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戦争と隣り合わせの世界線では、お酒の銘柄にも軍国調ーこういう感じが戦争へのハードルを低くする

 日中戦争当時のものとみられる、一升瓶のラベル付きの空き瓶を入手しました。空き瓶はリサイクルが当たり前の世の中では、なかなか古いラベルそのままの瓶は入手できませんが、幸い、今回手に入りました。その名も「銀翼」。ラベルはオークションやお店で出回っているので、そこそこ作られたようです。

日本酒「銀翼」瓶

 福岡県下広川村(現・広川町)の津留崎酒場吟醸とあります。横文字は、中国方面への輸出などを狙っていると思えます。両側に戦闘機らしい絵があります。

 同部分のラベル。飛行機は、1936(昭和11)年11月正式採用で1942(昭和17)年まで製造されて一部は特攻機にも使われた九七式戦闘機を模したものと思われます。「世界に冠たる銀翼」とあります。大きく出ました。

 ちょっと傷が入っていますが、ここは「皇国一銘醸」とあります。

 機体には「銀酒號」とあるようです。

 国立国会図書館のデジタルコレクションで調べますと、明治創業の福岡県三潴郡大善寺村(1939年に町制、現・久留米市)には津留崎酒造場という会社があり、そこでは「国旗正宗」という、ラベルに国旗や日章旗、錨などをあしらったラベルの酒を造っていました。一方、津留崎酒場という会社は見つけられませんでしたが、別に見つけた商品券に「福岡県八女郡一條町」とあるのを見つけました。同名の町はありませんが、同じ福岡県八女郡下広川村が元は一條村と合併していて、商業者の名簿で津留崎姓の名前を同村で見つける事ができました。
 おそらく、同じ一族で、酒造は大善時村でやっていて、銘柄品として「銀翼」をOEMで造ってもらったのではないかと思えます。なので、「酒造」ではなく「酒場」なのではないかと。
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 さて、時期ですが、やはり日中戦争当時のものではないでしょうか。1938年に開かれた第16回全国酒類品評会で優等賞を受けた2銘柄のポスターをご覧ください。

 佐賀県浜町(現・鹿島市)の岩永第二酒造場の場合、酒の名前は「端麗」ですから、特に軍国調ではありませんが、宣伝用のポスターが、歩哨の兵士や複葉機入りの軍国仕上げです。

 こちら、福岡県八女郡福島町(現・八女市)の高橋商店三瀦醸造場による「栄」のポスターです。こちらは1927(昭和2)年から1937(昭和12)年まで生産された九三式爆撃機から、自社の酒を爆弾代わりに落としているデザインです。

 偶然、いずれも九州の品ばかりになりましたが、おそらく全国各地で日中戦争にあやかった酒の名前やポスターで戦時下の雰囲気に載せた商品を売ろうとしたのでしょう。そして、こうして写真が並ぶだけでも、いかがでしょうか。こうした瓶やポスターが街中に普通にあるとしたら。戦時報道と合わせ、何か、戦争で浮かれた感じになりはしないでしょうか。

 まだ余裕があった時期は、こうして戦争を利用していたのでしょうが、これらがさらに戦時下の雰囲気を高めたのは間違いないでしょう。それにのせられた民衆の支持あってこそ、8年も戦争をつづけられたのではないでしょうか。

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