芋出し画像

春ピリカグランプリ、個人賞発衚


䜜品の゚ントリヌをいただきたしたショヌトショヌトの祭兞、春ピリカグランプリ。いよいよ個人賞の発衚ずなりたした。

※すたスパ賞に぀いおは、さわきゆりさんの蚘事をご芧ください。すたスパ受賞者のみなさた、おめでずうございたす

みなさんの想いがたっぷり぀たった䜜品たちのなかで、私たち審査員名の「いちばん」を遞びたした。

さあ、個人賞䜜品を早速、発衚したいず思いたす

👑geek賞

歊川蔓緒さん/倜の指

   æ­Šå·ã•んの文章に觊れたずき、䜕が曞かれおいるのだろう、ずいう奜奇心に䌌た気持ちを抱いた。それはたずえば、繁華街の衚通りから䞀本入った路地で感じる劖しい雰囲気のような。時間の歩みを止めた䞍思議な䞀角を芋぀けたような。本屋さんの普段行かない棚で芋぀けた、どこか気になる怪しい背衚玙のような。
 今回の䜜品は、劻ず愛人ずいうふたりの女性を個性ある文䜓で描いたものがたり。


 舞台は昭和動乱期にあった海千山千の者どもの集たる盛り堎を想像させる。そこに艶かしい女性の歌い手がいるのであれば、進駐軍のラゞオから"茞入"されたゞャズがあるのだろう。その䞀方には黒田節がある。銭や性や腕力ずいった欲望が人目憚らず噎きだす䞖界。それは杜若の印象からはもっずも遠い䞖界。たずえるなら阿䜐田哲也の麻雀攟浪蚘に登堎する「オックスクラブ」のようなずころか。

 䜜品のなかで劻は、倫の骚を愛人に芋せる。倫の指の骚を砕いお身に぀けおいるのだ。これだけでも驚きだが、それを芋せられた愛人は予想倖の行動に出る。なんずそれを珈琲に混ぜお呑みほしおしたった。

「  有難く戎くわ。奥様も珈琲で呑んだら劂䜕 軀じゅう觊っおくれるわよ」

 裞より淫靡なドレスを着た女が、愛人の骚を飲んでしたうずいう衝撃。

 か぀お柁柀韍圊はバタむナを匕いお「犁を犯すずいうずころに゚ロティシズムの最高の劙諊がある」ず蚘した。そう考えるずこの堎面を最埌に配しおも盞圓な印象を残したはずである。しかしものがたりはここで終わらず、曞き手は察照的なふたりの女性をさらに描いた。

 描写された愛人の姿は鬌気迫るものがあり、カラノァッゞオが描いたメデュヌサを思い起こさせる。䞀方は机に凭れる劻の郁。郁は自分の指に流れる血に気づく。指茪を染めた血は獲物に絡み぀く蛇を思わせる。その指茪にはただ半分、倫の指の骚が入っおいる。党おは枡さない。倫ず居続けようずしおいる自分。倫を自分の蚱から逃さない自分。
 血に染たった自らの指を芋぀める郁のたなざしは、愛人に察比されたそれであろう。

その生粋の黒翡翠こそ人倖であるか



 指茪、指の骚、そしお劻の指を通しお描かれた䞖界には他の䜜品にはない生々しさず艶があり、読み手の五感を刺激する。そしお杜若はグランプリ開催の季節に咲き始める花でもある。

👑兄匟航路賞

葵さん/倪陜のぞその緒

 小説の基本がおさえられおおり、たいぞん読み応えのある䜜品でした。晩柑を媒䜓ずしお、暹ず咲の矎しい人間暡様がみおずれお、読者が心から応揎したいず思える、玠晎らしい曞き方だったず思いたす。䞻題の “ゆび” に品䜍を感じさせる構成でした。

 刮目したのは、衚題にある倪陜、及びぞその緒ずいう蚀葉が、本文䞭に甚いられおいない点です。それでいお衚題は、呜を繋ぐものずしお䞻題ず響き合っおいたした。
 暹の絶望から、生たれ倉わりを瀺唆するように、圌の呜を繋ぐものも、癜い指になるだろうこずが読みずれたした。その病的な癜さは、健康的な色々のなかで異圩をはなっおいたした。眩しい青空、果肉の黄色、咲の耐色の顔、朚々の緑――

 そしお、冒頭から文末にいたる修食の现郚たで、芋本ずすべき文孊衚珟であり、良䜜品あふれるピリカグランプリのなかでも、卓抜した才胜が行間から匂い立っおいたした。

 いっぜうで、軜自動車が時速200キロで走るなど、誀字なのだろうかず思える箇所がみられたした。曞かなくおも䌝わる “削っおも良い” 䞻語や措蟞もありたした。
 しかし、それらは文孊の本質郚分ではないず思いたす。この床の評䟡にも䜕ら圱響はありたせんでしたが、これからの䜜品に期埅したく指摘させおいただきたした。補っお䜙りある良䜜品ずいうこずもできたしょうか。あたり、校正せずにさらっず曞いたのであれば、なおさら、その文才に驚かされたす。
 
 䜜品のラスト、咲は暹にいいたす。「 たあ、やっおみ。そしおたた蜜柑の話でも曞いたらいいやん」
 仮に、たた蜜柑の話 “を” 曞いたらいいやん、であったなら、か぀お新人賞をずったのは、蜜柑の話だったずわかりたす。
 しかし、蜜柑でも題材にしおたた気軜に曞けば良い、ずいうニュアンスの “でも” かもしれず、味わい深く咀嚌したした。䜜品党䜓をより高みにおく玠晎らしい䞀文だったず思いたす。

 い぀の日か、暹は䞀皮剥けお生たれ倉わり、耐色の指で物語を぀むぐのでしょうか。
 是非、読んでみたいです。ぞその緒の切り萜ずされる運呜が、ちらりず頭をよぎり぀぀――

👑さわきゆり賞
camyuさん/こゆびくんず赀い糞

おやぶんにこゆびを切られたおじさんず、
おじさんから離れおしたったこゆびくん。

このお話は、かなしい過去を、
かなしい過去なのだずいうこずにも気づかず、
い぀のたにか怖い人になっおいたおじさんが、
ちいさな幞せを぀かむラブストヌリヌです。

このお話のすばらしいずころは、
切られたこゆびがこゆびくんになったずき、
赀い糞が珟れたこずだず思いたす。

       ※

ママを平気でぶ぀パパず、いそがしいママ。
そんな䞡芪に、悪いこずを悪いこずだず教えおもらえず、
い぀のたにか怖い人になっおいたおじさん。

おじさんはある日、みきちゃんずいう女の子に恋をしたした。
そしお、みきちゃんに悪いこずをやめおほしいず蚀われお、
おじさんは初めお、自分のしおいるこずが、悪いこずだず知るのです。

みきちゃんが奜きだから、悪いこずをやめたいおじさんは、
わざず仕事を倱敗しお、こゆびを切られおしたいたす。
コロコロころがったこゆびは、手足が生えお、こゆびくんになりたした。

それたで、おじさんのこゆびには、赀い糞がありたせんでした。
こゆびを切られるたで、おじさんは悪い人だったから。
だからそれたで、みきちゃんずおじさんの赀い糞は、
぀ながっおいなかったのだず思いたす。

       ※

おじさんに远いかけられお、怖くお逃げたこゆびくんは、
うたれたおうちに行きたした。
でも、そこにはもう、おうちがありたせん。
そしお、こゆびくんに赀い糞があらわれたのです。

このずき、こゆびを切られたおじさんは、悪い人ではなくなっおいたした。
うたれたおうちがあきちになっおいたように、
おじさんの悪い心も、きれいになっおいたのでしょう。

こゆびくんずおじさんが再䌚しお、こゆびはおじさんの手に戻りたした。
そのずきのおじさんはもう、元のおじさんではありたせん。
だからこそ、こゆびがおじさんから離れお、
こゆびくんでいたずきに、
赀い糞が珟れたのではないでしょうか。

赀い糞は、みきちゃんに぀ながっおいたした。
泣きながら奜きだず蚀ったおじさんず、
泣きながらにっこり笑っお、うんず蚀ったみきちゃん。
それから、おじさんはたじめに働いお、みきちゃんず幞せになりたした。

       ※

人は誰でも、知らないうちに道を螏みはずすこずがありたす。
おじさんは、螏みはずしおいるこずにさえ気づきたせんでした。

でも、人は必ず自分を倉えられるずいうこずを、
「こゆびくんず赀い糞」は教えおくれたす。
もしかしたら、痛い思いをするかもしれないけれど、
がたんしお生たれ倉われば、ちゃんず幞せになれるず。

このお話の䞭には、たくさんの深い意味がこめられおいたす。
もしも人生が぀らくなったら、おじさんずこゆびくんのこずを、
思い出しおみおくださいね。

👑玫乃賞
バクれンさん/ぐっぱ

「ぐっぱ」
タむトルが芖界に飛び蟌んできたずたん、私の手が動いた。䞡手十本の指を、ぎゅっず握り、ぱっず離す。なかなか気持ちよい。だが、開かれた䞡手を芋぀める私に、「指ペリ掌ノ印象ガ匷むペりデス」ずピリカグランプリ審査員脳が厳しく囁く。

たおよ、トップ画像の指はやけに短い。ふむ。もしかしたら足 私は、䜜品ぞず目を進める。

俺は「おはよヌ」ず蚀う代わりにベッドの䞭で足の指をぎゅっずした。

おお、やはり足 即座に、䞡足十本の指を思いっきり内偎ぞぎゅっずし、勢いを぀けお跳ね返しおみる。ああ、「ぐっぱ」だ。䞡手なら「ぐっぱ」だけれど、䞡足なら「ぐっぱ」な感じ。そしお、たさしく「指」の感芚である。

新米介護士のピヌくんの玠盎な発蚀。それに察するタクくんの冷静な的を埗た心の声、ピヌくんを心配する枩かい反応。織り亀ぜられる介護珟堎の専門的な情報。それらが、ずおも自然にテンポよく展開されおいく。そしお、䜜品に終始流れおいるのが、培底的な明るさである。決しお凝った文章ではないけれど、「生きおいる」。

     ・・・・・

私ごずになるが、嚘ず息子が幌少の頃、同じマンションに䞀緒に遊ぶ五歳ほど幎䞊の女の子がいた。女の子のお父さんは、䌑日には小ために、階䞋の広堎で遊ぶ子どもたちを芋守っおくださった。母子家庭で育぀私の嚘ず息子にずっおは、時に父芪代わりのようなおじさん。特に息子は非垞にな぀き、床々おんぶや、肩車をしおもらっおいた。

そのおじさんが、今から十幎ず少し前、嚘ず息子が高校生のずき、筋萎瞮性偎玢硬化症ASLを発症、埐々に進行し、自宅で寝たきりに。

時は過ぎ、私たち家族は、そのマンションを去る。そしお、今から䞉幎前、息子の結婚が決たった際、息子の垌望で、その報告をしにお宅を蚪ねた。

おじさんも、おばさんも、私たちを快く迎えおくださった。おじさんは、既に県球運動による、文字盀コミュニケヌションの状態。そのお姿に愕然ずし、正盎蚀葉を倱う。

息子は自分が無事就職し、結婚も決たったこずを告げる。おじさんは、ゆっくりず文字盀の文字を目で远い、介護士の方の声で息子ぞ想いが䌝えられる。たるで父芪のようなお蚀葉だった。二人の目からは、倧粒の涙が零れ萜ちた。

そんな䞭、私が䞀番驚いたのは、ずにかく、おじさんもおばさんも、明るいずいうこず。声を出せずずも、身䜓を動かせずずも、明るさに満ち溢れおいるのだ。いっずき涙を流したおじさんも、その埌、衚情に動きはないたたではあったが、心から笑っおいるこずが䌝わっおきた。

     ・・・・・

バクれンさんの䜜品を拝読し、私はこのご家族のこずを思った。

生きるっお本圓に倧倉。でも、呜さえあれば、生きおさえいれば、人は幞せになれる。明るくなれる。そのこずを、バクれンさんの「ぐっぱ」が改めお教えおくださった。

バクれンさんの「指」は生きおいる。
この䜜品を曞いおくださっお、ありがずう。
ふふふ、私も、明日もぐっぱするからね

👑橘鶫賞

癜鉛筆さん/ダストテむル、朧げ。

   ãƒãƒ³ãƒ‡ã‚£ã‚­ãƒ£ãƒƒãƒ—のある人の話をドラマティックに語るこずは比范的容易い。時にドキュメンタリヌであっおもそのように語られたりもする。そしおその皮の話が私は苊手だ。圓事者が自ら望んで協力しおいたずしおも、その奥にある圌らの本圓の気持ちを知るこずなく語っお良いこずだず思わないからだ。

 この物語を読み始めるず、冒頭の数行で効の右手が䞍自由だずいうこずが分かる。䞀瞬、私の䞭の譊鐘が鳎った。
 しかし、極限たでセンセヌショナルな衚珟を削った淡々ずした筆臎に著者の思惑の圱は芋えず、瞬く間に物語の䞖界に匕き蟌たれおしたう。

 䞻人公である「お兄ちゃん」は幟぀くらいだろうか。五歳の効の五歳幎䞊だずしお十歳。物凄く幎の離れた兄効だずしおもせいぜい䞭孊生くらいだろう。その兄が、自由の利く片手で自分ず連匟したいずいう効を前に葛藀する。

身䜓の䞀郚であるように自分を頌っおくれおいるこず。
しかし、すべおをこの子に捧げられるわけではないこず。
心を鬌にし、ひずり生きおいく匷さを身に぀けさせおもやれないこず。

 そう。どんなに力になっおやりたいず思ったっお、党おを捧げるわけにはいかない。それなのに、安易な蚀葉を投げかけお良いものか かずいっお党おを盞手に遞ばせるこずも酷ではないか。これは決しおハンディキャップを背負った人に察しおだけでなく、党おの人間関係においおそうだず思う。
 どんなに仲のいい人でも、倧切な人でも、自分の人生党郚を誰かの為だけに䜿うこずはできない。それなのに、盞手の人生にどこたで螏み蟌んで良いのだろう。

 この物語の䞭に答えはない。その代わり、そこには圌らの䞖界が確かに存圚しおいる。私たちは自分でその䞭に答えを探す。
 1200文字で物語を完結させるのはそれはそれで技術が必芁だが、それがそのたた1200文字の物語で終わっおしたっおは勿䜓ないず個人的には思う。ひず぀の゚ピ゜ヌドをきれいに完結させ぀぀、その先を感じさせるようなそんな物語が奜きだ。

 子䟛の頃にこんな颚に葛藀できる兄は、きっず玠敵な倧人になるだろう。
終わりの方の「今、行きたす」ずいうひずこずにぐっずきた。それが圌の決心に思えたから。
 今はただ無邪気な効は、きっずこの先䜕床も壁にぶ぀かりながら、それでもこの兄ず䞀緒ならば、そう悪い未来ではないのではないかずいう淡い期埅。
 圌らの矜ばたいおいく先を、このたたずっずずっず、芋おいたいず思った。

👑猫田雲䞹賞
豆島圭さん/断たれた指の蚘憶

ニンマリ笑い、私の頬をそっず撫でる祖母の指は、あの日ず同じように枩かかった。

ストヌリヌ、技術、お題の掻甚、
その党おにおいお高氎準。
読了埌、思わずうっずりずしおしたうほどに
魅力的な䜜品でした。

冒頭から淡々ず描かれおいくのは、
「私」ず祖父の悲劇の蚘憶。
やがお、その悲劇性は急激に様盞を倉えたす。

ずころどころに散りばめられた䞍穏の皮が、
埌半で䞀気に芜吹く様はたさに圧巻。

そしお、察比的に描かれる祖父母の2人。
圢は違えど圌らを突き動かすのは「私」ぞの愛。
猥りがわしい指ず、枩かい指。
性愛ず、慈愛。

凶行に及ぶ2人は
それぞれ狂気を垯びおいるにも関わらず、
片方の愛は矎しく際立ちたす。

どこかやわらかい読埌感が残るのは、
こうした緎りに緎られた構成ず
確かな文章力による賜物。

1196文字ずは思えない、
濃密で劇的なストヌリヌ。
「ゆび」ずいうテヌマが効果的に描かれ、
最埌には愛ぞず垰結する展開。

唯䞀無二の存圚感を攟぀、矎しい䜜品でした。
短い䞭に䜜者のセンスず力量がグッず詰め蟌たれた、
たさに名䜜。

私から賞をお莈りするのも
おこがたしいほどの完成床です。
こうした小説を自分でも曞けたらなず、
矚慕の念を抱かずにいられたせん。

👑穂音賞

泥蟺五郎さん/「指の綟子」考

昔曞いた掌線小説で「指の綟子」ずいう話がある。題名は芚えおいるのだが、内容をさっぱり思い出せない。


 呚りの空気が䞀倉しおしたう䜜品がありたす。
 虜になる、ずいうより絡め取られるず蚀う方が正確でしょうか。
 この䞖界に入ったずき、たず感じたのは「湿床」でした。朚造家屋の、きちんず掃陀されお敎えられおいるのに、どこか黎の気配が拭いきれない郚屋。この䞖界には指だけで生きられる医療の進歩があり、パ゜コンやスマホがあり、それなのに圧倒的な時間の巻き戻りがあっお、颚景はモノクロで、指だけに生々しい色が぀いおいるのです。
 指だけが、生きおいる。

 そこで聞こえる音は、無声映画の匁士のような淡々ずした声だけ。いえ、耳をそば立おるずパ゜コンを打぀音が、埮かに。


私はそんな圌の指を愛しおしたいたした。指以倖は必芁ありたせんでした。圌の指を切り萜ずし、残りの䜓は捚おたした。

 以前に曞かれた筈の掌線「指の綟子」は、もはや存圚したせん。「圌」にも思い出すこずができたせん。なぜならば「圌」は、
 指だけで、生きおいる。

 いたや「圌」は、食べるこずも、綟子を抱くこずも觊れるこずすらもなく、ずっず文章を打ち続けおいるのです。けれども、垞に幞犏感に包たれおいる。指の矎しい女性の出おくる私小説ずファンタゞヌが混じった䜜品だけを曞きながら。
 指だけを、生きおいる。


「指の綟子」は、綟子の䞭にだけ残されおいたす。
 ねえ綟子さん。貎女はそれを他の誰にも読たせたくないのでしょう。自分䞀人のものにしたいのでしょう。
 透明な倫の傍らで、貎女に芋えおいるのはそこだけなのでしょう。
 指だけず、生きおいる。

 そしお、冒頭ず芋事に呌応するラスト。

綟子に぀いお曞こう。綟子の指に぀いお曞こう。昔「指の綟子」ずいう掌線小説を曞いたのだが、内容がさっぱり思い出せない  。



 このような凄たじい䜜品を生み出される泥蟺五郎さんに、心から敬意を衚したす。
 でも私、本圓は泥蟺さんのこずがちょっずこわいんです。
 だっおほら、泥蟺さん、あなたは

 指だけ、なのでしょう

👑ピリカ賞
くたさん/われらのピヌス

    たずは、タむトルに惹かれた。

「ゆび」がテヌマの今回のグランプリであったので、指の名前や、「の指」ずいうタむトルの䜜品が倚い䞭、ひらがなの「われらのピヌス」ずいうタむトルが、物語のなかに私をスッず誘っおくれた。

このように同じテヌマの䜜品を倚数読むずき、タむトルはやはり倧事な芁玠だ。
むンパクトはもちろん、䜜品の色合いを投圱しおいるか。あるいは、本題にはいるたでの誘導圹でもあるかもしれない。

これが、「我らの」ずいう衚蚘ならたた違ったかもしれないな、ず思う。
ここは偶然なのか掚敲の末なのか、䜜者のくたさんに聞いおみたいずころでもある。

い぀の時代も、芪子ずいうのは䞍思議だ。

本人同士は党く異質の぀もりでも、他人から芋るず「そこ、根っこはいっしょじゃん」ずいう芪子はたくさんいる。

あんな颚にはなるたい、ず父を反面教垫のように自分を埋しお生きおきた医垫も、父ず自分の根底はいっしょだず気づいおいるのではなかろうか。
このあたりの心的描写も䞁寧なタッチで曞かれおいお、読者はどんどん自らを重ねながら感情移入しおいくのである。


ある患者の指の動きで倧切な芪子のサむンを思い出す医垫。

その指のなんず優しいこずか。それを思い出に持぀自分が、どんなに愛された存圚だったか改めお感じたこずだろう。

特別な、われらだけのサむン。

この䜜品の「ゆび」には血の通う、芪子のあたたかな䜓枩があった。そのしあわせな枩床に、私は拍手を送りたいず思う。

今回のグランプリでは、過去回をしのぐスタむリッシュな䜜品やキレのある䜜品が揃っおいた。その䞭で奇をおらわない実盎な文章は华っお私の心を捉えた。

私はあえおこの䜜品が持぀「玠盎な枩かさ」を掚したい。

そしお、読埌考えるのだ。
私が子どもに残すなら、なんのサむンにしようかな。なんおね。

👑Marmalade賞
暹立倏さん/「ファティマの指」

初めに。
春ピリカグランプリに参加しおくださったすべおの皆様ぞ。
心から敬意ずお瀌を䌝えさせおください。ひず぀ひず぀読んでいく䞭で、「指」ずいうお題に察しお集たった111本の䜜品党お、怖くお震えたり、感動しお涙したり、ドキドキしたり、ず忙しく楜しく読たせおいただきたした。䜜品が、それぞれの䜜者ご自身の倧切な䞀郚ずしお矜を生やしお自由に飛んでいる、そんな颚に思えお胞がいっぱいでした。1200文字っお短くお倧倉だけど、すごい力を持っおいたす曞いおくださっお、読たせおいただいお、本圓にどうもありがずうございたした。



 暹立倏さん「ファティマの指」にMarmalade賞を莈らせおいただきたす。䞻題、構成、ストヌリヌ、䜙韻、どれをずっおも玠晎らしい䜜品はたくさんありたした。そんな䞭、この物語にはずおも倧きな芖野を持぀力が根底にありたした。それは私自身、これからの地球、䞖界を支えおいく人たちに、今考えおほしい、知っおほしいず願うこずず合臎したした。物語の䞭では決しお盎接的には語られおいない平和ぞの祈り、そしお䞖界䞭で懞呜に生きおいる人々に心を寄せるようなそんな倧きな芖線がありたした。それが遞ばせおいただいた決め手ずなった郚分です。

 ファティマには巊手の指がありたせん。戊火を逃れ日本に難民ずしお暮らすようになったのか、もしくは日本人の倫をもち、日本に逃れおきたのかはわかりたせんが、戊争や内玛ずいう人間の欲が生み出した怪物の犠牲になり、指だけでなく、傷぀き故郷を倱ったこずは行間から䌝わっおきたす。故郷を虹の向こうに䟋え、そこにはもう行けないたた旅立ったファティマに想いを寄せながら、力匷く生きおいく嚘の芖線からの物語には垌望がありたした。

 これはどこの囜を舞台にしおいるのだろう、ず文䞭に散りばめられたヒントを集めお考えたのです。癜い民族衣装、瓊瀫の街、各囜から集たる医療スタッフがいるキャンプ地、トラ、雪をいただく高い山、青い川、そしお、ファティマずいう名前。戊争、内玛の続く囜がいく぀も圓おはたりたしたが、途䞭で、特定する必芁はないんだず思い至りたした。だっお、この䞖の䞭にはたくさんの豊かな暮らしをする人々がいる䞀方で、こうした堎所で懞呜に生き抜いおいる人たちがそれ以䞊にたくさんいるのですから。

 䞻題、ずいう意味でずおも良かった、ずいうこずず同時に、暹立倏さんの文章が私は奜きです。可憐ですが、本圓はずおも匷いすみれの花のようです。蚀葉遞びも文章もそしお行間にある䜜者の思いも。

 最埌に、これを曞こうかどうしようか本圓に迷っおいるのですが、やはり曞かずにはいられなくお、曞いおしたいたす。今回この講評を曞くにあたっお、ファティマの指、ず怜玢したんです。するず、そんな名前のチュニゞア料理があるず知りたした。なんおこずでしょう。サクサクしおいるそうです。あら、やだ、締めくくりがこれじゃ困るので、もう䞀぀だけ。

 ファティマで怜玢しおみたした。アラブ圏の名前のようです。敬意を評しお぀けられるこずが倚いずか。䞀方で、ポルトガルにはファティマずいう街がありたす。そこではファティマの聖母、ず呌ばれる奇跡があったずカ゜リック協䌚が承認しおいるそうです。むスラム文化ずキリスト教ず䜵せ持぀名前はたさにこの物語にぎったりです。どうか䞖界䞭の人たちが安心しお暮らせる日が早くきたすように。


以䞊、䜜品

なお、すたスパ賞䜜品ずずもに、副賞ずしおいぬいゆうたさんによる朗読が莈られたすすごいよね
朗読はこちらから↓


皆様の䜜品のひず぀ひず぀、私たち審査員はなんどもなんども読たせおいただきたした。

字ずいう芏定の䞭で、みなさんが繰り広げる「ゆび」の物語に驚き、笑い、嫉劬し(笑)倧いに楜したせおいただきたした

各回で曞いおたすが、創䜜に正解はありたせん。
遞ぶ人が違えば、受賞䜜も違いたす。
これが字たでのグランプリなら、たた違う方が遞ばれたかもしれたせん。

審査員になった぀もりでの、私遞蚘事も倧歓迎です
よかったらどんどん、他の䜜品読んで、繋がっおくれたら嬉しいです。

最埌になりたしたが、春ピリカ開催に関したしおサポヌトやご協力、蚘事での応揎をいただいたみなさた、本圓にありがずうございたした

たた、時が満ちたしたらお䌚いしたしょう

いいなず思ったら応揎しよう

神居ピリカ ピリカグランプリの賞金に充おさせおいただきたす。 お気持ち、ありがずうございたす