠いんだ……。」

「夜だからだ。」

 トマスが即答する。

「お前、
最近そればっかだな。」

     ◆

 その日の見張り担当は:

- ペテロ
- イエス

だった。

 ペテロは、
かなり不安だった。

「頼むから、
今日は何も起こすなよ……。」

「善処します。」

「絶対善処しない返事だそれ。」

 夜風が吹く。

 静かだった。

 遠くで虫の声だけが聞こえる。

「平和だな……。」

 ペテロが欠伸をする。

 その時だった。

「……。」

 イエスが、
フェンスの向こうを見ていた。

「どうした。」

「誰かいます。」

「え?」

 ペテロが目を凝らす。

 すると。

 外周道路。

 年配の男性が、
座り込んでいた。

「うわっ。」

「なんでこんな時間に。」

     ◆

「ちょ、
待て待て!!」

 ペテロが止める前に。

 イエスは普通にフェンスゲートを開けた。

「大丈夫ですか。」

「お前、
見張り中!!」

 男性はかなり疲れた顔をしていた。

「道が分からなくなって……。」

「また迷子かよ!!」

 ペテロが頭を抱える。

 男性はスマホを見せた。

「充電も切れてしまって……。」

 イエスは静かに頷く。

「寒かったでしょう。」

「いやまず規則!!」

 その時。

 背後から低い声。

「……何をしている。」

 沈黙。

 ペテロが固まる。

 振り向く。

 ポンティウス教官だった。

「教官!!」

「説明しろ。」

「いやこれはですね!!」

 ペテロが必死に言葉を探す。

 だが。

 イエスが普通に答えた。

「迷っていたので、
保護しています。」

「見れば分かる!!」

     ◆

 数分後。

 男性は無事、
警備室へ案内された。

 温かいお茶まで出ている。

「ありがとうございます……。」

「お気をつけて。」

 イエスは普通に見送った。

 一方。

 ポンティウス教官は、
頭を抱えていた。

「……イエス。」

「はい。」

「お前、
見張りの意味分かってるか。」

「はい。」

「言ってみろ。」

「異常確認です。」

「そうだ。」

「異常がいたので、
対応しました。」

 沈黙。

「……。」

「……。」

「……。」

 ペテロが吹き出した。

「ダメだ……
なんかもう反論できねぇ……。」

 トマスなら、
たぶん理屈で止めていた。

 ユダなら、
先に察して止めていた。

 だがイエスは。

 本当に、
困っている人を放っておけない。

 ポンティウス教官は、
深く深くため息を吐いた。

「……見張りには、
向いてないな。」

「よく言われます。」

「だろうな!!」

 夜の駐屯地に、
ペテロの笑い声が響いていた。



イエス  
「もし良ければ、
過去のお話もどうぞ。」

ペテロ  
「なんでそんな丁寧なんだよ……。」

👉過去作はこちら

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