総選挙の争点その(101)政府にしかできないこと
ここまで読み進めてきた人なら、もう気づいているはずだ。
政府に「できること」は多い。
だが 政府にしかできないこと は、実はそんなに多くない。
そして、日本が30年つまずいた最大の理由は、
「政府にしかできない役割」を、政府自身が放棄してきたことにある。
■ 政府にしかできないこと①
「最初に赤字を引き受けること」
不況の正体はシンプルだ。
みんなが不安
みんなが使わない
みんなが動かない
この状態では、民間はどうやっても動けない。
ここで必要なのは、
最初に“赤字になる覚悟”を引き受ける存在
それができるのは、通貨の発行者である政府だけだ。
民間は赤字になれば潰れる
政府は赤字になっても潰れない
この非対称性こそが、政府の存在理由だ。
■ 政府にしかできないこと②
「不安を消す」
市場は効率的だが、冷酷だ。
儲からない分野には金が行かない
リスクが高い場所から撤退する
失敗した人を助けない
これは市場として正しい。
だからこそ、不安を消す役割は市場にはできない。
失業しても終わらない
病気になっても破綻しない
失敗しても再挑戦できる
この「安心の土台」を作れるのは政府だけだ。
■ 政府にしかできないこと③
「時間のかかる投資を引き受ける」
民間は短期で判断する。
何年で回収できるか
今期の利益は出るか
当然だ。株主と競争がある。
だが、
教育
基礎研究
インフラ
防災
これらは長期でしか回収できない。
だから政府がやる。
政府が引いた国は、
確実に「未来」を失う。
■ 政府にしかできないこと④
「全体を見て調整する」
民間は部分最適で動く。
企業は自社の利益
家計は自分の生活
これは悪くない。むしろ健全だ。
だが、
全体最適は、誰かが引き受けなければ成立しない
それを担うのが政府だ。
景気が冷えているなら支出
過熱しているなら調整
地域差があれば是正
これは「市場に任せる」では起きない。
■ 政府にしかできないこと⑤
「失敗のコストを社会で薄める」
自己責任論が強い社会では、
失敗=人生終了
挑戦=無謀
になる。
結果、
起業しない
転職しない
新しいことをやらない
政府の役割は逆だ。
失敗のコストを、社会全体で薄めること
失業保険
医療保障
再教育
これは「甘やかし」ではない。
挑戦を増やす装置だ。
■ 逆に、政府がやらなくていいこと
ここも重要だ。
政府がやらなくていいことは、
民間の代わりに稼ぐこと
すべてを管理すること
完璧な効率を目指すこと
政府は主役ではない。
舞台を安定させる裏方
それで十分だ。
■ 政府の役割を間違えた国の共通点
衰退した国には共通点がある。
政府が「何もしないこと」を美徳にした
不安を個人に押し付けた
失敗を許さなかった
結果、
人が動かなくなった
経済が縮んだ
分断が進んだ
これは偶然ではない。
■ 結論
政府にしかできないことは、はっきりしている。
最初に赤字を引き受ける
不安を消す
長期投資を担う
全体を調整する
失敗のコストを薄める
これを放棄した国は、必ず弱る。
これを正しくやった国は、
静かに、しかし確実に強くなる。
【MMT(現代貨幣理論)シリーズ】
「国の借金は危険」「財源がない」
その“常識”、家計の感覚を国に当てはめた誤解かもしれない。
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・MMT(現代貨幣理論)その①なぜ「消費税」が日本を30年止めたのか
家計と国家を同一視した瞬間、日本経済は詰む
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このシリーズは、日本の税制・財政が
検証されない前提仮説のまま30年間運営されてきた構造を整理する。
・消費税や財政破綻論を、賛否や思想ではなく
前提と設計の問題として捉え直す視点を示す。
・塩入議員の国会質疑①日本の税制は「検証されない前提」で
設計されてきたのか?露わになった30年のブラックボックス
