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予約不要・飲食自由の「寄席」に、今さらどっぷりハマった話。

最近、私の中でじわじわと、いや、かなり爆発的にブームが来ているものがあります。

それが「落語(寄席)」です。

「え、落語? なんか渋いね」「おじいちゃんたちが行くところでしょ?」なんて声が聞こえてきそうですが……ノン、ノン。大間違いです。

むしろ、タイパやコスパ、いろんなルールに追われる現代人にこそ全力でおすすめしたい「究極のエンタメ」だと思います。

今日は、その沼の深さを、私の「寄席愛」全開でお届けします。

魅力①:ルールは「ほぼ、ない」。驚きのフリースタイル

寄席の魅力は、なんといってもそのゆるさ。

  • 予約不要(フラッと行って入れる)

  • 飲食自由(お弁当もビールもOK!*鈴本演芸場のみ)

例えば、上野の「鈴本演芸場」なら入場料3,500円。
昼の部と夜の部は入れ替え制ですが、中でいつお弁当を広げようが、いつビールをプシュッと開けようが、あるいは「今日はこの演目まで!」と途中で退場しようが、すべて自由。
あっ!スマホの電源はオフにします💡

この「いつ行っても、いつ帰ってもいい」という究極の自由さこそ、現代の忙しい私たちに必要な「お休み処」だと思うんです。

仕事や日常の慌ただしさから離れ、しばし浮世の憂さを忘れて、ただ笑うためだけにそこにある空間。本当に贅沢です。

鈴本演芸場の内部 客席と舞台が近い

魅力②:扇子と手拭いだけで、幽霊まで連れてくる

落語って、究極のミニマリズムなんです。
舞台の上には、座布団が1枚。演者はたった1人。
持っているのは扇子と手拭いだけ。

なのに、ひとたび噺(はなし)が始まると、そこには江戸の長屋が広がり、お節介な八っつぁんが動き回り、可愛いワンコが吠え、挙句の果てには幽霊までが生き生きと(幽霊だけど)動き出します。

「想像の芸」とはよく言ったもので、演者の目線の配り方ひとつで、観客全員の頭の中に同じ景色がブワッと広がるんです。
自分の脳の想像力がフル稼働する感覚、めちゃくちゃ快感ですよ。

魅力③:実は戦国時代から!? 江戸時代から続く「庶民の娯楽」

落語の起源は、なんと戦国時代の武将の話し相手「御伽衆(おとぎしゅう)」にまで遡ります。

その後、江戸時代に安楽庵策伝さんがまとめた『醒睡笑(せいすいしょう)』が教本となり、大道芸から発展していきました。

これぞまさに、江戸時代から続く庶民の娯楽。

織田信長や豊臣秀吉の時代、震災や戦争、いろんな荒波を乗り越えながら、江戸の町人たちが笑っていたそのエッセンスが、今もこうして生きているなんて、ロマンを感じずにはいられません。

魅力④:誰も傷つけない、置いていかない「上品で粋な笑い」

最近のテレビのお笑いやSNSを見ていると、誰かをいじったり、ちょっと攻撃的なツッコミで笑いを取ったりするスタイルが多くて、見ていて少し疲れてしまうことはありませんか?

それに比べて、寄席の笑いはとっても「上品で、粋で、知的」

落語に出てくる登場人物って、マヌケだったり、お節介だったり、ちょっとずる賢かったりするけれど、根底には人間の不完全さをまるごと包み込むような「優しさ」や「愛嬌」があります。

誰も傷つけないし、誰も置いていかない。

言葉の選び方やちょっとした仕草、歴史的な背景などの「知的な仕掛け」が散りばめられていて、私たちの想像力と掛け合わさることで笑いが完成する。
この洗練された大人の遊び感覚こそが、落語の何よりの魅力なんです。

さらに何度も通っていると、「あ、このお話、前も聞いたな」という有名な古典落語に出会うチャンスも増えてきます。

同じ演目でも、噺家さんによってキャラクターの性格や話し方、シチュエーション設定がガラリと変わる。
「お、この人の解釈は新鮮だな!」なんて唸るのが楽しいですし、そこに現代の空気感を切り取った「創作落語」が混ざると、なんだか得した気分になれます。

魅力⑤:絶妙な黄金比!落語を輝かせる「色物」の凄さ

寄席に行くと、落語の合間に漫才、手品、曲芸などの「色物(いろもの)」と呼ばれる職人芸が登場します。 実はこれ、通常のプログラム(番組)では「落語7割:色物3割」(落語家さん3〜4人に1組の割合)という絶妙なバランスで構成されているんです。

ずっと喋りの芸(落語)ばかりが続くと、聴く側も耳や頭が疲れてしまいます。
そこで、色物さんたちがめちゃくちゃ重要な役割を果たしてくれるのです。

  • 極上の空気の入れ替え:

    1. 落語を3本ほど聴いて「ちょっと頭がフル回転してきたな……」という絶妙なタイミングで、漫才や曲芸、古式ゆかしいハンカチを使った手品など、「目で見て直感的に楽しめる芸」が挟まります。

    2. これで客席の雰囲気がガラリと変わり、脳が心地よくリフレッシュされるんです。

  • 「トリ」への最強のバトン繋ぎ:

    1. その日の主役である「トリ(最後に登場する落語家)」のすぐ前の出番は、専門用語で「膝替わり(ひざがわり)」と呼ばれ、原則として色物さんが務めます。

    2. 私が大好きな太神楽(傘の上で色んなものを回す曲芸)や、お題を即興で切る紙切り、そして林家ペーさんのような唯一無二の漫談(笑)などが、客席の温度をマックスまで温め、最高の状態でトリの落語家さんへバトンタッチします。

全体の流れを完璧にコントロールする色物さんたち……。
寄席って、本当に計算され尽くしたエンタメシステムなんですよね。

魅力⑥:最後の一音まで情緒たっぷりに

寄席の締めくくりも忘れられません。

はね太鼓を叩く前座さん

最後の演目が終わると、前座さんが太鼓を叩いてくれます。これは「はね太鼓(追い出し太鼓)」と呼ばれるもの。

「本日の興行はこれでおしまいですよ。どうぞお気をつけてお帰りください」という、観客への心温まる送り出しです。

この太鼓の音を聞きながら会場を出る時、不思議と心が洗われていて、明日からの日常へ戻る元気がチャージされている自分に気づくはずです。

最後に:あなたも「ちょっとそこまで」行ってみませんか?

映画に行くくらいの気軽さで、3,500円で半日ずーっと笑える贅沢。

「スマホの画面ばかり見て目が疲れたな」
「ちょっと最近、トゲトゲした情報に疲れちゃったな」
という方、ぜひ一度、寄席の看板をくぐってみてください。

そこには、数百年前から変わらない、でもいつだって新しい「優しくて粋なお笑い」が待っています。


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