芋出し画像

「保護犬だった僕ず怍物人間になったパパ」最終章創䜜倧賞2024



最終章「僕の喪倱」


2010幎12月20日早朝

ガタガタ ズカズカ 
ガタガタ ズカズカ 
ガタガタ ズカズカ 

朝から知らない男の人が家の䞭に䞉人も入っお来た。色んな質問をボクのパパにしお、それからパパを䞉人掛かりで抱き抱えお連れお行っちゃった。
ママは
「ゎンちゃん、いい子にしおおね」
っお䜕床もボクに蚀ったけど、ボクは襖の陰に隠れお、プルプル震えお座っおいるしか出来なかったんだ。
バァバもゞィゞも
「倧人しくしおお、本圓にいい子ね」
っお蚀っおくれたけど、ボクはそれがいい子なのか、どうか分からなかったよ。
ママは色んな物を持っおボクを眮いお行っちゃった。

あれからママは時々垰っお来お、ボクを抱きしめお泣くようになった。
倧奜きなパパは垰っお来ない。
あの男の人達に連れ去られちゃったんだ。
これが、ママがよく芋おるワむドショヌで蚀っおる「ナりカむ」それずも「ラチカンキン」


ボクはある日、ずっず考えおいた蚈画を実行に移す事にした。バァバが料理をしおいる間に開いたドアのすき間から、そっず倖ぞ飛び出した。
でも、ボクは知っおいる。
歀凊はマンションの六階だ。
身長の䜎いボクぱレベヌタヌのスむッチに手が届かない。
だからボクは、この時間を遞んだんだ。倕方は人の昇り降りが激しい。右隣に䜏む綺麗なお姉さんか、離婚したばかりで元気のない号宀のお兄さんあたりが、そろそろ垰っお来るはずだ。

チヌン

゚レベヌタヌの扉が開いた。
乗っおいたのは、ボクが期埅しおいた右隣の綺麗なお姉さんじゃなかった。
「宅急䟿さん」お蚀う段ボヌルを運んで来お、い぀もお瀌を蚀われるお兄さんだった。
お兄さんはボクを芋お「あれっ」っお顔したけど、忙しいからすぐに䜕凊かの郚屋ぞ段ボヌルを持っお行っちゃった。

シメシメ

ボクは無事に゚レベヌタヌに乗り蟌むこずが出来た。あずは座っおいれば、誰かが䞀階でスむッチを抌すのを埅っおいればいい。

チヌン

䞀階に着いた。゚レベヌタヌの扉が開くず埅っおいたのはボクの苊手な䞉階のわんぱく坊䞻達だった。
コむツらに捕たるず長くなる。
コむツらは二人で同じ顔しお、い぀も泥だらけの手でボクを撫でるんだ。
「カワむむなぁ」
ふん、ありがた迷惑っお蚀葉を知らないのか
おっずそんなこずを考えおる暇はない
ボクは四぀䞊んだ小さいスニヌカヌの間をすり抜けお、党速力で走った。
たずはパパの䌚瀟に行く。
䌚瀟に行けば、パパの「ゞュりギョりむン」の人達が、仕事を終えお垰っお来おいるはずだ。

ハアハア れむれむ

あ、あれ
䌚瀟は真っ暗だった。誰もいない。
ただ、お仕事終わっおないのかなぁ

じゃあ、次は駐車堎に行く。
パパのトラックやダンプやナンボが眮いおあるはずだ。ひょっずしたら、そこで「ナりカむ」ず「ラチカンキン」の手がかりが掎めるかも。
ガラン

あ、あれ
駐車堎には、䜕もなかった。
パパが片手で抱っこしお乗せおくれたナンボも、
ゞュりギョりむンの人達ず乗ったトラックも  
パパが倧切にしおた物が、䜕にも䜕にもない  

ミ、ミノシロキンだ

ママが倧奜きなサスペンスドラマで聞いた事がある。犯人が「ミノシロキン」を芁求しお来たんだ。
お金がないママは、きっず「ミノシロキン」の代わりにパパの倧切な物を枡したんだ。

バカだな ママは
「ミノシロキン」を払っおも、ナりカむハンはヒトゞチを返しおくれないよ
い぀も「盞棒」で芳おるだろ

やっぱりボクが、ボクがパパを探し出す
ボクは走った、パパが行きそうな所を党郚。
「車に気を぀けろよ」
パパがい぀も蚀っおたようにちゃんず道路の端を走った。

クンクン

たたに立ち止たっお、パパの匂いがしないか手がかりを探すのも忘れなかった。

パパ、パパ、パパァヌヌ
䜕凊ぞ行っちゃったんだよ。
連れ去られる前の日も䞀緒にお散歩しただろ。
でもあの日は
「ちょっず䜓調悪いから、ゎン、ショヌトコヌスな」
っお短いお散歩だったけど。
パパがボクを眮いお䜕凊かぞ行っちゃうなんお「ナりカむ」しか絶察絶察ないんだから  

ボクは走った、走っお走っお走っお  お腹が空いた。
もうお家ぞ垰ろうかな
゜りサはたた明日にしようかな
「腹が枛っおは戊はできぬ」
っおパパがよく蚀っおたもんね。

トボトボトボ 

疲れお歩いおいたボクの前に
「あヌヌヌパパだ」
パパず同じ䜜業着を着おる。あれはパパだ、間違いない。
ボクは最埌の力を振り絞っお走っお、パパの埌を远った。
「パパ、パパ、パパ〜」

ギュッ

埌ろからバァバがボクを抱き䞊げた。バタバタ暎れるボクを矜亀い締めにしお
「ゎンちゃん、よく䌌おるけど違うよ、あの人はパパじゃないよ」
っお蚀った。
「探したのよ、䜕凊行っおたのよ。ゎンちゃんたで居なくなったら、ママが泣いちゃうよ」
ボクの゜りサは終わりを告げた。



あれから䜕床も䜕床も春が来お倏が来お秋が来お、パパが連れ去られた冬が来おも、パパは垰っお来なかった。
ボクのお散歩の担圓は、い぀の間にかバァバに定着した。バァバはボクを連れおいるず近所のマダム達にい぀も「可愛い」っお誉められるのが自慢になった。
圓たり前だ。ボクのひいひいひいひいひい お爺さんやお婆さんはフランス王䟯貎族に可愛いがられおいたんだぞ。
マリヌ・アントワネットっおお姫様もボクの先祖ず暮らしおいたんだ。

あの頃、
「ゎンちゃん、埅っおおあげおね」
ママは、ボクによくそう蚀うようになった。
だからボクは毎日毎日、倕方になるず玄関の前でパパの垰りを座っお埅った。
でも、やっぱりパパは垰っお来なかった。

管理人のおじさんずおばさんが
「本圓に早く治っお欲しいです」
っお、ボクのお散歩の垰りにバァバに声を掛けおいるのを聞いた。頭のいいボクは、パパが病気になっちゃったんだっお気が付いた。あんなにボクが舐めお治そうずしたのに泣
パパはナりカむされたんじゃなくお、あの日、キュりキュりタむむンっお人達にキュりキュりシャに乗せられおお出掛けしちゃったんだ。


じゃあ、治ったら垰っお来るよね


ボクはたた、パパが垰っお来る日を埅った。
そのうち、ボクは匂いが分からなくなった。次は耳が遠くなった。それから県が殆ど芋えなくなった、最埌は歩けなくなった。もう゜りサも出来ない、玄関ぞ行っおオスワリする事も出来ない。
綺麗なお姉さんは結婚しちゃっただろうか、わんぱく坊䞻は倧きくなったかな 

寝たきりっおダツになっおも、ボクは埅っおたよ、パパ。
身䜓を動かせなくなったから「ゞョク゜り」(耥瘡)っおのになっお身䜓䞭が痛かったけど、ママが
「パパずお揃いになっちゃったね」
っお蚀うから、パパずお揃いならいいやっお我慢したんだ。
ボクはワンコにしたら超長生きだっお蚀われる二十歳になった。立掟なお爺さんらしい。
でも、ママが
「埅っおおあげおね」
っお毎晩、毎晩泣くから、ボクは頑匵ったよ  

倧奜きなご飯が食べられなくなっお、ママが抱っこしお凄い栄逊があるっお蚀うミルクを飲たせおくれる。たるで赀ちゃん扱いだ。
ボクのプラむドは、ちょっずだけ傷付いた。
でもパパに䌚う為にボクは䞀生懞呜そのミルクを吞った。
だんだん、ミルクが飲み蟌めなくなった。ミルクが喉を通っおいかない。ママが
「パパず同じ嚥䞋が出来なくなっちゃったね」
っお蚀った。゚ンゲ゚ンゲっお䜕だ
でもパパずお揃いなら、いいや。



ママ、ごめんなさい
その時が来たみたい
ボクはママずの玄束守れなかったよ
頑匵ったけど、もうダメだ
パパにもう䞀床もう䞀床、逢いたかったな  

ボクは最期の力を振り絞っお声を䞊げた


「パパ〜」


眠っおいたママが飛び起きお、ボクを抱きしめた。

「ありがずう、ありがずう、ゎンちゃん
ごめんね、ごめんね、もういいよ、頑匵っおくれお、ありがずう、ゎン」

(パパ〜〜〜)




了





あずがき
䞻人の愛犬 ゎンは本圓に賢い仔でした。
よく自分の飌い犬が䞀番可愛いず蚀いたすが、ゎンは可愛いよりも賢い䞍思議なわんこでした。幌い頃から沢山のわんこを飌った私ですが、あんなに賢い人間のような仔は居なかったです。
人の話は殆ど理解しおいたず思いたす。

䞻人が入院しおから、マンションを脱走しお䜕床も䌚瀟たで探しに行った話は事実です。マンション䜏人に゚レベヌタヌのスむッチを抌させおいたした笑

私が「埅っおおあげおね」っお蚀ったのが悪かったのでしょう。
忠犬 ハチ公ではないけれど「生きる」事で䞻人の垰りを埅っおいるようでした。亡くなる時は誇り高き矎しいパピペンの姿を捚おボロボロの満身創痍の姿で、䞻人の垰りを埅っおいおくれたした。
秋には二十䞀歳になる高霢犬でした。

※平成二十六幎 八月二十四日 ゎンちゃん二十歳亡
たた倧奜きなダヌちゃんず䞀緒に居られるかな
きっず䞀緒に居るね。
ありがずう(涙)


(远蚘)
ここたで曞いおきお、初めお気付いた事がありたす。ゎンちゃんは、ただダヌちゃんを埅っおいたのかなっお。
ゎンは本圓に聞き分けの良い仔でした。もしかしたら䞻人が、い぀も蚀っおいた
「俺に䜕かあったら、さんちゃんを頌む」
の蚀葉に忠実に埓っお私の傍に居おくれたのかもしれたせん。「䌚いたい」ず蚀う゚ゎだけを貫き通すような我が儘な仔ではありたせんでしたから。

2018幎(平成30幎)4月23日 
ゎンが虹の橋を枡っおから四幎埌にくも膜䞋出血による「遷延性意識障害」で意識が䞀床も戻らないたたダヌちゃんは旅立ちたした。
最期は心䞍党ず死亡通知曞には蚘茉されたしたが、倚臓噚䞍党かず思いたす。脳の壊死に䌎い、党身の臓噚が働かなくなりたした。


二人共、私だけが芋守る䞭で私の腕の䞭で静かに倩に昇っおいきたした。



ダヌちゃんが撮圱するず
い぀も笑っおいるような衚情になったね


最埌たでお読みくださっお本圓にありがずうございたすm(__)m



3932文字

いいなず思ったら応揎しよう