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一歩踏み込んだから、見えたこと


息子が小学4年生になった年、
ぼくは小学校の学年保護者会長を引き受けました。

理由は、それまで助けてもらった人たちに、
少しでも恩返しがしたかったから。

小学校に入学してからの3年間、
父子家庭だったこともあり、
たくさんの保護者の方に助けてもらいました。

息子の友達のお母さんたちは、
「作りすぎたき、食べや」
と、おかずを持ってきてくれました。

鮮魚店で働いているお母さんからは、
何度もお刺身を分けてもらいました。

休日にぼくが仕事のときは、息子を預かって、
県外に遊びに連れて行ってくれたこともありました。

さらに、
「お父さんも一人の時間が欲しいろう」と言ってくれて、
息子を泊まらせてくれたこともありました。

ここまで子育てを続けてこられたのも、
ぼくひとりの力ではありませんでした。

何かお返しがしたいなあ。

そう考えたときに思いついたのが、

「みんながやりたがらないことを、自分がやろう」

ということでした。


真っ先に思いついたのが、
学年保護者会長です。

毎年、なかなか決まりません。
誰もやりたがらない。

ここで自分がやれば、
誰かが楽になるかもしれない。

そう思って、
学年保護者会長を引き受けました。





無事に決まり、ほっとしていたら、
進行役の方から聞かれました。

「毎年、学年保護者会長さんにはPTA副会長も兼任でお願いしているんですが、今年もお願いしてもいいですかね?」

その瞬間、心の中で思いました。

(うわ、そんな話、すっかり忘れちょった……。)

教室を見渡すと、
お母さんが9で、
お父さんが1という割合です。

この空気で断れるほど、
ぼくは大物ではありません。笑

ぼくは、ビクビクしながら、

「できます」

と答えました。


進行役の方が続けて話をします。


「PTA副会長は、どこかの部の副部長も兼任するきよろしくねー」

そして、交通安全部副部長にもなりました。

気づけば、役職は3つ。

これは、思ってたのとはなんか違うぞ。笑)



その後すぐに、

PTA会長、
PTA副会長、
校長先生で話をする機会がありました。

場所は校長室。

人生で初めて校長室に入った気がする。

そこで、校長先生から
学校の日程について相談がありました。

「今年は月曜日を、6時間授業から5時間授業にしたいと思っています。構いませんか?」

その言葉に驚きました。

(え?こっちの許可がいるってこと?)

そう思いました。

時間割の変更は、先生たちだけで
決めるものだと思っていました。

PTAって、思っていた以上に
学校づくりに関われるんだ。

そのとき、初めて知りました。




月曜日を5時間授業にする理由は、
学校に来にくい子どもたちのためでした。

学校に来にくさを感じている子にとって、
休み明けの月曜日は特に負担が大きい。

だから少しでも登校しやすいように、
下校時間を早めたい。

そんな話でした。


学校に来にくい子がいることは知っていました。

でも、「月曜日が特につらい」とは考えたことがなかった。

よく考えたら、わかりそうなことやのに。

息子も、月曜日にしんどいって言います。

それでも学校には通えているので、
ぼくは、月曜日の負担を、
深く考えたことがありませんでした。

PTA役員になったからこそ、
学校に来にくい子どものことを考える機会をもらいました。

保護者にも、学校づくりに関われる場面がある。

そのことを初めて知りました。




学年保護者会長を引き受けていなければ、
ぼくはこの世界を知ることはありませんでした。

恩返しのつもりで始めたのに、
気づけばぼくのほうが、
多くのことを教えてもらっていました。


普段は苦手で避けている場所でも、
一歩足を踏み入れてみると、
思ってもいなかった景色が見えることがあります。


ぼくにとって、PTA活動は、まさにそんな場所でした。

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