総選挙の争点その(105)「“政府は市場に任せるべき”は本当に正しいのか?」
経済の議論で、必ず出てくる決まり文句がある。
「政府は余計なことをせず、市場に任せるべきだ」
一見、自由で合理的に聞こえる。
だが、この言葉は 前提条件を無視したまま使われすぎている。
結論から言う。
市場に任せていい場面と、任せてはいけない場面は、はっきり分かれている。
■ 市場が得意なこと
まず、市場の長所を正しく認めよう。
市場は、次の分野では非常に強い。
需要がある分野への迅速な資源配分
競争による効率化
技術革新や価格調整
消費者ニーズへの適応
需要が存在し、利益が見込める世界では、
市場は政府よりも優秀だ。
■ 市場が致命的に苦手なこと
一方で、市場が本質的にできないことがある。
それは、
需要そのものを生み出すこと
市場は「ある需要」を奪い合う仕組みであって、
「最初の需要」を作る装置ではない。
■ 需要がないと、市場は完全停止する
需要不足の状況では、こうなる。
消費が弱い
投資が回収できない
企業は様子見
雇用を増やせない
この状態で、
「市場に任せろ」
と言うのは、
“何も起きないこと”を選択している
のと同じだ。
■ 不況時の「市場任せ」は放置と同義
不況とは、
お金・人・能力が余っているのに、使われていない状態
このとき市場に任せると、
誰も最初に動かない
失敗リスクを恐れる
全員が守りに入る
結果、
経済はさらに縮む
これは市場の欠陥ではない。
市場の仕様だ。
■ 政府の役割は「市場の代替」ではない
重要なのはここだ。
政府は、市場の代わりをする存在ではない。
政府の役割は、
市場が動ける環境を先に作ること
具体的には、
需要の下支え
雇用の維持
インフラ・教育・医療への投資
不安の除去
これがあるから、民間は安心して動ける。
■ 「政府 vs 市場」という対立構図が間違い
よくある誤解がこれだ。
政府が動く=市場が弱る
市場に任せる=自由
実際はこうだ。
政府が土台を作り、市場が走る
これは対立ではなく、分業だ。
■ 市場万能論が生んだ日本の失敗
日本は長年、
不況でも市場任せ
需要不足でも自己責任
政府は様子見
を続けてきた。
結果、
投資が止まり
賃金が上がらず
内需が弱り
成長できない
これは市場の失敗ではない。
「市場に任せる場面」を取り違えた失敗だ。
■ 正しい問いはこれ
「政府か市場か?」ではない。
正しい問いは、
今は、どちらが先に動くべき局面か?
好況期 → 市場主導
不況期 → 政府主導
これだけの話だ。
■ 結論
“政府は市場に任せるべき”は、半分だけ正しい。
不況期にまでそれを言うと、経済は止まる。
政府が最初に道を作り、
市場がその上を全力で走る。
それが、機能する経済の姿だ。
次章は、さらに核心へ。
(106)「“市場の失敗”はなぜ繰り返されるのか」
ここから、
「放置がなぜ高コストになるのか」を解き明かす。
【MMT(現代貨幣理論)シリーズ】
「国の借金は危険」「財源がない」
その“常識”、家計の感覚を国に当てはめた誤解かもしれない。
なぜ消費税が日本を30年止めたのか、構造から解説する。
・MMT(現代貨幣理論)その①なぜ「消費税」が日本を30年止めたのか
家計と国家を同一視した瞬間、日本経済は詰む
【MMT(現代貨幣理論)塩入議員の国会質疑シリーズ】
このシリーズは、日本の税制・財政が
検証されない前提仮説のまま30年間運営されてきた構造を整理する。
・消費税や財政破綻論を、賛否や思想ではなく
前提と設計の問題として捉え直す視点を示す。
・塩入議員の国会質疑①日本の税制は「検証されない前提」で
設計されてきたのか?露わになった30年のブラックボックス
