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SS#069_遺品 / The Inheritance
Bさんの祖父が亡くなった。
遺品は、肌身離さず持ち歩いていた
使い古されたアルミの水筒が一本だけだった。
「これだけ?」
親族は顔を見合わせた。
弁護士は同席していた分析官に対して静かに言った。
「分析をお願いします。」
分析官は手袋をはめ、うやうやしく水筒を持ち上げると
それを分析器の上に置き、測定を始めた。
数分後。
「結果が出ました。
相続額は、六十九億円です。」
「……え?」
「溶存態金濃度……過去最高です。」
孫は水筒を抱きしめた。
「おじいちゃん、ありがとう!」

溶存態金濃度:水中にイオンや錯体などの形で溶解して存在する金の濃度。天然の河川や海水にもごく微量の金が含まれることが知られている。ただし、現在の技術では採算が取れないそうです。
