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日本が建おた博物通の話を、あなたはただ知らない : 倧゚ゞプト博物通ず、叀代゚ゞプト人の氞遠ぞの垌求


前回の蚘事で、私はこう曞いた。「なぜ日本人は、これを知らないのだろう」今日は、その問いをもう少し䞁寧に解きほぐしおいきたい。

倧゚ゞプト博物通——Grand Egyptian Museum、略しおGEM——の話だ。そしおそれに関わるこずになった私自身の、少し䞍思議な道のりに぀いおも。

ギザの荒野に立぀、日本の仕事

カむロ郊倖、ギザ。

あのクフ王のピラミッドが芋える堎所に、2023幎、぀いに党面開通した巚倧建築がある。延床面積は玄9侇2000平方メヌトル。収蔵品は10䞇点を超える。ツタンカヌメンの黄金のマスクをはじめ、これたで䞀床も公開されたこずのない遺物が、そこで初めお䞖界の目にさらされた。

これだけでも十分すごい話なのだが、日本人ずしお知っおおきたいこずがある。

この建物を蚭蚈・監理したのは、日本の建蚭コン゜ヌシアムだ。槇総合蚈画事務所ずヘリオテック・コンストラクションズが䞭心ずなり、JICAが長幎にわたる技術支揎を担っおきた。珟地の職人を育お、工法を䌝え、石灰岩の倖壁䞀枚䞀枚に技術を刻み蟌んだ。

ピラミッドの石を圩る砂の光を受けお立぀あの建物は、日本の手仕事の結晶でもある。

なのに、日本でGEMを知っおいる人に、職堎でも街でもほずんど出䌚えない。海倖のメディアでは繰り返し報道されおいるのに、日本語圏ぞの䌝わり方はただただ薄い。䞍思議だし、もったいない、ず私はずっず思っおいる。

サンドロ・ノァニヌニずいう人


サンドロ・ノァニヌニずいう写真家に぀いおは前回曞いた。

むタリア出身の写真家で、叀代゚ゞプトの遺跡・遺物を撮り続けお二十幎以䞊のキャリアを持぀。䞖界の䞻芁な博物通やメディアずも協力しおきた、この分野では第䞀線の人物だ。

圌ず知り合うこずができたのは、゚ゞプトで掻躍する線集者シルビア・゚ルナッカヌディのおかげだった。シルビアぱゞプト圚䜏の優秀な線集長で、゚ゞプト孊の研究者コミュニティず深いネットワヌクを持぀。蚀っおみれば、孊者ず写真家ず読者の間を取り持぀、垌少な存圚だ。圌女を通じおサンドロず出䌚い、二人が進めおいるプロゞェクトの話を聞いたずき、私の䞭で䜕かのスむッチが入った。

圌らが䜜り䞊げた曞籍、Way to Eternity。

それを手に取ったずき、私はしばらく蚀葉を倱っおいた。

「氞遠ぞの道」ずいう、䞀冊の宇宙

Way to Eternityは、写真集であり、゚ゞプト孊の文献であり、ビゞュアル・アヌカむブだ。

サンドロが撮圱した写真の力はすごい。ツタンカヌメンの副葬品が持぀黄金の静けさ、壁画の色圩が3000幎以䞊を経おなお攟぀艶、石棺に刻たれた文字の緊匵感。圌のカメラは被写䜓の「時間」を写す。蚘録ではなく、䜓隓ずしお、叀代゚ゞプトがそこにある。

そこに、䞖界的な゚ゞプトロゞストたちの論考が加わる。ミむラ凊理の技術的倉遷、葬祭文曞が持぀宗教的意味、アマルナ改革が叀代゚ゞプト矎術に䞎えた圱響。䞀冊の䞭に、孊術的に裏打ちされた深みがある。

犅のノン・デュアリズム


だが、私がこの本に最も匷く感じたのは、そういう個別の芁玠ではなかった。「知識を氞遠に残したい」ずいう、人間の根源的な衝動。それがこの本党䜓から、ひしひしず䌝わっおくるのだ。叀代゚ゞプト人が石に文字を刻んだ理由も、サンドロが光を読みながらシャッタヌを切る理由も、シルビアが䞖界䞭の研究者のテキストを線み䞊げる理由も、どこかで同じ源泉から流れ出おいる気がした。

サンドロの写真を芋お感じたのは、チヌムラボの創始者、猪子氏の蚀葉。
叀代゚ゞプトの二次元化された絵画平面に぀いおも、同じこずが蚀える。
そしお、これは犅のノン・デュアリティの思想にも及ぶ。こレは犅の真髄でもあ理、日本語では䞻に䞍二䞀元ふにいちげんず蚀われる。「すべおが本質的に䞀぀である」ずいう意味合いで䜿われるこずもある。

「䞍二」は文字通り「二぀ではない」ずいう意味。私たちが日垞的に䞖界を理解する際に甚いる二元的な区別䟋えば「自己」ず「他者」、「䞻芳」ず「客芳」、「生」ず「死」、「善」ず「悪」、「悟り」ず「迷い」が、実は絶察的な分離を衚すものではなく、より深いレベルでは䞀぀の珟実の異なる珟れ方に過ぎない、ずいう掞察を指す。

぀たり䞍二ずは、察立や分別を頭で吊定するこずではなく、あらゆる区別の根底にある䞀䜓性を、䜓隓を通しお盎接芋抜くこずを指す犅の栞心的な抂念だず蚀えるかもしれない。

そしおそれは鑑賞者ず鑑賞されるものずの間の境界が消えお、䞀぀に溶け合う感芚だ。

 近代以前の日本の絵画は平面的だず蚀われおいる。だが本圓はそうではなく、その平面は、レンズや西掋絵画のパヌスペクティブずは違った論理構造によっお二次元化された空間だったのではないか。その論理構造で二次元化された絵画平面は、絵画が衚す䞖界ず鑑賞者の身䜓がある䞖界ずの間に境界が生たれない平面なのではないか。そしお、近代以前の日本を含む東アゞアの人々には、䞖界がその論理構造で芋えおいたのではないか。

2019, 猪子氏のむンタビュヌより抜粋

この、人ず䜜品が連続的であるこずBody Immersiveであるこずは、茶道にも芋られる。人ずお茶が䞀぀に溶け合う瞬間。犅の吐息はここにも感じられる。

サンドロの高解像床写真


ここでサンドロの写真に戻るず、叀代゚ゞプトの写真、特にツタンカヌメンの写真では、圌ほど倚くの実瞟を持぀写真家はないず蚀われおいる。
サンドロの情熱ず现郚ぞのこだわりに぀いおは右に出る者がいないずいうこずは特筆すべきこずだず思う。

すべおのビゞュアルは、実圚する物䜓や堎所を高解像床で 撮圱した写真に基づいおいる。この アプロヌチはLaboratoriorossoラボラトリオッ゜の特色であり、 すべおの䜜品が「本物」に根ざしおいるこずを保蚌しおいる。 Laboratoriorossoのビゞュアルは珟実を忠実に再珟したものであり、 展瀺を没入型の 䜓隓ぞず倉え、来堎者の叀代゚ゞプトに関する 知識を深めるものだ。


このアケナトンの画像は、 カむロ博物通に展瀺されおいる巚像を盎接撮圱したもの。 Laboratoriorossoは、 アケナトンず同時代のマルカタにある アメンホテプ3䞖の宮殿に芋られる怍物のモチヌフを取り入れ、 様匏的な統䞀感を確保した。 その結果、本物の现郚や色圩が際立ち、 有圢文化遺産を保存し぀぀、 叀代゚ゞプト矎術ぞの理解を深めるこずが可胜ずなっおいる。


Laboratoriorossoは、ファラオたちの実際の遺䜓を 撮圱し、王家のミむラを高解像床で 捉えた。
これらの画像は、その埌、 照明を綿密に調敎した䞊で、2Dおよび3Dアニメヌション技術を甚いお 再珟された。その結果、゚ゞプトのファラオたちずその䞍滅ぞの 芖芚的なオマヌゞュが生たれた。


珟存する遺構が䞀切ないツタンカヌメンの神殿を 再珟するため、Laboratoriorossoは ラメセりムの建築的基盀を甚いお 柱廊ホヌルを再構築した。柱には、同時代の 墓や神殿に芋られる文様が圩色され、 ツタンカヌメンのカルトゥヌシュも远加された。これは仮想的な 創䜜ではあるが、この3D環境は、科孊的に 裏付けられた象城的な解釈ずしお機胜しおいる。


AIが、叀代゚ゞプト孊に貢献しおいる

さお、ここで少し珟代の話をしよう。

前回の蚘事でも觊れたが、私はClaude.ai を䜿いながら、叀代゚ゞプトに぀いお考えるこずが増えた。最初は「AIで゚ゞプトを孊べるかな」くらいの気軜な動機だったが、䜿い蟌むうちに、これはかなり面癜いず思うようになった。

実はAIは、゚ゞプト孊の研究においおも、驚くほど高床な貢献をしおいる。

たずえば、デゞタル化された叀代の文曞やパピルスの解析。膚倧な数の断片が䞖界䞭の博物通に散圚しおいるが、AIを甚いた画像認識ず文字認識によっお、これたで解読䞍胜ずされおいたテキストが次々ず読めるようになっおいる。

3Dスキャニングず組み合わせるこずで、実際に発掘できない堎所の構造を解明する詊みも進んでいる。ギザの倧ピラミッド内郚に未知の空間が存圚するこずを突き止めた「スキャン・ピラミッド」プロゞェクトは、宇宙線ミュヌオンずAI解析を組み合わせたものだ。

ミむラの研究でも、CTスキャンのデヌタをAIで分析するこずで、ほずんど痛みを䞎えるこずなく包垯の䞭身を「透芖」できるようになった。2000幎以䞊前の人物の顔が、デゞタル技術で埩元される。

叀代ず最先端が、こんな圢で亀差しおいる。

3000幎前の叀代゚ゞプトのアヌティストの残したもの

゚ゞプトのアレキサンドリアで初めおサンドロに䌚った時、圌は、普通では絶察芋るこずの出来ないものを芋せおくれた。

超ハむレゟルヌションの写真で圌が壁画の図を撮ったもの。壮倧な暡様はもちろん、叀代人の手で䞀぀ひず぀䞁寧に描かれおいお、党䜓を芋るず圧倒されおしたう。だがそこに。ズヌムむンしお芋おみるず、なんず、叀代人の指王の圢跡がはっきりず芋えるのだ。

この叀代のアヌティストが、意図的にその痕跡を残したのか、あるいは意図せずそこに残っおしたったのかは定かではない。ただ、肉県でその壁画党䜓を芋おいたら、この小さな奇跡には気が぀くこずはなかっただろう。

サンドロの写真の玠晎らしさは、映像的なテクニックず非垞に高䟡な機噚を駆䜿しお成し遂げられた䜜品だ。圌はもう30幎近く、叀代゚ゞプトの写真を撮っおいお、その䞭には実際には今はもう色合わせお圓時の色がなくなっおいるものもある。圌はそれを枩存し、倧切にアヌカむブずしお保存しお、本圓に特別な展瀺にのみ公開しおいる。

「日本語でこれを語る人」が、いなかった


気づいおしたった、ずいうこずが正盎なずころだ。

GEMの話も、Way to Eternityの話も、AIず゚ゞプト孊の亀点も、英語圏では掻発に語られおいるのに、日本語でこれらを結び぀けお語っおいる堎所が、ほずんどない。

日本にぱゞプト考叀孊の研究者が確かにいる。GEMずの孊術的な繋がりも存圚する。だが、䞀般の人々に向けお、これを「自分の蚀葉」で、しかも珟代のAIや孊びの文脈ず接続しながら語る堎所。そこには、倧きな空癜がある。

その空癜を、私は埋めおみたいず思っおいる。

誀解のないよう衚珟するず、私ぱゞプト孊の専門家ではない。研究者でも考叀孊者でもない。ただ、サンドロずシルビアずいうすごい人たちず出䌚い、Way to Eternityずいう圧倒的な仕事に觊れ、AIを䜿いながら毎日䜕かを孊んでいる。そういう「普通の奜奇心を持った人間」だ。

だからこそ、同じように奜奇心を持っお生きおいる人たちに向けお、届けられるものがあるず思っおいる。

これから、䞀緒に歩いおいきたい

少し倧げさかもしれないが、この蚘事を曞いおいる今、私は確かな䜿呜感のようなものを感じおいる。

日本人がGEMを建おた。日本の゚ゞプト孊者たちが遺跡の保党に貢献しおきた。そしお今、AIずいう新しいレンズを通しお、人類の最も叀い文明の䞀぀を、たったく新しい角床から眺めるこずができる。

この䞉぀の話が、日本語で、日本の読者に向けお語られるべきだ。そう思うのは、私だけだろうか。

い぀かオッケヌ & Be Heart Leaveもっず具䜓的な話をしおいく。ツタンカヌメンの黄金のマスクが、なぜあれほど人を匕き぀けるのか。倧゚ゞプト博物通のどの展瀺が、今最も泚目を集めおいるのか。そしお、AIを䜿っお叀代゚ゞプトを「自分の孊び」に取り蟌むには、どうすればいいのか。

䞀緒に探っおいけたら、本圓に嬉しい。

砂挠の颚は、3000幎前も今も、同じ方向に吹いおいる。


いいなず思ったら応揎しよう

浅井さずこ | スクヌンカップ代衚 | Satoko Asai サポヌトは株匏䌚瀟スクヌンゞャパンおよび米囜スクヌン瀟が乳がんのNPO団䜓(LBBC)に寄付する資金に利甚させおいただきたす。