【活動報告】一般社団法人日本シェアハウス連盟が参議院議員会館で消費者庁との意見交換会を行いました
2026年7月28日、参議院議員会館の会議室にて、一般社団法人日本シェアハウス連盟として消費者庁との「意見交換会」を主催・実施してまいりました。
テーマは「シェアハウス業界の健全化と消費者保護」です。
なぜ官公庁と対話する必要があったのか。シェアハウス事業者と利用者(消費者)間で抱えている現場の疑問が、どのように法的な影響があるのかなど、幅広い議論の内容をお知らせします。
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第1章:なぜ今、国(行政)と対話する必要があったのか

シェアハウスという居住形態は、多様化するライフスタイルの中で社会的な認知が拡大してきました。市場が拡大する一方で、悪質な事業者による不透明な契約形態や、広告表示に起因する利用者の不満や懸念を業界内で耳にすることは未だにあります。
これまでも連盟への匿名での通報や、あるいはネット上の匿名掲示板などで、シェアハウスにまつわるトラブル事例や疑問が飛び交っていました。
《私の記事|知らなきゃ損?シェアハウス経験者のリアルな声が集まる「マンションコミュニティ」がすごい》
《マンションコミュニティ|シェアハウスに関する匿名掲示板》
「ルールを守らない入居者を強制退去させられるのか?」
「不透明な手数料を取られた」
「サイトに書いてあることと実態が違う」
これらの声を単なる「クレーム」や「事業者間の情報交換」で終わってきていました。
ですがシェアハウス業界が不動産市場で認知されてきている今、各事業者の裁量とは別に官公庁(行政側)から様々な法解釈に基づく「公式な見解と指針」を引き出し、業界全体のスタンダードとして全事業者が知っていく必要がある。そう考えたのが、今回のプロジェクトの出発点です。
第2章:現場の疑問を「行政上の問い」へ

意見交換会を行うにあたり、議員会館の手配と官公庁との調整は私が行いました。
その際どの省庁の担当官に来ていただくかになったわけですが、当連盟へ寄せられるものや、匿名掲示板で散見されるシェアハウスに関するトラブル報告の多くは契約などの消費者問題、次に生活問題に関するものが多いように思われます。
連盟内での協議では、当然シェアハウスを利用する方々の懸念が解決していければ、業界全体もより健全な方向に進むだろうという事で、今回は消費者問題に焦点を当てていこうという事になりました。
そして連盟内で意見集約を行い、消費者契約法の所管である消費者庁へ「お金と契約・表示の適正化(消費者契約法・景品表示法)」に関する質問を行う事になりました。
消費者庁へ事前に通知した業界団体側からの質問項目はこちら。
ざっくりまとめると以下の通りです。
1. 不透明な金銭請求(解約事務手数料と費目のロンダリング)
入居時に「契約事務手数料」を取っているにもかかわらず、退去時にも違約とは無関係な「解約事務手数料」を請求する事案。その後さらに、契約事務手数料の費目を「礼金」に変更して実質同じ徴収を続ける行為について。
▶︎ 問い: これは消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項)に抵触し、無効ではないか? 名目変更による不当な徴収は行政としてどう評価するのか?
2. ポータルサイトの恣意的な価格表示と「有利誤認」
各シェアハウス検索サイトで「家賃が安い順」の上位に表示させるため、家賃を極端に安く見せかけ、その分を「諸経費」に高く振り分ける検索ハック行為。
▶︎ 問い: 消費者の正確な比較検討を妨げるこの手法は、景品表示法上の「有利誤認」に該当するのではないか? 固定費と変動費と総額が明示的に判別しやすいような配慮がポータルサイト側には必要なのではないか?
3. 未入居キャンセルへの実態のない光熱費請求と「高額請求」
契約後、入居日前にキャンセルを申し出た入居希望者に対し、「半年分の家賃」だけでなく、利用実績が一切ない「光熱費」まで違約金として請求する事案。
▶︎ 問い: これは消費者契約法第9条第1号が定める「平均的な損害の額を超える違約金」として無効であるべきではないか? 1日も住んでいない光熱費の請求は不当利得ではないか?
4. 退去時の「転居先情報」提出義務とプライバシー
残置物処理や精算のために退去者の新住所を知りたい事業者側の都合と、シェアハウス特有の人間関係から住所を知られたくない入居者側のプライバシーの衝突。
▶︎ 問い: 提出を「義務」とし、拒否した場合に敷金を返さない等のペナルティを設ける特約は、消費者契約法第10条に抵触するのではないか?(どこまでなら実務上の代替要件として妥当か?)
連盟に寄せられた非加盟事業者のシェアハウス利用者からの報告がベースになっています
第3章:シェアハウス業界初の公式意見交換会。議員会館での官僚との対話

2026年7月28日、14時。 参議院議員会館の会議室。
消費者庁(表示対策課・消費者制度課)とサポート役で国土交通省(住宅局)の担当官の方々をお迎えし、連盟理事と加盟事業者が一堂に会しました。これはシェアハウス業界初の取り組みになります。
事前に通達した質問に対する消費者庁の見解は以下の通りです。
《消費者庁の見解》
1. 不透明な金銭請求(解約事務手数料と費目のロンダリング)について
▶ 司法の場で違法だと判断されるような内容であれば、消費者は消費者契約法での適用も可能。
2. ポータルサイトの恣意的な価格表示と「有利誤認」について
▶ 消費者からの相談があるわけではないが、業界団体として問題認識があって、是正等の要望を出すのは結構。消費者にとって良くなるのであれば歓迎する。
3. 未入居キャンセルへの実態のない光熱費請求と「高額請求」について
▶ 個別具体的なケースに対して明言できないが、消費者契約法の範囲で契約が無効になる場合もありうる。借地借家法上の争いの点も伺える。
4. 退去時の「転居先情報」提出義務とプライバシーについて
▶ 現段階では消費者庁、国土交通省とも適切な判断は難しい。司法での判断が求められる。
第4章:意見交換会を経て見えてきた「業界の未来」と責任

90分の意見交換会の最後に副理事長から、今後日本シェアハウス連盟として「健全な運営のための指針」の一つとして積み上げていき、連盟の活動の一助としていく事を述べて閉会の挨拶としました。
我々が官公庁とこうした意見交換の積み重ねをしていく事で、事業者、消費者、行政間での共通認識が浸透していき、グレーゾーンだと思われてしまうようなビジネスモデルが市場から淘汰されていきます。
私自身、一人の事業者として現場を預かる身でもあります。
オンライン契約が主流になりつつある現代においても、私が執拗なまでに「事前の現地内覧(物理的な訪問)」を強く推奨しているのは、ネットの情報だけでは伝わらない現場の景観や空気感、管理の質を消費者の目で直接確かめてもらうことが、最大のミスマッチ防止(消費者保護)に繋がると信じているからです。
今回の消費者庁との意見交換会は、ゴールではなくスタートです。 法律上の定義でまだ曖昧な部分の多い「シェアハウス」という生活形態を、行政と共に、そして現場の事業者たちと共に、よりクリーンで魅力的な住環境へとアップデートしていく。その確かな手応えを感じた日となりました。
引き続き、現場からのリアルな発信を続けてまいります。
今後もシェアハウス業界内の動きが皆さんにもご注目頂けるようにしていきたいと思います。
《国会議事堂の中》



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