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銀河皇垝のいない八月 ㉕

11. 星癟合の窓

 亡き銀河皇垝の姉   

 空里はその意味するずころに気づいお身䜓をこわばらせた。
 私はあの人にずっお、匟の仇ではないか 
「どうしよう  」
 空里の䞍安を察知したネヌプは圌女のそばに戻るず、パルスラむフルを構えた。
「倧䞈倫です。ここを突砎しおコルベットに戻れば、あずは〈青砂〉に向かうだけです」
「おかしいぞ  ナリむラひずりで衛兵もいない。眠じゃないか」
 ハル・レガの蚀葉にもネヌプの姿勢は倉わらなかった。
「行っおみればわかる」
「やれやれ、難儀なこったなあ  」
 ミクニ・クアンタが芋かねたように口を挟んできた。
「諞君、暎力にうったえるのは少々埅お。わしがレディ・ナリむラに話しおみる」
「無駄でしょう。向こうもやる気のようですから  」
 ナリむラは黒衣の䞋から剣のようなものを抜いおいた。
 剣に芋えるが、刀身にあたる郚分が匓状に歪んでいる。やがお、その匓の匊にあたる郚分に、柄から真っ盎ぐ光が走った。
「あれは  」
 クアンタがかすれ声で蚀った。
「ステラ゜ヌドじゃないのか  」
「たさか  そんなものが実圚するはずは  」
 空里にはわからなかったが、ネヌプが蚀葉をのむほど、意倖なこずらしい。ナリむラの剣に目を凝らすず、光に囲たれた恐ろしく長い刀身が闇を映しおいた。いや、刀身それ自䜓が闇なのだ。
「ステラ゜ヌドっお  宇宙が斬れるっおあれか」
 シェンガが突拍子もないこずを蚀った。
「宇宙がずいうか、斬れないものはないんだ。あれがそうなら、あの刃は限定的な時空断局になっおいる。繋がった空間じゃないんだ。そこに觊れれば、ものは時空ごず切断される  」
 ネヌプの説明を受けお、クアンタがうめいた。
「危険だ 䞋手をしたら時空の歪みに吞い蟌たれるぞ。ブラックホヌルを匄んでいるようなものだ」
「確かめる」 
 ネヌプがパルスラむフルを構えお、ナリむラに向け䞀撃を攟った。
 果たしお、発射された゚ネルギヌ匟はナリむラが振り䞊げた剣の刃に吞い蟌たれおいった。その軌道も、無理矢理捻じ曲げられたように芋えた。
「間違いない  」
 クアンタが嘆息した。

 〈門〉のフレヌムを枡っお光のピラミッドの䞀角に近づいお来たナリむラは、仮面の奥から空里たちを睥睚し、たるでこれから䞀芞を披露するかのように䞡手を広げ、ステラ゜ヌドをかざしお芋せた。
 空里はその口元にはっきりず埮笑みを芋た。
 次の瞬間、ナリむラは゜ヌドを振り䞊げるず、ピラミッドに向けお打ち䞋ろした。
「いかん」
 クアンタが叫び、ピラミッドを圢䜜る光線が波打った。
 空里たちを乗せたボヌトの残骞がぐらりず揺れた。ボヌトだけではない。あたりの空間党おが、地震のように揺れおいた。
「〈門〉が壊れる 重力バランスが倱われる」
 狌狜するクアンタずその堎にいた党員が、䜕かにしがみ぀いお身䜓を固定しようずした。
 空里は遥か県䞋から、䜕か叫び声のようなものを聞いた。
「䜕が起きおるの」
 ハル・レガが蚀った。
「たずいな  重力バランスが厩れお、䞋で浮遊しおいたものの萜䞋が始たったらしい」
「」
 空里は剣を構えお立぀ナリむラリむ・ラを恐怖の思いで芋た。圌女は、䞋で祭りを祝っおいる人々もろずも、空里たちを葬ろうずしおいるのだ。
 䜓勢を立お盎したネヌプずシェンガがナリむラに向けお射撃を続けたが、こずごずくステラ゜ヌドの刃によっお防がれおしたった。
 ナリむラはさらにピラミッドの光線に䞀撃を加え、぀いにそれを支えるフレヌムも厩壊を始めた。その䞊で䜜業をしおいた者たちも攟り出され、萜䞋しおいった。
 クアンタが震える声を出した。
「わしの助手が  」
 このたたでは、党員墜萜だ  
 空里が絶望しかけたその時、ハル・レガが叫んだ。
「ネヌプ ナリむラをあそこからどかす。アサトず皆を守っお船たで走れ」
 ハルは右手にはめおいた手袋を脱いだ。
 䞋から珟れたのは、石の手だった。青黒く光る鉱物で出来た手のひらをナリむラの方に向け、レガは目を぀ぶっお呟いた。
「開け  星癟合スタヌリリィの窓  」
 ナリむラの衚情が倉わった。䜕か目の芋えないものに抵抗するような身じろぎをしおいる。
 やがお、はっきりず䜕かの力がナリむラの身䜓をそこから匕き剥がすように動かし出した。
「重力颚か  」
 クアンタがレガの石の手を芋ながら蚀った。
「それ以倖の者ダダの力か  」
 ナリむラはゞリゞリずその堎を離れおゆく。だが、その匷い力はスタヌ・コルベットすら動かしおいた。
「船が」
 ティプトリヌが叫んだ。
 コルベットは今にもふわりず浮き䞊がりそうだ。誰も操瞊しなければ、ひっくり返りそうな様子だった。
「早く行け」
 ネヌプはハルの蚀う通り、空里の腕を぀かんで歪んだフレヌムに乗った。
「クアンタ卿 あなたも」
「やむを埗んな  」
 空里はハルの方を振り返った。
「レガさんは」
「行くんだアサト 私はこれ以䞊ここにはいられない 〈青砂〉ぞ行っお、必ず銀河皇垝になるんだ」
 その声に抌されお、䞀同はスタヌ・コルベットに向かっお走った。
 ナリむラは地面に突っ䌏しお、身䜓を固定するのに粟䞀杯のようだった。その隙に、ネヌプはがくがくず揺れるコルベットのランプり゚むに空里を乗せた。他の者もなんずか船内に転がり蟌む。
「緊急発進だ」
 ブリッゞに飛び蟌んだネヌプずシェンガが動力を起動する。
 空里は前方のドヌム窓に駆け寄り、倖を芋た。
 光のピラミッドは激しく揺らめいおいたが、ただその圢をずどめおいる。そこからぶら䞋がったボヌトの残骞䞊では、ハル・レガがただこちらに手を差し出しおいた。

 ず  その姿が出しぬけにすうっず消えた。

 萜ちたのではない。たるで幻のように本圓に姿を消したのだ。
 空里は目を疑ったが、それず同時にコルベットを揺らしおいた力が消え、船はリパルシング・゚ンゞンによる安定した浮䞊を開始した。
「発進」
 スラスタヌに火が入り、スタヌ・コルベットが庭園から飛び立぀刹那、空里は仁王立ちしお船を芋䞊げるナリむラリむ・ラの姿を芋た。

 スタヌ・コルベットは党速力で倧気圏を脱出し、惑星〈鏡倢《カガム》〉を離脱した。

   

「窓を開けたのですね ハル・レガ  」

 暗い郚屋の奥で、サヌレオが蚀った。
「すみたせん  他に手が無かったので」
 手袋に包たれた右手をさすりながら、か぀おの宇宙海賊は答えた。
「気を぀けおください。あなたはただここぞ来お日が浅い  力は十分泚意しながら䜿わねば、砎滅を招くこずになりたす」
「そうしたす」

 トワがホりティヌのカップをレガに差し出しお蚀った。
「でも、これであの嚘は銀河皇垝になれたすね」
「ただ、あの二人・・・・が出䌚ったのは想定倖でした  」
 サヌレオの声には、ただ憂いが含たれおいた。
「恐らく、そのために圌女は〈鏡倢カガム〉ぞ送られお来たのでしょう。それにしおも、早過ぎたす  」
「私はサヌレオ、あなたの意志だず思ったのですが」
 ハル・レガの蚀葉に、サヌレオは笑みを芋せた。
「私にそんな芋通しはありたせん。せいぜいお手䌝いがやっずですよ。ずにかく  」
 サヌレオの暪たわる゜ファが起き䞊がった。
 それは、゜ファのように芋えるだけで、実䜓は石の身䜓だった。頭はなく、倧きな手足を䌞ばしお立ち䞊がるず、倧人に倍する背䞈がある。ハル・レガの右手ず同じだが遥かに黒々ずした石の身䜓  少女の身䜓はそれに埋め蟌たれた圢で完党に䞀䜓化し、同じように動くのだった。

「ずにかく、星癟合スタヌリリィずの玄束は果たされなければなりたせん  」



぀づく

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