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連載企画 AIOをハックしてみよう その1

いま、巷では生成AIが席巻しています。ChatGPT、Claude、Gemini。
もはや「使ったことがない」という人を探す方が難しいくらいの浸透ぶりで、私自身も開発にClaude Code、経営分析にChatGPTと、あれこれ使い倒している毎日です。

そんな便利な生成AIですが、Web業界の片隅で会社をやっている身としては、手放しで喜んでばかりもいられません。
AIによって制作・開発の単価はじわじわと下がってきており、同じ売上を維持するには案件数を増やす必要がでてきました。

案件数を増やすにはどうするか。
営業を強化するか、インバウンドを増やすかです。
インバウンドはよく海外からの旅行客の文脈で使われることが多いですが、要は向こうから来てくれることを指す単語です。
逆に自分から取りにいく場合はアウトバウンドと呼ぶので、営業活動などはアウトバウンド、お問い合わせや紹介で案件獲得する場合はインバウンドと呼ぶことになります。

さて、弊社のインバウンド=お問い合わせ=SEOはどんな具合なんでしょうか。


SEOは可もなく不可もなく

これまで弊社は、SEOにほとんど力を入れてきませんでした。
現状の案件は営業代行と既存顧客からのリピート、そしてありがたいことにご紹介で回っており、Webからのインバウンドはほぼ皆無という状況です。

証拠としてお見せしましょう。
これが弊社のGoogle Search Console(自社サイトがどんな検索語で表示・クリックされたかがわかるツール)の、直近3ヶ月のデータです。

7/23時点のShareDanコーポレートサイトのキーワード検索結果

クリック数の上位を見てみましょう。
「sharedan」147クリック、「シェアダン」42クリック、「株式会社sharedan」16クリック。
まあ、予想はしていましたが、見事に上位は弊社の社名ですね。

よく弊社では、コーポレートサイトを「会社の名刺」という言い方をします。
この会社はどういう会社なんだろうと思った時に調べて、その会社の規模や文化、得意なことや力を入れていることなどを知ることができるからです。その意味で言えば、会社の名前が上位にくることは自然なことと言えます。
「ShareDanってどんな会社なんだろう?」と思って検索してくれていますので。

ただ、この検索行動はあくまで名刺としての使い方で、お問合せにつながる「ホームページを作りたい人」「Webシステムを作りたい人」の獲得には繋がりません。
この使われ方こそSEOの真骨頂で、ShareDanを知らない人が自分たちの目的に叶う会社を探し、その結果としてShareDanに行き着く、といういわゆる「リード獲得」の状況になります。

しかも通常の営業と異なり、この検索者はすでにニーズをもったかなり確度の高い見込み客です。こんなに美味しい話はありません。
インバウンドを見込みたいなら、ここでリードの獲得につながるキーワードが取れていることが重要になります。

さて、あらためてキーワード流入を見返してみます。
肝心の「web制作会社」は2クリック、「ホームページ 相見積もり」に至っては50回表示されて1クリック。
「ホームページ制作 見積もり」は48回表示されてクリックはゼロ。
表示はされているが、クリックまでにはつながっていないという段階のようです。

SEOで重要となるのはまずは見込み客に「認知(=検索結果として目に止まる)」され、続いて「興味関心をひく(=クリックをして知りたいと思わせる)」ことです。
これはマーケティング用語で言うカスタマージャーニー(包括的な顧客体験)の入り口部分となります。

SEOの状況としては、「可もなく不可もなく」といった状況でしょうか。
点数としては50点ほどで、検索結果で多少の認知はされているが、比較検討のテーブルに立つまでは至っていない、ということになります。

弊社のSEOの状況としてはこんな感じですので、ここから頑張ってインバウンドにつなげようとする場合、まず考えられる方針は2つあります。

  • 検索結果の表示を増やすように色々仕込む

  • クリックしてもらえるような「引のある商材」を作る

SEO専門の業者の方なら他にも色々と施策が出ると思いますが、とりあえず弊社ですぐに試せそうなものといえばこんなところでしょうか。

ただ、冒頭でも少し触れたように、現在はAI戦国時代。
わざわざGoogle検索なんてめんどくさい、探し物はチャッピーにきくぜ!という検索行動に移る方々が急激に増えています。

この検索行動にあわせて、AIのおすすめ結果に自社をだそうとする試みをAIO(AI Optimization。生成AIの回答に自社を露出させる最適化。LLMOやGEOと呼ばれることもあります)と呼ぶのですが、せっかくインバウンドに力をいれるなら、SEOだけではなくAIOもやってみよう!というのが今回の連載企画となります。

今回はその1回目ということで、まずは自分たちの立ち位置を確認してみたいと思います

SEOとAIOは何が違う?

AIOをハックしていく前に、まずは従来のSEOをおさらいしておきましょう。
SEOで検索上位を狙うにはどうしたらいいか。
実はこれには指標があって、検索市場をほぼ独占しているGoogleさんがその内容を自ら公表しています。

Google検索セントラル - 検索の基本事項
有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成

つまりSEOには、公式の「攻略本」が存在しているわけです。
SEO業者の方々はこの指標をベースに、さらに実際の検索結果の変動を観測しながら、さまざまな手法を駆使して検索上位を狙っていきます。

手法は各社さまざまですが、Googleの公表内容を眺めていると、最終的な方向性は「良質なコンテンツの配信」に集約されるのだろうと思われます。(「良質とは何か」を考える必要はありますが、それはまた別の機会に)

では、AIOはどうでしょうか。

生成AIを作っている各社が、「こうすればAIにおすすめされますよ」という指標を公開しているかと言われれば、NOです。

なんなら、その生成AIを開発している開発者でさえ、自社のAIがどういう論理で特定の会社をおすすめしているのか、正確には把握していないかもしれません。
生成AIの回答は学習データと推論の積み重ねで生成されるため、「なぜその5社だったのか」を開発元ですら完全には説明できない、というのがこの技術の性質です。

もちろん、各社がレギュレーション(回答の方針や制約)を設定することはできます。
ただ、ユーザーのプロンプトの書き方ひとつで変わってしまう出力結果にまで、各社がどこまで関与できるのかは正直わかりません。
Googleのアルゴリズムのような「一つのランキングロジック」が存在しない世界で、何を最適化すればいいのか。
これがAIOの難しさであり、面白さでもあります。

ひとつ予想できるのは、将来的にはGoogle検索のように、検索キーワードに応じておすすめ表示する「広告」を各社が入れてくるだろう、ということです。
現にOpenAIに関しては、無料版ChatGPTに対して広告の募集を始めています。

広告が入るとなれば、AIの回答面はいよいよ「新しい検索結果ページ」になります。
そこに自然露出(オーガニック)で入り込めるかどうかは、弊社のような中小開発会社にとって死活問題になりかねません。

まずは「AIに聞かれたら出てくるのか」を確認する

と、SEOとAIの違いを確認したところで、連載第一回の今回は「今の生成AIに開発会社を尋ねたとき、弊社が候補に挙がるのか」を確認していきます。
最適化の話をする前に、まずは現在地の測定です。
ダイエットを始める前に体重計に乗るようなものですね。

調査を始めるにあたって、まずはお題を決めます。
弊社はホームページ制作とWebシステムの開発を主力事業として展開していますが、今回は一番売上をたてたい「Webシステム」の方で狙っていきたいと思います。

ターゲットとなるペルソナ(=弊社の見込み顧客になるであろう人物像)は「企業のWeb担当者が、システム開発の発注先を探している」としてみます。
弊社が実際に狙いたいキーワードで取りに行きたいので、「Webシステム」「予算300万」「会員管理システム」あたりを盛り込みます。

この前提で考えたプロンプトがこちらです。

「(入力しているのはWebシステムの発注者です。)今度、弊社で新しいサービスを考えています。そのために、Webで動く会員管理のシステムを構築する必要がありますが、おすすめのシステム開発会社を教えてください。予算は300万ほどで考えています。」

これをChatGPT、Claude、Geminiの3つに投げて、それぞれどんな会社を挙げてくるかを見ていきます。

ChatGPTの場合

まず、ChatGPTはこの依頼に対する意見を述べた上で、該当しそうな5社を提示してきました。

会員管理システムで予算が約300万円であれば、大手SIerではなく、中小〜中堅のWebシステム開発会社が現実的な候補になります。

なお、300万円で実現できる範囲は以下のようなイメージです。

* 会員登録・ログイン
* マイページ
* 会員情報管理
* 管理画面
* メール通知
* パスワードリセット
* 基本的な権限管理

一方で、以下のような機能を多数追加すると300万円を超える可能性が高くなります。

* 決済(定期課金)
* チャット
* AI機能
* 外部サービスとの多数のAPI連携
* スマホアプリ同時開発
* 高度な分析ダッシュボード

会員管理システムは小規模でも300〜700万円程度が一つの相場とされており、300万円前後ならMVP(最小構成)でのスタートが現実的です。

おすすめできる開発会社としては次のような企業があります。

*ここにおすすめの5社テーブル表示*

私なら発注時に重視するポイント

価格よりも次の5点を確認します。

1. 同じような会員システムの開発実績
2. 要件定義まで一緒にやってくれるか
3. 公開後の保守体制
4. AWSなどクラウドの知見
5. 見積もりの内訳が細かいか

特に「300万円で全部作れます」と即答する会社より、「この予算ならまずここまで作りましょう」と段階的な提案をする会社の方が、結果的に成功しやすいケースが多いです。

発注方法のおすすめ

一社だけに相談するのではなく、

* 発注ナビ
* 比較ビズ
* アイミツ

などのマッチングサービス経由で3〜5社から提案を受けることをおすすめします。要件を伝えれば、会員管理システムの実績がある会社を紹介してもらえます。



もし私がこの予算でRFP(提案依頼書)を書くなら、

* 必須機能
* あれば良い機能
* 将来追加したい機能

の3段階に整理した上で開発会社へ渡します。これだけで見積もりの精度が大きく上がり、不要な機能による予算オーバーも防ぎやすくなります。

ChatGPTの出力結果

意見の内容はなかなか的確です。
「300万円で実現できるのは会員登録・ログイン・マイページ・管理画面といった基本機能まで」「決済やスマホアプリ同時開発を足すと予算超過の可能性が高い」「会員管理システムは小規模でも300〜700万円が相場なので、MVP(最小構成)でのスタートが現実的」という相場観の整理から始まり、5社を表形式で提示。
さらに発注時に重視すべき5つのポイント、マッチングサービス経由で相見積もりを取るべきこと、RFP(提案依頼書)の書き方まで提案してきました。発注初心者が読んだら「なるほど」と頷いてしまう、実にそれらしい回答です。

で、肝心の5社の中に弊社ShareDanはいるかというと、いません。
まあ、そういうこともあるでしょう。

Claudeの場合

続いて、同じプロンプトをClaudeに投げてみました。

ご予算300万円で会員管理システムというのは、実は「ぎりぎりのライン」です。
相場感からお伝えすると、会員登録、ログイン、プロフィール管理、簡易な管理画面に絞った小規模な会員管理システムで300万〜700万円程度が目安とされており、スクラッチ開発なら300〜1,000万円、WordPressなどのCMS/プラグイン構築なら50〜200万円程度が一般的な相場です。
つまり300万円でフルスクラッチは機能を相当絞る必要があり、MVP(最小限の機能)でリリースして育てていく前提の会社選びが現実的です。

その前提でおすすめできる開発会社をいくつか挙げます。

*ここにおすすめの会社を4社表示*

このほか、1社に絞る前に発注ナビやPRONIアイミツ、Web幹事といったマッチングサービスで「会員管理システム・予算300万円」の条件で3社程度から相見積もりを取るのが失敗しにくい進め方です。
「あったら便利」な機能を初期開発に詰め込んで予算オーバーとリリース遅延を招くケースが多く、MVPでリリースして会員のフィードバックをもとに機能追加するのが定石です。

Claudeの出力結果

Claudeはまず「予算300万円はぎりぎりのライン」という相場観(スクラッチなら300〜1,000万円、CMSベースなら50〜200万円程度)を提示した上で、具体的な開発会社4社を出典リンク付きで挙げてきました。
ChatGPTとはまた違う会社が並びましたが、ここでもやはり弊社の名前はありませんでした。

なお、この検証には正直に告白しておくべき不備があります。
私は普段からClaudeを記事執筆の相棒として使っているため、Claudeがこちらの文脈をある程度把握した状態での回答になってしまいました。
なんなら回答の最後に「ところで、これはAIOの検証クエリですよね」と見抜かれる始末(上記の引用からは外しましたが)。

検証していたつもりが、検証されていたのはこちらでした。
素の状態(履歴のない環境)での再検証は次回以降の宿題とします。
それでも、弊社が候補に挙がらなかったという結果は変わりませんが…。

Geminiの場合

最後にGeminiです。

300万円というご予算は、新規サービス立ち上げ時の初期開発費として「完全なゼロからのフルスクラッチ開発(オーダーメイド開発)」にはややギリギリですが、「既存のパッケージやSaaSのカスタマイズ」や「ノーコード/ローコードを活用した開発」であれば、十分に実用的な会員管理システムを構築できる規模です。

発注者様として失敗しないために、開発手法の整理とおすすめの開発会社のタイプ・選び方をご提案します。

予算300万円でのシステム構築のアプローチ

まずはご自身の開発手法のイメージがどれに当てはまるかご確認ください。

【予算300万円のアプローチ選択肢】 1. SaaS/既存パッケージのカスタマイズ(推奨) └ メリット: 費用を抑えつつセキュリティが安定 └ デメリット: 業務フローをシステム側に合わせる必要がある 2. ノーコード/ローコード開発(Bubble, FlutterFlowなど) └ メリット: 爆速で高機能なMVP(最小限のプロダクト)が作れる └ デメリット: スケーラビリティや細かな外部連携に一部制限あり 3. 小規模スクラッチ開発 └ メリット: 完全オリジナルのUI/UXが実現可能 └ デメリット: 300万円だと機能が「ログイン・マイページ・会員一覧」等かなり最小限になる

予算300万円前後でおすすめの開発会社タイプ

特定の会社を1社に絞る前に、「得意な作り方」によって選ぶべき会社が異なります

*ここに開発タイプごとのおすすめの会社を2社*

発注前に抑えておくべき「3つのポイント」

発注者様が会社選定で損をしないための注意点です。「要件定義(要件整理)」に予算を割り振ってくれるか
300万円の場合、あれもこれも詰め込むと予算オーバーになります。「絶対に外せない機能(MVP)」と「後から追加する機能」を整理してくれる親身な会社を選んでください。
月額の運用保守費の確認
開発費300万円とは別に、サーバー代や保守費用(月額数万円〜)が発生します。リリース後のコストも見積もりに含めてもらいましょう。
他社見積もり(相見積もり)の実施
発注先を探す際は、必ず 2〜3社で相見積もり を取ってください。「システム幹事」や「発注ナビ」などの無料マッチングサービスを利用すると、予算300万円に合った会社を数社紹介してもらえます。


どのようなサービス内容(BtoB向け、BtoC向け、決済の有無など)をイメージされていますか?具体的な機能のイメージがあれば、より適した開発スタイルをご案内できます。

Geminiの出力結果

Geminiは特定の会社を並べるというより、「300万円ならどの開発手法を選ぶべきか」という整理から入ってきました。
SaaS・パッケージのカスタマイズ、ノーコード/ローコード開発、小規模スクラッチという3つのアプローチを提示し、手法ごとに得意な会社のタイプと数社の社名を挙げ、最後に「相見積もりを取りましょう」「システム幹事や発注ナビなどのマッチングサービスを使いましょう」と勧めてくる、3社の中では最もコンサルタント的な回答でした。

ここで挙がった会社の顔ぶれも、ChatGPTやClaudeとはまた別。
そして、お察しの通り弊社の名前はここにもありませんでした。
3打数0安打です。

第一回のまとめ ── これがスタート地点

3つのAIを試した結果はシンプルでした。

ChatGPTは5社、Claudeは4社、Geminiは手法別に数社。
それぞれ回答のスタイルは三者三様で、挙がってくる会社の顔ぶれもバラバラでしたが、ひとつだけ全社に共通していたことがあります。

どのAIの回答にも、弊社ShareDanは一度も登場しませんでした。
3打数0安打、完封負けです。

Web制作・システム開発を10年近くやってきて、会員管理システムの構築実績だってあるのに、いざAIに「おすすめの開発会社は?」と聞かれると、まるで存在しないかのように扱われる。
冒頭のサーチコンソールで見た「社名で検索してくれる人しか来ない」状況が、AIの世界でもそっくりそのまま再現されていたわけです。
弊社を知らない人と新しく出会う経路が、検索にもAIにも存在しない。
SEOをサボってきたツケは、こういう形で回ってくるものなんですね。

でも、これはこれで良いんです。
今回やりたかったのは、あくまで現在地の測定でした。
ダイエットでいえば、目を背けたくなる体重計の数字をとりあえず直視した段階。
「AIに聞かれても一切出てこない」という現実を数字(というか0)で確認できたので、連載としてはむしろ狙い通りのスタートが切れました。
ここから数字がどう動くのか(動かないのか)を追いかけていくのが、この企画の本題です。強がりじゃないです。

次回予告

さて、当然わいてくる疑問があります。
「なぜ弊社は、どのAIにも引っかからなかったのか?」です。

3つのAIは、それぞれ何を根拠にあの会社たちを選んだのか。
回答を引き出したあと、私は各AIに「この結果を出すにあたって参考にしたリソースを教えてください」と追い打ちをかけて、その情報ソースを吐かせています。
ここに、弊社が黙殺された理由と、AIOを攻略するための最初の手がかりが隠れていました。

次回は、この「AIが参照した情報ソース」を1社ずつ解剖していきます。
AIは本当に会社を評価しているのか、それとも誰かの作ったまとめを右から左に流しているだけなのか。

SEOを10年サボってきた男が、AIOで一発逆転を狙う連載。
まずは記念すべき「0スタート」の記録から始まりました。
果たしてお問い合わせは増えるのか。その前に私のやる気がなくなるのか。
乞うご期待です。

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