ワールドカップ2026観戦記81/104【イングランド×ノルウェー】ケインの献身。ベリンガムの2ゴール。母国が4強へ。怪物は不発に終わる
両チームの9番同士が健闘を称え合う。ケインは最後までピッチに立ち続けた。ゴールこそなかったが、守備での献身は際立ち、最終盤でもチームのために前線で体を張った。
対するハーランドはコンディションが悪かったのか。精彩を欠いた。前半に滞空時間の長いヘディングで会場を沸かせたが、見せ場は限られてしまう。延長後半に入る前にベンチに下げられ、怪物の初のワールドカップは幕を閉じる。
120分の死闘を制したのは「サッカーの母国」イングランド。波に乗るバイキングたち、ノルウェーを1‐2で破った。
勝利の立役者は2ゴールのベリンガム。1点目はゴードンの左からのパスを内側で受け、スルスルっとゴール前にドリブルで侵入。マークに付かれながらも絶妙なコースに決めてみせた。
パスを受ける前からまるでゴールまでの道筋が見えていたかのような一連の動き。ベリンガムだけが知るルートから前半のロスタイムに1‐1に持ち込めたことは小さくなかった。
ノルウェーとしてはラッキーな部分もあったが、シェルデルップの所謂クロスのようなシュート「クロシュート」で先手を取れただけに、45分はゼロで終えたかった。
ベンチで悔しさを露にしたソルバッケン監督。描いたゲームプランが崩れたことを象徴するシーンだった。
後半も互いにけん制する時間帯が続く。イングランドが優勢に進めるが、ノルウェー守備陣の集中力は高く、スコアは動かなかった。
今大会で巧みなカードの切り方をしているトゥヘル監督は、またしても交代策を実らせる。延長に入ってすぐのことだった。途中交代のロジャーズの思い切りの良いミドルが、ここまで好守を連発してきたGKニーランに襲い掛かる。微妙に変化していたのだろう。キャッチミスし、こぼれたボールに詰めたのはベリンガム。
90分フルに戦い、足が止まる中、彼だけが動けていた。前の試合ではメキシコと激闘を演じている。中5日空いているとはいえ、体力的には厳しいはずだ。だが、こぼれてくると信じて走り込めるのが、超一流のプレーヤーなのだろう。
ケインとハーランドのエース対決が注目された一戦。「俺もいる」。「俺を忘れるな」。ベリンガムの無言の主張だったのかもしれない。
快進撃が止まったノルウェー。ウーデゴールは試合を組み立て、ベルグとベルゲの中盤も奮闘した。エースが不調でも、高さを活かしてセットプレーでゴールを脅かしたが、最後の最後は力尽きた。
ヌサ、ボブと違いを作れる選手の投入も結実しない。前の試合を10人でも守り切った成功体験がイングランドに自信を与え、ノルウェーは彼らの覚悟を打ち砕けなかった。
巧みなプレス回避、怪物ハーランドの期待に応えるゴール、現場監督ウーデゴールの手綱さばき。勝ち上がるだけのファクターがあったが、選手層でやや劣ったことで勝ち切れなかった。それでもベスト8は胸を張れる。
次回大会でハーランドは、より手が付けられなくなるストライカーに進化している可能性もある。彼を軸にした好チームを、再びワールドカップの舞台で見たい。
思いのままに。続けます。今日も呼吸ができた。ありがとう!
