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身の程知らずな私の未来への次の一歩――伝統神楽の聖地で原木キノコを育てる

先日、私たちが活動する「木の子倶楽部」は、ひとつの小さな、しかし大きな意味を持つ実験を行った。自分たちの手で育ててきたブランド原木キノコ「神楽原木舞茸®」を、自然環境の中で発生させるための伏せ込み作業だ。

当日の伏せ込み作業の様子

選んだ場所は、広島県安芸高田市美土里町にある「神楽ドーム」の裏手、わずか2m²(1m×2m)の日陰の試験地である。ここは全国の高校生が技量を競い合う「神楽甲子園」が開かれる伝統神楽の聖地だ。

神楽ドーム

神話「天岩戸」の時代、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が舞ったことを起源とする神聖な神楽文化が、この地には今も息づいている。

なぜ、この聖地を実験の場に選んだのか?

それはSDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」を、本気で体現したかったからに他ならない。地域が誇る伝統文化「神楽」と、私たちが取り組む「里山保全」。この二つを掛け合わせることで、「伝統文化」と「里山環境づくり」が互いを支え合う新しい循環を生み出したかったのだ。約6年前にこの商標を取ったのも、未来のパートナーシップを見据えてのことだった。

正直に言えば、原木キノコ栽培は極めて非効率だ。効率と大量生産が最優先される現代社会において、決して選ばれる方法ではない。

しかし、「途絶えゆく里山を守り、再生させる」という視点に立ったとき、この仕組みは真価を発揮する。

里山の雑木林を計画的に伐採して、キノコ用榾木に活用し、数年後にはそれを再び豊かな森の土壌へと還元していく。
特に舞茸のような単木栽培は、椎茸などの長木栽培に比べて管理が容易であり、地域住民や福祉現場とも連携しやすいという利点がある。
自然の循環に人の手を取り戻し、地域社会と手を取り合って普及できる「持続可能なファーストチョイス」になるのだ。

「そんな非効率なやり方で里山が救えるのか」と笑われるかもしれない。

けれど、「効率ばかりを追い求めた結果として失われた自然や地域の繋がりを、泥臭い実践によってもう一度手繰り寄せたい」と思う仲間たちが少しずつ、集まって来ているのだ。

伝統の息づく聖地で静かに息吹く小さなキノコ群集地拠点づくり。その芽吹きは、持続可能な未来へ向けた、身の程知らずな私たちの小さくも、確かな「未来への次の一歩」である。

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