胸の高さの換気扇|私のカケラ03
インテリアコーディネーターのsayuriです。
ブログに出逢って下さりお読み下さりありがとうございます。
「攻撃は最大の防御なり。」
朝礼で1日の教訓的なものを幹部の人が読み上げる。京都での現場管理の仕事は毎朝長めの朝礼から始まる。確かその日の内容は、待っているのではなく自分から行動していく、というような話だったと思います。攻撃は最大の防御なりって。笑 人数分プリントアウトされた紙を見つめつつ、横目でTさんを覗くと、笑いを堪えていた。同い年の彼は笑いを堪える時独特の表情をする。でもその表情が、笑いを堪えているというのは彼と仲良くなった人にしか分からない。そんな世渡り上手なTさんの顔を見てこちらも笑いを堪えるのが必至でした。せっかく関西に来たのに、幹部のFさんの話はいつも面白ろくなくて、「こんなに面白くない話が出来る人は初めて!」と脳内で叫んだのは、頭の良い大学を出て、物理の成績が常にトップだったと本人から聞かされていたからだと思います。朝礼の締めくくりはラジオ体操で、事務員さんは朝礼に参加しないので私以外は全員男性でした。
会議室を出て自分たちの席に戻る途中、Tさんに「笑わせないでくださいよね。」と目で訴える。Tさんはそれに気付いてない振りをしたけど、絶対気付いてる。
私の右隣は嘱託で働いている70歳を超えているおじいちゃんの席で、社長と長い付き合いらしい。小柄で笑顔が可愛く、いつもとっても親切にしてくれた。右隣をふと見ると、おじいちゃんの指が第一関節まで鼻の穴に入っていたので私は見なかったことにした。
そういえば以前課長がおじいちゃんのことを「マモウに似てるやんな。」と言っていた。
ポーカーフェイスのTさんと仲良くなったのは、この会社に初めて出勤した日のことでした。初日は先輩について仕事を見させてもらうということで、私はTさんについていくことになりました。
現場は山手にあって、主にキッチンの改装工事でした。
Tさんが職人さんに挨拶してぐんぐん中に入っていくので、私も後に続きました。
「ハハハっ!」
とTさんの爆笑が聞こえて見てみると、新しいキッチンのレンジフードが胸の高さに付けられていました。低すぎてこれじゃあお鍋の中身が見えない。笑 キッチンを据える場所が丁度下屋になっていて、天井が低くいためレンジフードの位置も低くなってしまっていたのです。今思い出しても爆笑してしまう光景。笑
「〇〇邸のキッチンどうなってるんですか?」
と業者さんに半笑いで電話を掛けるTさん。
大工さんが下地を作ってるときとか、設備屋さんがレンジフードを付ける前とか、どこかのタイミングで誰か気付かなかったのかな、と思うと笑いが込み上げる。そしてどんな気持ちで、明らかにおかしいレンジフードを最後まで付け切ったのかなと思うとさらに笑が込み上げてくる。笑 そもそも現調(現地調査)の段階で気付くよね。
現場から駐車場まで向かう坂道、道の真ん中で大の字になって寝そべっているTさん。持参したブレイブボードで下ってみごとに転倒していた。
笑っていいのか、心配した方が良いのか分からなかったけど、気付いたら笑っていた。
「いいか、段取りが大事なんや。」
車の中でTさんが言って来たけど、ギャグにしか聞こえなかった。
そんな初日から始まった京都での現場管理の仕事。
ボイコットを恐れて社員同士の会食は禁止というのが会社のルール。先輩もTさんも車の中に盗聴器が無いか探していた。笑
もちろん会食禁止なんて守れる訳はない。でも隠密に。笑
夜な夜なマックでTさんと昼間の仕事の話と意味の無い話をして、飽きたら私に関西弁を無理やり覚えさせようとするというのがいつものルーティン。私が「〇〇じゃん!」と言うと「バカじゃん!」と言って必ずバカにしてきてた。食べきれないポテトをお互いに押し付け合って、無理やりTさんの口に入れようとしたら、指じゃなくて手ごと食べられたときはあっけにとられてしまった。
関西人の距離感に馴染みがなくて戸惑っていた私だけど、関西人の問題ではくてTさんがクレイジーなのだとほどなくして気付いたのでした。
今思うと、Tさんなりの愛情表現が沢山あったことに気付きます。
京都には一人も知り合いがいなくて心細かったけど、毎日が楽しかった。
だってTさんがその会社での出来事を全部パロディにしたから。
