物流が抱える課題③――物流の全体像をたどる
店には商品が並び、工場には部品が届き、家庭には注文した荷物が届く。
手元に物があるというのは、こうした移動と受け渡しが成り立っているということでもある。
作られた物を、使われる場所へ、使われる時点までつないでいく仕組みが、流通である。
その流通には、取引の流れもあれば、情報の流れもあり、物の流れもある。
物流は、その名の通り、物の流れのことである。

物は工場や倉庫を出て、船やトラックで運ばれ、次の場所で受け取られていく。そうした動きの中で、出荷する人、運び方を組む人、実際に運ぶ人、そして受け取る人がいる。
これらの人々が、それぞれの場所でそれぞれの役割を担っている。
出荷する人は、何を、いつ、どこへ向けて出すかを指定し、物の動きの出発点になる。この人を荷主という。
運び方を組む人は、その物を船で運ぶのか、トラックでつなぐのか、中継点を検討し、どこで受け渡すのかを整えながら、全体の運び方を組み立てる。この役割を担う人をフォワーダーという。
実際に運ぶ人は、トラックや飛行機など実際に運ぶ手段を持っていて、計画に沿って物を次の場所へ動かしていく。これを担う人をキャリアーという。
受け取る人は、届いた物を船やトラックから下ろし、検品し、保管し、次に動かせる状態へ整えていく。この人を荷受人という。
それでは、ものが次の場所へ運ばれるまでに、誰が何をしているのかを見てみよう。
まず荷主がいる。荷主にとって物流の目的は、きちんと届くようにすることである。何を、誰に、いつまでに届けるのか。その条件を、確実性、スピード、コストを見ながら運び方に落としていく必要がある。そこで、フォワーダーが登場する。

ここから先は、荷主の希望をどう現実の運び方に変えるかの仕事になる。トラックは小回りが利き、細かい場所まで届けやすいが、一度に運べる量には限りがある。鉄道はまとまった量を低コストで運びやすいが、貨物駅までしか届かない。船は時間はかかるが、一度に大量の貨物を動かせるので、国際貨物の大動脈になる。飛行機は一度に運べる量は限られるが、コストが高くても、急ぎの荷物を速く運べる。小さくて高いものを運ぶのに向いている。
さらに、手段ごとに、積み方にも配慮が要る。どの単位でまとめるのか、どこで積み替えるのか、どう載せるのか。例えば飛行機なら、胴体は丸く、置ける場所にも高さにも限りがあり、重さの偏りも許されない。フォワーダーが見ているのは、こうした手段ごとの特徴と積み方の制約を踏まえた、条件に合う運び方全体である。

その運び方を現実に引き受けるのがキャリアーである。ここで問われるのは、どう運ぶかだけではない。船や航空機、車両を自社で持つのか、リースで使うのか。人手をどう確保し、どう回すのか。行きの便だけ荷物が埋まっても、戻りが空なら採算は崩れる。物を運ぶというのは、手段と人を持ち、往復も含めて回し続けることでもある。ここでは、船や車両をどう持つかが、そのままB/SやP/Lの違いとして現れてくる。
その先には倉庫がある。倉庫会社の倉庫かもしれないし、港湾の近くの倉庫かもしれないし、小売やメーカーの倉庫かもしれない。そこでまず問題になるのが、在庫と空き場所である。置けるのか。どこに置くのか。あとで出しやすいのか。倉庫では、ものを受け入れ、仕分けし、棚に入れ、取り出し、また次へ渡していく。倉庫の中でも、ものは動き続けている。その搬送や荷役を支えるのが、マテリアルハンドリングである。とくに港では、船から貨物を下ろす段になると、倉庫内の搬送とは別に、大掛かりな荷役設備が必要になる。

こうした、物流の前提を理解することで、現代社会における課題が整理しやすくなる。現代の物流には、速く、細かく、止まらず、しかも低コストで届くことが求められている。だが、物は情報のようには動かない。積み替えも受け渡しも保管も、現実にはどこかで必要になる。そのたびに人手も場所も要る。そうすると、負荷や無理は物流の途中のさまざまな場所に現れてくる。荷待ちや荷役に出ることもあれば、在庫や空き場所に出ることもある。受け入れ体制の弱さとして見えることもある。さらに国際物流では、航路の不安定化や地政学上の緊張が、国内の納期や在庫にも返ってくる。次は、このなかでも中心的ともいえる課題、人手不足対策について考えてみたい。
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