第百二十四章 往診

時間を少しだけ戻して、22日の昼過ぎ。
この日は、往診の日だった。

『こんにちは。坂東さん。最近はどうですか?』
辻先生がおじいちゃんに尋ねた。
『こんにちは。まぁーぼちぼちですね。ちょっと浮腫んでるかな?とは思うんですけど。こないだは、ちょっとしんどいからデイを休みました。』
『そうですか。ちょっと見ますね。…。そうですね。ちょっと浮腫んでますね。おしっこはちゃんと出てますか?』
質問している横で、看護師さんが血圧を測ったりしてくれている。
『はい。トイレもしっかり行ってます。食べる量がどうしても少ないから、便通が良くないようには感じますが…。』
『そうなんですね。今後のことについてお聞きしたいのですが、awayがいいですか?homeがいいですか?』
『それはやっぱり、homeがいいですね。どうしても入院が必要ならしますが。』
『わかりました。そしたら、homeで頑張れるようにこれからもサポートしていきますね。』
そう言ってくれた。

続きの診察も終わった。
『そしたら今日はこれで失礼しますね。』
『ありがとうございました。』
おじいちゃんと挨拶をした。
そのあとすぐに先生が私たちに言う。
『ご家族様ちょっとよろしいですか?』
『はい。』
私も母もなんだかわからないといった感じで、玄関に立つ先生に返事をする。
『少し浮腫がひどくなってますね。お父さんは家がいいとおっしゃいましたが、ご家族様は大丈夫ですか?疲れなど出てませんか?』
先生は介護疲れをしていないかと、家族の心配までしてくれたのだ。
母が答えた。
『そうですね。ちょっと浮腫は心配してます。父は頭がしっかりしていますし、私たちは全然大丈夫です。父が家に居たいと言ってますので、ギリギリの時まで居させたいと思ってます。』
『ご家族様の気持ちもよくわかりました。何かあればすぐに相談してくださいね。全て系列を使って頂いてますので、訪看でもデイにでも言ってもらってもいいので。』
『わかりました。ありがとうございます。』
『それでは失礼します。』
先生は家を後にした。

部屋に戻るとおじいちゃんが心配そうに聞いてきた。
『先生、お前らにはなんか言ったんか?』
『特にはなんも言ってないで。お父ちゃんにawayかhomeか聞いたやん?それを私らにも聞いてくれてん。でも、私らもお父ちゃんには家に居って欲しいし、まだまだ元気に遊びにも行かなあかんって伝えといた。』
母が笑顔で伝える。
『そうか。よかった。お父ちゃんには言われへんけど、もうあかんって言いよるんかと思ったわ。』
私がおじいちゃんに言う。
『ちゃうちゃう。てか、おじいちゃんにやから先生、awayかhomeって聞いてくれたな!普通年寄りに英語では聞かんで。』
『そうか。なんかそれは嬉しいな。』

そんな会話をして、私たちは夜映画を観に行った。

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