見出し画像

アジア薬草キャラバン【インド編】|薬の源流をたどる旅

旅するようにアジアを巡る、3日間の「アジア薬草キャラバン」。2日目は、広島県尾道市・向島にある「BHARAT(バーラット)」で開催しました。

BHARATは、鎌倉の老舗スパイス商「アナン株式会社」3代目のメタ・バラッツさんが2024年に始めたプロジェクトです。「女性やお母さんたちが働きやすい場所をつくりたい」という思いから生まれ、瀬戸内の暮らしとインドのスパイス文化が自然に交わる場所になっています。

ランチにはケララのミールスをいただきながら、薬草をめぐるアジアの旅をお話をしました。

薬草の起源を辿る旅路へ

私の旅の始まりは、「鑑真号」でした。大阪港から船で上海へ渡り、そこから陸路で東南アジアへ向かう。当時のバックパッカーには、一般的な旅のルートです。会場には鑑真号をご存じの方もおられ、思わず話が弾みました。

あれから二十年。アジアの薬づくりの源流を追いかけ、インドから中国、ヒマラヤ、東南アジアへと歩き続けるうちに、私は奈良へ漂着しました。

調べれば調べるほど、始まりは奈良にありました。

正倉院には大陸からもたらされた生薬が納められ、酒づくりも、お茶も、薬も、日本文化の源流を辿ると奈良という土地に行き当たります。

遣隋使や遣唐使が海を渡り、大陸の知識を日本へ持ち帰ったように、中国もまた西を目指しました。

「西遊記」のモデルとなった玄奘三蔵も、その一人。当時インドの「ナーランダ僧院」は、仏教だけでなく、語学、論理学、医学、薬草学まで学べる、総合大学のような場所でした。玄奘が持ち帰った書物には、お経だけでなく、体や植物の仕組み、薬草の使い方といった知恵もたくさん詰まっていました。余談ですが、孫悟空のモデルは、インドの神話に登場するハヌマーン(猿の神様)ではないかという説も。

中国医学、アーユルヴェーダ、ユナニー医学。

世界三大伝統医学と呼ばれる体系がありますが、それらは国家が編纂し、文字として残された医学です。一方で、山には山の、森には森の、文字にならなかった植物の知恵が無数に受け継がれてきました。

かつての道を海から遡り、陸路で中央アジアへと旅を進めると、本の知識では分からないことが見えてくるものがあります。宗教とともに植物が伝わり、交易とともに香辛料や生薬が行き交う。そうして、その土地の気候や植生、食文化に合わせて形を変えながら、料理や薬もまた旅してきました。そこには国境はなく、地続きだったのです。

カレーをつくるように、薬をつくる

私は以前、ケララ州の薬房に約1か月滞在し、薬草の選び方から薬酒づくりまで、毎日の仕事を見せてもらいました。

タイでは、薬づくりは石臼で薬草を叩いてペーストを作るのに対し、インドでは、大鍋に油を熱し、スパイスをテンパリングする香りから始まります。まるでカレーをつくるように、薬をつくる。

薬草の香りを油にうつす
大鍋でオイル作り

そんな話をしながら、発酵する薬酒アリシュタを仕込みました。『チャラカ・サンヒター』に記された養生酒。
産後や病後の回復を支えるために飲まれてきた、アジア各地の酒。
酒はもともとは身体を養う薬だった時代がありました。

薬を辿って旅すると、行き着く先にはいつも台所がありました。
その土地の気候があり、植生があり、食文化がある。
薬づくりは、その土地の暮らしそのものでした。

インドの発酵する薬酒

旅は台湾編へと続きます。

【福山|7月31日(金)】
タイ薬草紀行
会場:ラララの空(アトリエ)
ホスト:Tok Sen & Herb 木と手

【尾道・向島|8月1日(土)】
インド薬草紀行
会場:BHARAT(向島)

【北九州|8月2日(日)】
台湾薬草紀行
会場:大連友好記念館2階

いいなと思ったら応援しよう!

民族植物と食の実験室 | 里山文庫@奈良 よろしければサポートお願いします。いただいた費用は、出版準備費用として使わせていただきます。