森のセミナー 今年の筆柿は小粒でたくさん!
今年も、筆柿の収穫の日を迎えました。
参加したのは、幸田町民や町内企業で働く方のご家族など、26組106人。小さなお子さんから年配の方まで、たくさんの人が筆柿畑に集まりました。
この畑は、数年間、耕作が行われていなかった場所です。そこをお借りして、これまで皆さんと一緒に剪定や摘果などの手入れを続けてきました。その結果、弱っていた木々が少しずつ元気を取り戻し、今年もたくさんの実をつけてくれました。
ただ、今年の筆柿は少し事情が違います。夏の暑さに加えて雨が少なかったため、実は小ぶり。決して「最高のでき」とは言えません。それでも、実の数は昨年より多かったようです。
自然は、こちらの思いどおりにはなりません。手をかけたからといって、毎年同じような実りが返ってくるわけでもない。でも、何もしなければ、畑は少しずつ荒れ、木も弱っていく。
だからこそ、毎年畑に入り、木を見て、手を動かすことに意味があるのだと思います。これが、今回の収穫でしがきんが改めて感じたことでした。
当日は、成瀬敦幸田町長をはじめ、桐山区長、町議の皆さんも応援に来てくださいました。成瀬町長からは、桐山区の協力のもと、耕作放棄された筆柿畑を「こうた筆柿応援隊」として育ててきたこと、町内企業の皆さんがボランティアで運営に協力していること、そして多くの町民が参加していることへの感謝が語られました。
一方で、幸田町では果樹栽培が盛んであるものの、高齢化などによって筆柿の収穫量が減っているという現実もあります。町としても、特産品の振興やブランド化に力を入れていくとのことでした。

「特産品を守る」と聞くと、行政や農家の仕事のように感じるかもしれません。でも、この日の畑を見ていると、少し違って見えてきます。
町民が来る。企業で働く人やその家族が来る。子どもたちが柿を採る。毎年参加している人は慣れた手つきで黙々と収穫し、気がつけばカゴいっぱい。そこに行政や地域の人たちも加わる。


筆柿という一本の木を真ん中に置くと、普段は別々に暮らしている人たちが、自然につながっていくのです。
指導員の伊奈修さんからは、甘柿の見分け方や干し柿づくりのコツも教えていただきました。こうした知恵も、誰かが知っているだけでは残っていきません。畑で一緒に作業しながら、「こうするといいよ」と伝えることで、次の人へ渡っていきます。

これも里山の大切な役割なのかもしれません。
里山ウェルビーイングというと、少し難しい言葉に聞こえます。でも、しがきんが考える里山ウェルビーイングは、特別なことではありません。
外に出て、土や木に触れる。 誰かと一緒に体を動かす。
知らなかった人と話す。 地域に昔からあるものを知る。
そして、自分もその場所を支える一人になる。
そんな小さな体験の積み重ねが、「ここに関わっていてよかった」という感覚につながっていくのではないでしょうか。
耕作放棄地の問題も、高齢化の問題も、一度のイベントで解決するものではありません。それでも、一本の木に手をかけることはできる。一日だけ畑に出てみることもできる。子どもと一緒に収穫に参加することもできる。
自分にできる小さな関わりから始めればいい。
今年の筆柿は、小粒でたくさん。


自然の厳しさも感じた収穫でしたが、カゴいっぱいの柿と、畑に集まった106人の姿を見ながら、しがきんは思いました。
里山は、誰かが守ってくれる場所ではなく、みんなが少しずつ関わることで、次の世代へつながっていく場所なのだと。
さて、収穫した筆柿のお味はいかがだったでしょうか。
来年は、今年よりもう少し大きく、もっと美味しい実がなることを期待しながら、これからも畑の手入れは続きます。
