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監査役から指名委員会等設置会社までーチェック機能を担う機関

今回は「監査役」「会計監査人」「会計参与」「指名委員会等設置会社」など、会社の経営をチェックする機関群を一気に整理していきます。


1. 監査役

監査役とは

監査役は、会社の業務と会計を監査するための機関です。取締役がしっかり経営を行っているかを株主に変わってチェックする役割を果たします。

監査役は取締役から独立しており、取締役や従業員にいつでも事業の報告を求めることができます。業務や計算書類を監査し、監査報告を作成して株主総会で株主に報告します。

監査役は、取締役会への出席が義務付けられています。

監査役の設置義務

監査役の設置は原則任意ですが、以下の場合は設置が必要になります。

取締役会を設置した会社では原則として監査役の設置が必要です。ただし、株式譲渡制限会社で取締役会を設置した場合は、会計参与を設置すれば監査役は不要になります。また、後述する会計監査人を設置した場合も、必ず監査役を設置する必要があります。

監査の範囲

監査役の監査範囲は原則として業務監査・会計監査の両方ですが、小規模な会社では定款で定めることにより、監査の範囲を会計監査のみに限定することができます。これにより監査役の責任範囲を小さくすることができます。

ただし、監査の範囲を会計監査に限定できるのは、株式譲渡制限会社であって、監査役会や会計監査人を設置していない会社のみです。

監査役の選任・解任・任期

監査役の選任は、株主総会の普通決議で行われます。一方、解任には株主総会の特別決議が必要です。

取締役の解任は普通決議で足りるのに対し、監査役の解任は特別決議が必要です。これは取締役が簡単に監査役を解任できないようにするための規定です。なお監査役が解任される場合は、監査役は任期の最後の株主総会に出席して意見を述べることが認められています。

監査役に任期は原則4年で、短縮することはできません。株式譲渡制限会社の場合は、定款に定めることによって最大10年まで伸長することができます。

2. 監査役会

3人以上の監査役からなる「監査役会」を構成することができます。監査役会を設置した会社のことを「監査役会設置会社」と呼びます。

一人だと言いくるめられるかもしれないのでチームでやろう。的な発想です。取締役会の監査役版と考えればよさそうです。

監査役会の設置義務

監査役会の設置は原則任意ですが、大会社かつ公開会社の場合は、原則として監査役会の設置が義務付けられています。

監査役会を設置するには、3人以上の監査役が必要で、かつそのうち半数以上は社外監査役でなければなりません。

監査役会の決議

監査役会の決議は、監査役の過半数で行われます。監査役会では定足数という概念は存在せず、出席した監査役の人数に関わらず過半数の賛成が必要になります。

監査役・監査役会の主なルール

  • 監査役

    • 選任:株主総会普通決議

    • 解任:株主総会特別決議

    • 任期(原則):4年(短縮不可)

    • 任期(譲渡制限会社):最大10年

    • 監査範囲:業務監査 + 会計監査

      • 小規模は会計のみ可

  • 監査役会

    • 構成人数:3人以上

    • 社外監査役:半数以上が社外監査役

    • 設置義務:大会社かつ公開会社は必須

    • 決議要件:監査役の過半数(定足数なし)

3. 会計監査人

会計監査人とは

会計監査人は、主に大規模な会社で計算書類の監査を行うための機関です。財務諸表などの計算書類が適切に作成されているかをチェックし、会計監査報告書を作成します。会社から独立して会計の正確性を検証する役割を果たします。

会計監査人の設置義務

会計監査人の設置は原則任意ですが、大会社の場合は必ず設置する必要があります。また会計監査人を設置するには、原則として監査役または監査役会を設置している必要があります。つまり会計監査人は、監査役との組み合わせで設置されることになります。

会計監査人はあくまで「外部の専門業者」であるため、仮に不正を見つけても代表を指摘できません。
そのため、窓口である監査役と必ずセットで設置されます。

会計監査人の資格・任期

会計監査人になるには、公認会計士または監査法人であることが必要です。また、その会社の取締役や従業員から選任することはできません。
任期は1年で、取締役や監査役と異なり任期を変更することはできません。

4. 会計参与

会計参与とは

会計参与は、主に中小企業の計算書類の質を向上させることを目的に、2006年施行の会社法で新しく設けられた機関です。

会計監査人は「作成された計算書類をチェックする」機関ですが、会計参与は「取締役と共同して計算書類を作成する」機関です。また、会計監査人は会社の役員ではありませんが、会計参与は会社の役員という位置付けになる点も異なります。

中小企業では人材が少ない中で質の高い計算書類を作成するのが大変なため、専門家が共同で作成に関わる会計参与という制度が設けられました。

会計参与の設置義務

会計参与の設置は原則任意ですが、株式譲渡制限会社かつ取締役会設置会社で、監査役を設置しない場合は会計参与が必要になります。中小企業に多いこの形態では、監査役を置く代わりに会計参与を設置してもよいということです。
なお、会計参与と会計監査人を同時に設置することは認められています。

会計参与の資格・任期

会計参与の資格は、公認会計士・監査法人に加えて、税理士・税理士法人にも認められています。会計監査人は税理士が就任できないのに対し、会計参与は税理士でも就任できる点が異なります。

任期は取締役と同じ原則2年で、株式譲渡制限会社の場合は定款に定めることによって最大10年まで伸長できます。

5. 指名委員会等設置会社

指名委員会等設置会社とは

従来の日本企業では、取締役と監査役は社内から昇格するケースがほとんどでした。このため取締役と監査役による代表取締役の業務執行の監督機能が十分に働かないという問題がありました。

そこで会社法では、業務執行の監督機能を強化するための制度として、「指名委員会等設置会社」が選択できるようになっています。この形態は、業務の執行と監督機能を完全に分離するのが最大の特徴です。

設置要件と機関構成

指名委員会等設置会社にすることは任意ですが、設置するためには取締役会と会計監査人の設置が必須です。一方で指名委員会等設置会社では監査役を設置することができません
会社の機関は基本的に株主総会・取締役・3委員会・執行役・会計監査人から構成されます。

3つの委員会の役割

3つの委員会はそれぞれ取締役3人以上から構成され、委員会を構成する取締役の過半数を社外取締役にする必要があります。

指名委員会の役割は、株主総会に提出する取締役と会計参与の選任・解任に関する議案の内容を決定することです。

監査委員会の役割は、取締役や執行役の職務執行の監査、監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任・解任に関する議案の内容を決定することです。監査役の役割に近い機能を担います。

報酬委員会の役割は、取締役や執行役の個別の報酬を決定することです。

執行役と代表執行役

指名委員会等設置会社では、一人以上の執行役を選任する必要があります。執行役の選任・解任は取締役会によって行われます。業務の執行役は取締役ではなく執行役が担い、取締役は監督業務に専念します。そのため指名委員会等設置会社では代表取締役を設置することができません

執行役の中から一人以上の代表執行役を選任することができ、代表執行役が通常の代表取締役のように日常業務を執行する最高責任者としての役割を果たします。

執行役の任期は原則1年で、定款によって短縮することはできますが、延ばすことはできません。また指名委員会等設置会社にした場合、取締役の任期も1年となります。

6. 監査等委員会設置会社

平成27年5月に施行された改正会社法により「監査等委員会設置会社」の設置が可能になりました。従来の指名委員会等設置会社に移行する会社が少なかったことや、社外取締役の活用が不十分であったことから設けられた制度です。

監査等委員会設置会社にするためには、取締役会と会計監査人の設置が必須です。一方で、監査等委員会設置会社でも監査役を設置することができません

この形態では取締役に二種類あります、「監査等委員である取締役」と「監査等委員でない取締役」です。

監査等委員でない取締役が会社の業務を執行し、代表取締役もこちらから選定されます。監査等委員である取締役は業務を執行することができません。

任期については、監査等委員でない取締役は選任後1年以内、監査等委員である取締役は選任後2年以内が原則です。また監査等委員である取締役を解任するには株主総会の特別決議が必要です。

監査等委員会は取締役3人以上で構成され、その過半数は社外取締役でなければなりません。指名委員会等設置会社と異なり、委員の選任・解任は取締役会ではなく株主総会の決議事項となります。

7. まとめ

今回のポイントを整理します。

監査役

  • 選任は普通決議、解任は特別決議、取締役の解任との違いに注意

  • 任期は原則4年(短縮不可、譲渡制限会社は最大10年)

  • 監査役会は3人以上・半数以上が社外監査役、大会社かつ公開会社は設置必須

会計監査人

  • 計算書類をチェックする機関(役員ではない)

  • 資格は公認会計士または監査法人、任期1年(変更不可)

  • 大会社は設置必須

会計参与

  • 取締役と共同で計算書類を作成する機関(役員である)

  • 資格は公認会計士・監査法人に加えて税理士・税理士法人も可

  • 任期は原則2年

指名委員会等設置会社

  • 指名・監査・報酬の3委員会を設置、業務執行は執行役が担う

  • 代表取締役は設置不可、代わりに代表執行役を置く

  • 各委員会は取締役3人以上で過半数が社外取締役

監査等委員会設置会社

  • 監査等委員である取締役と監査等委員でない取締役の二種類が存在

  • 委員の選任・解任は株主総会の決議事項

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