ツアーに寄せて特別寄稿2(緊急編)「国外への飛行機が飛ばなくなりました。」
あの後、羽田行き便へ乗り込んでまったりしていたが、
「機体に問題があって全員降りて欲しい。」
ということになって、次の代わりの便が3時間後になった。ま、よくあることで、ラウンジで時間をつぶす。


別のゲートへ2時間後に行くと、ザワザワと一向にon boardができない状況。急に呼び出されたであろうフライトアテンダントたちが次々に飛行機へと急ぐ。その中のチーフらしく人が急にマイクを掴んで、
「あたしたちも急に呼び出され、いま最善を尽くし準備をするので、もうしばらくお待ちください。」
元男性のかた。毅然と。

それからずいぶん経ってやっと飛行機に乗れる。準備の整ってない代わりの便でアテンダントたちから協力しあいながらアメニティや水やスリッパ、ヘッドフォンが配られる。

毛布を出して足にかけ、食事のメニューを「Japanese One」オーダーし、機長から、
「Refuelに時間がかかるので。」
と羽田までのガスを入れ終わるのをみんなで待つ。

しかしあるときに誰かが立ち上がる。
「これ、飛ばないんじゃないかな? キャンセルされるよきっと。」
そう叫ぶ。
え?
次々にみんなが立ち上がる。すぐに呼応するかの如く機長アナウンス。
「申し訳ないけれど、ガス入れたが、今から飛び立っても羽田が7時で閉まるので、今日はもう飛べないという結果になった。なので今日の便はキャンセル。どうしたらいいかは降りてもらって地上係員に。」

さすがに暴動一歩手前の険悪なモード。でも降りるしかないので降りて係員の指示を待つが、どうやら飛ばないという現実、明日の同時刻に振り返られるので、ミネアポリスのホテルに宿泊して夕食を食べて明日にという流れが見えてきた。

僕は係員の一番偉そうな人に直接交渉する。
「えーっと、アトランタって単語が聞こえたけど、僕はピアニストで明日にコンサートの初日を迎えるので、今夜中に飛ばないとえらいことになる。なんとか今夜中に飛ばせてくれ。」
彼は何か答えたけれど、混乱してて誰もがどうなってるのか何をすればいいのかてんてこまい。乗客たちはそれを見てただ固唾を飲むと言った感じ。
彼が言う。
「あなたがそういうのならば、サービスセンターで何か別の便を探すとかやってみるしか方法はない。」
「え? やはりどこかへ飛行機、飛んでるのですね?」
「いや、だからわからないんだ。自分でそれを試すしかない。」
「わかった。」
僕のその場を離れサービスセンターを探す。人に聞き聞きやっと小さな靴磨きプレースのようなその場所を発見する。黒人女性に話しかける。
「羽田のケースだよ。明日名古屋で初日なんだ。ピアニストなんだ。今夜中に飛びたいんだ。そうしないと明日の便だと羽田に4時半着なので、コンサートは6時に開演、つまり税関を抜けて名古屋へ新幹線で移動したら開演に間に合わない。だから今夜の便を。」
「わかったわ。パスポート見せて。ファーストクラスは無理よ。エコノミー、いいわね?」
「いいよー。」
およそ30分、その場で彼女はあらゆる方法を探り、どうやら、
「国際線は全部止められてるのよ。」
ということがわかったらしい。うしろにいたオレンジ色のニット帽の男子に、
「申し訳ない、僕だけでこんなに止めちゃって。」
すると、彼
「大丈夫だよ。ピアニストなんだね。僕はObligationがないから待てるよ。今夜はホテルに泊まるよ。Break a Leg!!!!!!!」
と言ってくれた。その後ろのアジア人の男の人にも同様に謝る。するとそのの後ろには20人ほど列ができていた。
更に30分。彼女が最善の方法を実行してくれて発券が実現した。
「今からの便でシアトルに飛ぶの。言っとくけどファーストじゃないの。そしてシアトルでホテルに泊まって、明日の便で羽田へ。羽田には2時過ぎに到着。」
「わ、すごい。やった。」
「ありがとう。2時だから2時間半は稼げるでしょ? それで税関抜けて新幹線で」
「うん。あ、荷物が3つある。スーツケース2個、キーボード1個、これらってシアトルでピックの必要ある?」
「ないわ。ストレートで羽田まで行く。」
「おーありがとう。すごいわ。」
「どういたしまして。力になれて光栄よ。」
彼女の説明は的確で、非常事態が起こって国際線が全部今日はキャンセルになったという事実が判明。何か政治的なことが起こったのだろう。
ターミナルが変わるので大きな空港を歩く歩く歩く、帽子ケースを持って。
そしてドメスティック遅れながらもなんとか乗れて席に。窓側の窓越しに荷物を積む作業員を見つめ、もしや今この積み込みに時間がかかる荷物は僕のじゃないだろうかと申し訳ない気持ちになる。やがて飛行機と荷物を積むコンビナートが引き離され、ゆっくりと雪の中を飛行機が動き始める。

やった。まだわからないが可能性が生まれた。空へ。そうすればシアトルまで行ける。

にいなに連絡する。あの黒人の女性はよくやってくれたが、スーツケースが無事に到着するかどうかはまだわからない。なので着のみ着のままを覚悟しよう。No Rehearsalも覚悟しよう。万が一遅延しても諦めず身体を名古屋の会館へ向かわせる。今はそれだけ。
そう心に決め、ふっとゆっくり目を閉じた。



飛行機は飛び立ち、3時間ちょっとでシアトルへ。

機内で空港の近くのホテルを抑えたので、シアトルの空港へ着くや否や、手元を動かしホテルに徒歩で向かう。
途中いろんな人に聞きながら駐車場を抜けて橋を渡ってエレベーターに乗って歩いて歩いて、
結局20分。



でも無事にチェックインしたらバスタブもあるイイ部屋。気持ちを切り替え風呂に入る。ぐー、そのまえに食べ逸れないようにご飯だ、。手元で調べる。一番近いスーパーは徒歩で40分だ。Uberを呼ぶ。
シアトルは昨日からものすごい霧で車の窓から見える景色はどこも真っ白だった。大きなスーパーで弁当や甘いものを買い占めてまたUberを呼ぶ。







「どこ? 近くにいるのはわかるんだけど、出口まで来てくれないとこの霧じゃわからないよ。」
「ははは、左に折れて数歩歩いてみて。ほら、ドアを空に向けて開けてる、それが俺さ。あ、通り過ぎないで、戻って、そうそう、俺だよ。」


気がつくとドアを空に向けて全開したテスラとそのドライバーが笑ってた。
とここまで書くと、あと数時間がないことがわかる。無事にホテルでご飯を食べて、風呂に入って、寝て、朝5時起きで、ピアノなしでイメトレやって、ストレッチして、空港へ徒歩で。チェックイン、ラウンジへゴー。



するとここでなんと、日本人の係の方がいた。Mikiさん。
「あ、Senriさんですね。私がやって差し上げます。」
なんとランウジチェックインで羽田までの席を発券(僕の手元の券は「席はまだ決定してない」だった)、荷物もすでに羽田便に乗ってることをダブル確認。Mikiさん、グッジョブすぎる。ありがとさん。シアトルでまたこうして人の助けを借りた。


で、後8分。2時過ぎに無事に飛行機が羽田に到着して無事に税関を抜けたらタクシーでどこかまで行って(See what's happening!) 新幹線に飛び乗って名古屋へ。 のはず。きっと。
グッズもコスチュームもコーラス練習もWInter Joe Specialのリハも新しい曲軍団のリハも、、、、、、、、、、
ナーンもなし。
ごめんなさい。でも身体を名古屋へ。みんなが待ってる。
さっき知ったのだけどUSA、ベネズエラを攻撃したんだね。それと関係あるのかわからんが、どうかこの後、羽田便、飛んでくれ。
さあ、空港トレインに乗って別ターミナルへ出発する。どうか祈って念を送って。僕は無心で名古屋へ向かう。
◆ゲートへ向かう
◆飛行機に無事搭乗 。しかし18分の遅延が発表 される。
機内での大江屋の撮影動画tiktokに。離陸祈る🤞
https://www.tiktok.com/@senri_oe?_r=1&_t=ZP-92loNHOg6gA
◆飛んだ
✴︎大江千里ソロピアノ「君と生きたい I wanna live with you アンコール」 チケット⇩
✴︎Senri Oe Trio BLUE NOTE TOKYO and 芦屋ルナホール チケット⇩
文・写真 大江千里 (c) Senri Oe, PND Records 2026
