地域の魅力を発信するのを、そろそろやめてみる!?
地方創生の仕事をしていると、何度も出てくる言葉があります。
「地域の魅力を発信する」。
美しい景色、おいしい食べ物、歴史、文化。
もちろん、どれも大切。
でも最近、少し疑っている。
地域の魅力って、そんなに発信し続け
なければならないものなのだろうか。
全国の自治体が地域の魅力を発信する。
結果、SNSには美しい海、山、古民家、カフェ、特産品が並ぶ。
どれも魅力的です。
でも見る側からすると、だんだん違いが分からなくなる。。
福岡県古賀市が9月4日に募集を始めたプログラムの名前が目に留まりました。
「人に会いに、古賀へ。」
観光ではなく、関係をつくる2日間です。
観光地を案内するのでは
なく、仕事場へ連れていく
古賀市は福岡市からJRで約20分。
食品製造業が盛んな「食のまち」です。
今回募集するのは8〜10人程度。
10月16日から1泊2日で、地域の食品企業を訪ね、料飲店組合長と話し、地域企業のDXや副業活用について意見交換します。
夜は地域の人が集まる立ち飲み店などで交流する。
翌日はメーカーや直売所などを巡る。
つまり、
「ここがおすすめの観光スポットです」ではなく、「この人に会ってみてください」
というプログラムです。
しかも対象者には、副業・兼業に関心のある人、自分のスキルを地域企業の課題解決に使いたい人、起業や事業展開に関心がある人などが想定されています。
今年度は全3回を予定し、今後は経営課題への伴走や地域のブランディング、情報発信に関わるプログラムも実施予定です。
人は「景色」にもう一度会いに
行くのか
ここからは私の考え。
旅行で美しい景色を見たことは何度もあります。
「いいところだったな」と思う。
でも、もう一度行くかと言われると、必ずしもそうではありません。
一方で、
「あの人にまた会いたい」
と思った地域には、理由をつくってまた行きたくなる。
これは関係人口を考えるうえで、かなり大きな違いだと思っています。
地域と人の関係は、
場所→人
ではなく、
人→場所
から始まることもある。
「あの店主に会いたい!」
「あの農家の収穫をまた手伝いたい!」
「あの会社のプロジェクトが気になる!」
「あの人たちと何かやってみたい!」
人との関係が先にでき、その人が暮らしている場所まで好きになっていく。
だとすると、自治体の情報発信も少し変えられるはずです。
「地域のファンを増やす」
は少し主語が大きすぎる
行政では「○○市のファンを増やす」という目標を置くことがあります。
でも、市全体のファンになるというのは、考えてみればかなり大きな話です。
最初はもっと小さくていい。
一人のファンになる。
一軒の店のファンになる、一つの活動のファンになる。
そこから地域との関係が広がる。
法人運営の中で地域で動いていても、行政として地域を見るときとは違うものが見えます。
制度や事業ではなく、
「この人とこの人を会わせたら面白そうだ」
という場面が増える。
地域づくりでは、この人と人の編集が意外と重要です。
行政が全部やる必要はありません。
むしろ、行政、地域団体、企業、中間支援組織などが、それぞれ知っている面白い人を地域外へ開いていく。
「観光パンフレット」ではなく、
「この町で会ってほしい10人」
をつくってもいい。
関係人口は人数ではなく、
「次の約束」で測れないか
古賀市のプログラムでは、体験後も参加者限定コミュニティで交流を継続し、将来的な二地域居住、副業、協業などにつなげることを目指しています。
まだ募集が始まった段階なので、成果は分かりません。
でも、ここには一つヒントがあります。
関係人口施策の成果を参加者100人や、交流会50人。
SNSフォロワー1万人。
だけで測るのではなく、
「地域の誰かと、次に会う約束ができた人は何人いたか」
で測ってみる。
次の訪問。
副業や商品開発、イベント、相談。
ただ飲みに行く約束でもいい。
それなら「関係」という言葉に、少し実体が出ます。
人口を増やすのは難しい。
でも、
「この地域に、もう一度会いたい人がいる」
という人を増やすことならできるかもしれない。
地域の魅力を一生懸命説明するより、
まず一人、会ってほしい人を紹介する。
関係人口は、案外そこから始まるのではないでしょうか。
