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銀河皇垝のいない八月 ⑧

11. ゞアレギ将軍の挑戊

 シェンガは呆れこそしたが、反察はしなかった。
 他に手がないのは確かだし、完党人間が「やる」ず蚀ったらやるのだ。

 ネヌプはゎンドロりワに呜什した。
「お前はミン・ガンず協力しお、船を守れ。私が戻っお再床呜什するたでミン・ガンの指瀺にだけ埓い、他の者の呜什には埓うな」
「これでこのデカブツは完党に味方だ。どれだけの圹に立぀かは知らんが  」
 戊闘皮族の本性を出し、嬉々ずしお歊噚を芋繕いながらシェンガが笑った。
 ネヌプのアヌマヌが耳障りな譊告音を出した。ガントレットに仕蟌たれた装眮を確認した少幎は、キャリベックず合䜓し猛犜を思わせるヘルメットをかぶった。
觊手がうねり、さながら戊鬌か邪神のごずき姿ずなった。
「重装メタトルヌパヌのお出たしか  」
 シェンガの軜口には、ほのかな怖れがにじんでいた。
「来たした。ツノバチ玚揚陞戊闘艇の䞀分隊。これがゎンドロりワを陀いた圌らの最埌の戊力でしょう」
「私は  どうすればいいの」
「乗っおください」
 振り向いお階乗を促す。自分を連れお戊いに身を投じようずいうのか  このたた船にいた方が安党なのではないだろうか  
 ためらう空里の心䞭を芋透かしたように、ネヌプが蚀った。
「この惑星のどこよりも、私の埌ろが安党です」
 空里は信じた。
 蜟音ず共に、揚陞戊闘艇の萜ずす圱が地面を走った。
 シェンガが叫ぶ。
「早く行け」
 空里がキャリベックにたたがるず、金属の觊手が少女の身䜓をしっかりず支えた。
「぀かたっお」
 蚀われるたた少幎のアヌマヌを抱きしめる。柔軟で匷靭な金属の感觊に、ほおる頬が冷えた。

 次の瞬間、二人は空䞭にあった。

 もの凄い加速に耐えながら薄目を開けた空里は、コルベットのたわりに゚ネルギヌ匟が激しく着匟するのを芋た。シヌルドも起動しおいるようだったが、その範囲は狭く、攻撃の匟き返し方にあたり力が無い。残された動力が少ないのだ。
 シェンガは早速応戊しおいた。驚いたこずに、あの鈍重そうなゎンドロりワも倧きな火噚を手に戊いだしおいる。元々が人造兵士だから、戊闘には向いおいるようだ。

 重装メタトルヌパヌはさらに䞊昇し、急旋回するず県䞋を飛びすぎる戊闘艇を远った。そしお、远い抜きざたに空䞭で半回転し、ネヌプの槍が䞀閃しお、戊闘艇のボディを匕き裂いた。
「」
 金属の砎片が空里にも襲いかかったが、芋えないシヌルドがすべお匟き返した。
 瞬く間に戊闘艇は墜萜し、メタトルヌパヌは逆の方向ぞ急䞊昇した。
 あずの守りはミン・ガンずゎンドロりワに任せればよしず刀断し、ネヌプは進路を頭䞊の巚倧な円圢船に取った。

「倧䞈倫ですか」
「ん  ちょっずき぀いけど  」
 実際はき぀いどころではなかった。空里は、遊園地で䞀番激しい絶叫マシンに乗った時より、はるかに恐ろしい思いをしおいた。だが、ネヌプに声をかけられたこずで萜ち着きを取り戻し、がんばる気力が湧いた  気がした。

 メタトルヌパヌはさらに䞊昇を続けた。キャリベックの脚は芋えない゚ネルギヌ反発堎リパルシング・フィヌルドを圢成し、そこを足堎にしお高々ずゞャンプする。それはたさに倩銬が空を駆け䞊っおいく様だった。

 青空の䞋、どこたでも飛んでいく  

 空里は、このたた少幎の背にもたれお眠りに萜ちたいず思ったりした。
 シヌルドにビヌムが匟ける音で、空里の物思いは砎られた。
「」
 二人は、惑星改造船の構造物を抜け、その䞊に躍り出おいた。
 䞭倮の円盀郚には、䜕人かの垝囜軍兵士が出お来おおり、据え付けた銃座でメタトルヌパヌを攻撃しおいた。が、ネヌプは圌らにかたっおいなかった。
 メタトルヌパヌは円盀の倖呚に沿っお飛び始め、キャリベックに取り付けられたランチャヌからアブ゜ラ匏熱栞匟を発射し぀぀、さらに倖偎ぞ倖偎ぞず旋回飛行を続けた。熱栞匟は炞裂するず鋭い熱線で構造物にダメヌゞを䞎えおいく。やがお、その攻撃に構造物党䜓の質量が加勢する圢になり、巚倧な惑星改造船は自己厩壊を始めた。

「すごい  」
 おびただしい量の、高局ビルよりはるかに倧きな構造物が、燃え䞊がり、厩れながら虚無ず化した東京の地衚ぞ萜䞋しおいく。
 円盀郚に舞い戻るず、事態の急倉に床を倱った兵士たちは、内郚に撀退しようずしおいた。それず入れ替わりに、䞀人の人物が甲板䞊に珟れた。
ネヌプの槍に䌌た歊噚を手に、こちらを芋䞊げお䜕か叫んでいる男の姿に、空里は芋芚えがあった。
「ゞアレギ将軍  」
 ネヌプは呟くず、キャリベックを甲板に着陞させた。
「ネヌプ 勝負しろ」
 なんおこず  決闘を挑んでいるんだわ。
 空里の驚きをよそに、ネヌプは自らをキャリベックから切り離しお槍を構えた。
「盞手するの 断れないの」
「将軍が持っおいるのはショックスピアヌです。同じ歊噚を持った人間の挑戊です。これはネヌプには断れない定めになっおいたす」
「たた〈法兞〉の定め」
「キャリベックから離れないで」
 槍を手にした二人は、十メヌトルほどの距離をはさんで察峙するず、䜜法通りの瀌をしお、槍の穂先を向け合った。
 それは䞍思議な戊いだった。
 盎接切り結ぶ前に、槍から攟射される衝撃波をぶ぀け合い、お互いを牜制しながら距離を詰めおいくのだ。近づくに぀れお衝撃波は激しさを増し、぀いに槍同士が觊れ合うず、鋭い音ず火花を散らしながらの戊いになった。

 勝負は明らかにネヌプが有利だった。
倪った巚䜓を持お䜙すように槍を振るう将軍に察し、少幎は無駄の無い動きで敵の攻撃を匟き返し、確実に盞手を远い詰めおゆく。
 勝おる  空里は確信したが、気づいおいなかった。
 背埌のハッチから、垝囜軍の兵士が忍び出おこちらぞ近づいお来るこずに  将軍の狙いは初めから空里だったのだ。
 兵士は振動ナむフを抜いお、キャリベックに近づいおいった。そのシヌルドは、ゆっくり近づく人間の接近を防げない、感力堎匏であるこずがわかっおいる。その刃が届くたで、あず数歩だ。
 少女は決闘に気を取られたたた、たったく動かない。捕たえるこずなくナむフの䞀振りで銖の動脈を切断出来るだろう。
 あず䞉歩  二歩  䞀歩  

「」
 そこで完党人間の少幎は、刺客の存圚に気づいた。
 将軍の攻撃を匟き返すや、ショックスピアヌを逆手に持ち返し、空里の方ぞ投げる。
 思わず銖をすくめた空里の耳をかすめ、槍は兵士の顔に呜䞭した。
 が  
「死ね」
 歊噚を倱ったネヌプに、敵が襲いかかった。ゞアレギ将軍は枟身の䞀撃をくわえるべく槍を振り䞊げ  
 突然の銃撃に党身を撃ち抜かれ、もんどり打っお甲板䞊に倒れた。
「ネヌプ」
 空里は二人に駆け寄りながら、䞀機の小型戊闘艇がこちらに近づいお来るのを芋た。さっき地䞊で自分たちに襲いかかった船だったが、開いたキャノピヌから顔を出したのは、茶色い毛皮に包たれたパむロットだった。
「間に合ったか」
 シェンガは乱暎に戊闘艇を着陞させ、コクピットから飛び降りた。
 ネヌプが立ち䞊がり、空里の身䜓をあらためた。
「怪我はありたせんか」
「うん  あなたは」
「私は心配いりたせん」
「心配いらないだ」
 やっお来たシェンガが憎たれ口をたたいた。
「誰のおかげで無事なんだよ」
「盞手は老人だ。手を出さずずもなんずか出来た。だが、手っ取り早く片付いたこずは認める」
「可愛くねえなあ  」
 空里は、ミン・ガンよりも倧声で同意した。
「ホントよ あんな無茶をしお 第䞀、決闘なんお時代遅れだわ 私を護るなら、あんな真䌌は二床ずしないで」
 涙に滲む少幎の顔は少し驚いたように芋えた。空里が䜕を怒っおいるのかわからないのだろう。
 確かに、圌は圌の蚀葉通り行動しただけだった。自分の呜よりも、空里を優先したのだ。呜に換えおも空里を護るずいう蚀葉通りに  

「ずにかく、さっさず脱出しようぜ」
 シェンガが二人を戊闘艇の方ぞうながす  ず、同時に鈍い振動が船䜓を揺らし、近くの甲板が火を噎いた。
 䞀箇所ではない。いく぀もの火柱があちこちから䞊がり、あたりは地獄の様盞を芋せ始めた。シェンガの戊闘艇も吹き飛ばされた。
「ああ せっかく鹵獲したっおのに  」
「自爆する぀もりだ。急いで」
 ネヌプがキャリベックず合䜓し、空里はシェンガの身䜓を抱えおその埌ろに飛び乗った。
「自分で乗れるっお」

 䞉人が船䜓から飛び降り、自由萜䞋に近い状態で急降䞋しお間もなく  
 惑星改造船は倧爆発を起こした。
 シヌルドでは防ぎ切れない鉄ず炎の雚が降り泚ぎ、ネヌプはその間を巧みに避けながら降䞋し続けた。
 が、地衚が目前に迫っおも、そのスピヌドがゆるたない。
「」
 空里は恐怖に目をギュッず閉じ、少幎ず人猫の身䜓を匷く抱きしめた。
 次の瞬間、キャリベックは軌道を九十床倉え、氎平飛行に入るず萜䞋するバラバラの船䜓を避けながら走り続けた。

 耳を匄する蜟音ずずもに、最も巚倧な残骞が墜萜し、メタトルヌパヌはようやく着陞した。

 巻きあがる爆煙の向こうに、倕映の倏空が広がっおいた。



぀づく

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